「フィジカルコンタクトが俺の本質なのさ」と語る193センチのパワーガード
交互に飛び交う3ポイントや鮮やかなボールムーブメントで相手チームのディフェンダーを交わして決める流麗なフィニッシュ。現代NBAでは3ポイント試投数が年々上昇しており、平均得点も上がっているというのが現状だ。
そんな現状に不満をぶつけた男がいる。ボストン・セルティックスが誇る肉体派パワーガード、マーカス・スマートである。
193センチ99キロという筋骨隆々の肉体と見事なフットワーク、そしてあふれんばかりの闘争心を駆使してプレーするスマートは、自身より10センチ以上大きな選手や20キロ近く重い相手選手であろうが恐れずにぶつかっていく。
キャリア5年目のスマートは、ボストンのファンにも大人気の選手。ルーズボールに跳び込み、相手選手の密集地帯へ積極果敢に立ち向かい、レイアップやオフェンシブ・リバウンド、ディフェンシブ・リバウンドを奪う。フィジカルコンタクトを好んで仕掛けるタフなディフェンスが、この男の真骨頂と言っていい。
2月22日(現地時間21日)、現地メディア『Bleacher Report』へ掲載された記事の中で、そのスマートが自身の思いを語っていたので紹介したい。
「1960、70年代に戻ったとしたら、俺はパーフェクトにプレーできるんじゃないかなと思ってるんだ。彼らは毎晩、毎試合のように身体をぶつけ合っていたからね」。
スマートは現代のプレースタイルを好んでいないという。それこそ、ハンドチェッキングの導入により、フィジカルコンタクトが次第に減少し、ペリメータープレーヤーが大量得点を挙げる現状について、スマートは同メディアへこうぶつけた。
「それが今のNBAなんだ。(フィジカル面のぶつかり合いが)今のゲームでは失われていると思う。これじゃあゲームのすべてが本当に可愛いものとなってしまう。リムへと突き進むこと、ぶつかり合うこと、(相手選手に)触れることを恐れてしまっているね。でも俺はコンタクトありきの環境で成長してきた。コンタクトこそが俺の本質なのさ」。
指揮官が高く評価するスマートはシーズン終盤戦でもチームのカギを握る男
これまでの4シーズン、スマートは平均30分前後のプレータイムを得て攻防両面に奮闘してきた。特にディフェンス面における評価は高く、スモールラインナップでは実質パワーフォワードとして起用されたり、試合終盤におけるディフェンスの場面では必ずと言っていいほどコートに立ってきた。
「彼について私が言えるベストなことは、彼がプレーしてきた間、我々はプレーオフチームであり続けたということ」。
セルティックスのブラッド・スティーブンズHCは、過去4年連続でプレーオフに出場し、ここ2年連続でイースタン・カンファレンス・ファイナルまで勝ち進むことができた要因の1つにスマートの存在を挙げた。そしてこのように評している。
「今季を含めた5シーズンというもの、彼は本当に多くの勝利をもたらしてくれた。そして彼は決して止まったりはしない。しかも毎試合、高いレベルでこなしてくれている。彼がコートにいると、ほかの選手たちのプレーも良くなるんだ」。
2月23日(同22日)終了時点でイースト5位(37勝22敗)のセルティックスは、レギュラーシーズン終盤戦、そしてプレーオフに向けてギアを上げていくに違いない。
そしてその中に、持ち前のパワーとフットワークを駆使してゲームで暴れ回るスマートの姿を見ることができるだろう。