獅子奮迅の活躍でブレイザーズを2000年以来初のウエスト決勝へと導く
キャリア7シーズン目となった2018-19シーズン。ポートランド・トレイルブレイザーズのけん引役、デイミアン・リラードはプレーオフで自身初のカンファレンス・ファイナル進出を果たし、リーグ屈指のプレーヤーであることを誇示した。
オクラホマシティ・サンダーとのファーストラウンドでは、両チームベストの平均33.0得点に4.4リバウンド6.0アシスト2.4スティールと大暴れ。3勝1敗で迎えた第5戦では、前半だけで34得点をもぎ取り、ゲーム全体ではプレーオフキャリアハイとなる50得点。
試合終盤にはディフェンス巧者のポール・ジョージ(サンダー)の頭上から約11メートルのディープスリーを突き刺し、ブザービーターでシリーズに決着をつける超絶パフォーマンスで世界中の話題をさらった。
デンバー・ナゲッツとのウエスト準決勝ではアウェーで初戦を落とし、5戦を終えて2勝3敗に追い込まれるも、後がない第6戦で6本の長距離砲を決めるなどゲームハイの32得点でシリーズを引き伸ばしてみせた。
第7戦では13得点に終わるも、プレーオフ自己ベストの10リバウンドに8アシスト3スティールと得点面以外の部分で奮闘。CJ・マッカラム(37得点9リバウンド)やエバン・ターナー(14得点7リバウンド)、エネス・カンター(12得点13リバウンド)が踏ん張り、アウェーで見事勝利を収めたブレイザーズは、2000年以来となるウエスト決勝へ。
「俺たちはウエスト決勝でも競い合えることを見せつけることができた」と言及
NBAファイナル進出をかけたウエスト決勝では、3連覇を狙う王者ゴールデンステイト・ウォリアーズに対し、リラードとブレイザーズは真っ向勝負を挑んだ。カンターがサンダーとのシリーズで肩を負傷、ロドニー・フッドがナゲッツとの第7戦で左膝を痛める中、第2戦から3試合連続で前半をリードして折り返す奮闘。
しかしながら、王者の反撃の前に一度も白星をつかむができずにスウィープ負けでシーズンを終えた。リラードは第2戦で肋軟骨を痛めるアクシデントがあった中、エースとして最後まで戦い抜いた。
ウォリアーズとのシリーズで、リラードはクレイ・トンプソンやアンドレ・イグダーラといった屈強な体格を持つリーグ有数のディフェンダーたちと対峙し、フィールドゴール成功率37.1パーセント、3ポイント成功率36.8パーセントに抑え込まれるも、チームトップの平均22.3得点に4.8リバウンド8.5アシストをマーク。ドレイモンド・グリーンをはじめとするウォリアーズのビッグマンたちのカバーディフェンスの前に、両チームワーストとなる18本ものターンオーバーを犯してしまったとはいえ、負傷を言い訳にせず、強じんなメンタリティーでチームをけん引し続けたことはもっと評価されていいはず。
シリーズを終えたリラードは、プレスカンファレンスで「これまでのプレーオフにおいて、俺たちは最も高い位置までプレーしてきた。だからこれまでに見てきたものよりも、ちょっとばかり深海に入り込んだかのようだった。フィジカル面とメンタル面で、より高みを目指してプレーしたことはちょっと挑戦に近いものがあった」と振り返る。
ウォリアーズ相手に2ケタリードを何度も奪ったとはいえ、結果としては4連敗。一度も勝利できずにシリーズを終えたブレイザーズは、16年のウエスト準決勝(1勝4敗)、17年の1回戦(0勝4敗)と合わせて、ここ4年におけるウォリアーズとの戦績(プレーオフのみ)を1勝12敗とした。
「俺たちは危険にさらされていた。彼らはスカウティングレポートを駆使して次のレベルへと昇華したんだ。でも、俺たちにとって、すごくいい経験になったと俺は思ってる。多分、多くの人がこのシリーズを振り返った時、『彼ら(ブレイザーズ)はスウィープされた』と言うだろう。でも俺たちは過去3試合で2ケタリードを奪ってみせた。そしてそのリードを保持することができなかったということ」とリラード。
王者相手に最後まで戦い抜いたチームに対して、「俺たちは(ウエスト決勝という)高いレベルでも競い合うこと、そして数多くのことができるんだということを見せつけることができたと思ってる」と誇らしげに語ると、「今季は俺たちにとって特別なシーズンだった」と口にした。
「チームメートたちが個人として進歩してチームに戻り、俺たちは一体となってすばらしいシーズンを送ったと思う。でもオーナー(ポール・アレン)を失い、(ユスフ・ヌルキッチの戦線離脱という)大きなケガとも戦ってきた。CJはレギュラーシーズン終盤に戦線離脱していたしね。でも俺たちはそういったことに対して答えを出してきた。グループとして出場時間に恵まれなかった選手がステップアップし、見事なプレーを見せてくれた。互いを信頼してここまでやってくることができたんだ」。
今夏のスーパーマックス契約締結も期待されるリーグ有数の選手リラード
ブレイザーズは3月終盤に先発センターのヌルキッチをケガで失い、プレーオフを前にマッカラムも膝の痛みのため欠場していた。それでも、シーズン途中に加入したフッドやカンターが活躍し、ターナーやセス・カリーらがステップアップしてプレーオフで貴重な働きを見せるなど、チームとしてウエスト決勝まで上りつめたと言っていい。
さらに、12年のドラフトでリラード(1巡目6位)と同期入団したマイヤーズ・レナード(1巡目11位)がウォリアーズとのシリーズ最後の2試合でプレーオフ初先発を果たし、16得点、30得点と大活躍したことも大きかった。勝利を収めることはできなかったものの、リラードとしてもうれしかったに違いない。
今夏、ブレイザーズで制限なしフリーエージェント(FA)となるのはカンター、アル・ファルーク・アミヌ、フッド、カリー、ジェイク・レイマンの5選手。そしてリラードは今季オールNBAチームに選出されれば、今夏にも4年1億9,100万ドル(約210億1,000万円)のスーパーマックス契約を結ぶことが予想されている。
「(契約については)今後、フォーカスしていくことになるよ」とシリーズ終了後に明かしたリラード。今夏の動向にも注目していきたい。