2008年2月、レイカーズは主力を1人も放出せずにガソルを獲得
3月25日(現地時間24日)、今季途中にサンアントニオ・スパーズを解雇されてミルウォーキー・バックスへ移籍した大ベテラン、パウ・ガソルと『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者によるポッドキャストが公開された。
メンフィス・グリズリーズでNBAキャリアをスタートさせたガソルは、2001-02シーズンに平均17.6得点8.9リバウンド2.7アシスト2.1ブロックをマークして新人王を獲得。その後グリズリーズのエースとして06年にはオールスターにも選ばれたものの、キャリア途中からトレードのウワサが頻繁に上がるようになっていた。
そして08年2月2日(同1日)。ガソルのトレードが発表されたのだが、移籍先はまさかのロサンゼルス・レイカーズ。当時、レイカーズはコービー・ブライアント(元レイカーズ)を中心に上昇気流に乗っており、ウエスタン・カンファレンス上位進出を目指していた。レイカーズがガソル獲得のために放出したのはクワミ・ブラウン、ジャバリス・クリッテントン(共に元ワシントン・ウィザーズほか)、アーロン・マッキー(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)と2008年のドラフト1巡目指名権、10年のドラフト1巡目指名権と2巡目指名権、そして弟のマルク・ガソル(現トロント・ラプターズ)との交渉権のみ。
つまり、レイカーズは主力を1人も出さずにオールスタービッグマンを手に入れたのである。ウエストの覇権争いをしていたスパーズのグレッグ・ポポヴィッチHCをはじめ、多くの関係者がこのトレードに疑問を抱いていたのは言うまでもない。
ガソル加入後、レイカーズは3年連続でファイナルに進出して2連覇を達成
もっとも、それはトレードされた本人ガソルも同じだったようだ。当時について、ガソルはグリズリーズのクリス・ウォーレスGMとの会話をこのように振り返っている。
「まず最初に電話があって、(クリスが)『パウ、ちょっとこっちに来てくれ。君をロサンゼルス・レイカーズへトレードすることになった』と言われたんだ。僕は最初、『どういうことですか?』って感じだった。正直、『何を言ってるんだ?』って思ってたよ。まさかトレードされるだなんて思ってもみなかったから」。
その後ウォーレスGMからトレードの詳細を告げられたガソルは「僕は彼が話を面白くするように『ジョークだとしているのか?』ってくらい、驚いたよ。あの時、僕には彼が言っていたことを頭の中で処理することができなかったんだ。『これは本当に起こったことなのか?』ってね。このチームに6年以上いた僕に対して、彼はなんでこんなジョークを言ってるんだろう、って思った」と感じていたという。
だがトレードは現実のものとして起こった。ガソルはコービーやラマー・オドム、デレック・フィッシャー、アンドリュー・バイナム(いずれも元レイカーズほか)、トレバー・アリーザ(現ワシントン・ウィザーズ)といった選手たちとチームメートに。
「時間が経つにつれて、ものすごく興奮したのは明らかだったね、あのトレードは僕のキャリアにおいて間違いなく最高の瞬間の1つだった。あのお陰で歴代最高の選手の1人であるコービーとプレーできたし、フィル・ジャクソンHCにコーチングしてもらうことができたんだから」とガソル。
ガソル加入後、レイカーズはさらに調子を上げていき、07-08シーズンをウエストトップの57勝25敗でフィニッシュし、NBAファイナルへと勝ち進んだ。この年はボストン・セルティックス相手に6戦で敗れたものの、翌08-09シーズンと09-10シーズンにレイカーズは2連覇を達成。
コービーに次ぐチーム第2の男として、ガソルは攻防両面で貴重な働きを見せて3年連続のファイナル進出に大きく貢献したのだった。