シクサーズとラプターズ、両チームの矛と盾が交錯した激戦
5月13日(現地時間12日)、フィラデルフィア・シクサーズ(3勝3敗)とトロント・ラプターズ(3勝3敗)のプレーオフ第7戦が、ラプターズのホームであるスコシアバンク・アリーナにて行われた。
前半、ラプターズのカワイ・レナードのバンクショットやパスカル・シアカムの見事なステップからのショットを沈めると、シクサーズはJJ・レディックの3ポイントシュート、トバイアス・ハリスのレイアップなどで応戦。両チームともに、なかなかシュートが決まらななかったが、主力選手たちが積極的に攻撃を続けた。
その中でもレナードは、前半だけで15得点を記録するという活躍を見せる。ディフェンスでボールを奪うと、速攻からダンクを2回叩きこむなど、徹底的な守備から速いバスケットを展開。攻守で存在感を示した。試合はややロースコアながら、ラプターズが40-44とリードをしてハーフタイムへ。
後半はレナードが先制点をマークしたが、タイムアウト明けからシクサーズが反撃に徹する。レディックとハリスの3ポイント、さらにジョエル・エンビードのユーロステップのシュートやジミー・バトラーのジャンパーが決まり、第3クォーター残り7分15秒時点で逆転。ここからは、互いに主導権を譲らない展開が続き、64-67で第4クォーターへ突入した。
最終クォーターは、両チームとも相手の厳しいディフェンスとマークをかいくぐりながら得点を重ねていく。バトラーが後半よりエンジンがかかり始め、シクサーズはチームでレナードを封じこめようと徹底マーク。これに対してレナードはタフショット決め、守備ではアグレッシブなバトラーをマッチアップする役割を担った。
試合終盤、2ポゼッション以内の得点差が続く中でシクサーズはバトラーとエンビードのフリースロー、バトラーが速攻からレイアップを決めて第4クォーター残り4.2秒に90-90と土壇場で同点に追いついた。しかし、十分に時間が残った状態でラプターズが最後のオフェンスを迎える。
タイムアウト後にボールを託されたのはレナード。マルク・ガソルからボールを受け取るとそのままトップオブザキーから右へドライブ。途中ディフェンスがベン・シモンズからエンビードにスイッチしながらも、右コーナーからフェイダウェイで難しいシュートを放った。直後に試合終了のブザーが鳴り響き、ボールは一瞬リングに弾かれてショットは外れたかのようにみえた。だが、そのまま何度かリムの上で小さくバウンドすると、ボールはリングへ吸いこまれ、最終スコア90-92。ラプターズが劇的勝利を収め、カンファレンス・ファイナルへ進出を決めた。
レナードの劇的なブザービーターによって勝利したラプターズ。レナードが41得点8リバウンド3アシスト3スティール、サージ・イバカが17得点4リバウンド、シアカムが11得点11リバウンド、カイル・ラウリーが10得点6リバウンド6アシスト2スティールをマーク。このシリーズで大活躍を見せたレナードは、試合終了後のインタビューで以下のようにコメントした。
「最高の気持ちだね。普段からああいうベースラインのシュートを練習しているけれど、今回はリムに助けられた。終盤にフリースローを外してしまったので、なんとか決めなきゃと思っていたんだ。このゲームですべてのポゼッションで力を尽くす気持ちでいた。昨季は残念なシーズンだったが、神さまは僕をいつも支えてくれていて、毎試合神さまにお祈りを捧げている。次の(ミルウォーキー)バックスとは難しいゲームになると思うが、我々もこのシリーズでより強くなったと感じているよ」
敗れたシクサーズはエンビードが21得点11リバウンド3ブロック、レディックが17得点4リバウンド3アシスト、バトラーが16得点、ハリスが15得点10リバウンド、シモンズが13得点8リバウンド5アシスト3ブロックを記録。試合終了後、ラプターズの選手たちと抱擁を交わし、ロッカールームに下がる際に涙を流したエンビード。シクサーズのブレット・ブラウンヘッドコーチは「この痛々しさは決して忘れられない記憶になるが、これが彼にとってキャリアのターニングポイントになるだろう」とエンビードの今後の成長に期待するコメントを残した。
ラプターズとミルウォーキー・バックスによるイースタン・カンファレンス・ファイナル第1戦は、5月16日(同15日)に、バックスのホームであるファイサーブ・フォーラムにて行われる。