初の頂上決戦に挑むラウリー「自分への批判に対して、間違っていると証明してきた」

ドラフト下位指名から先発PG、そしてオールスターへとはい上がったラウリー[写真]=Getty Images

司令塔兼リーダーとして、ラプターズ在籍7年目をプレーする最古参

 5月31日(現地時間30日)から幕を開ける「NBAファイナル2019」。今年はトロント・ラプターズのホーム、スコシアバンク・アリーナで第1、2戦が行われる。

 創設24シーズン目で初のファイナル進出を決めたラプターズに対し、相手はNBA史上2チーム目となる5年連続出場となったゴールデンステイト・ウォリアーズ。

 過去4シーズンで3度の優勝を果たしたウォリアーズは、実績、経験の両面で大きなアドバンテージがあると言っていい。NBA史上4チーム目となる3連覇達成という大きなモチベーションもあるだけに、ウォリアーズ優勢という声が多いというのが現状だ。

レギュラーシーズンの直接対決ではラプターズが2勝しているものの、下馬評ではウォリアーズ優勢[写真]=Getty Images

 一方、ラプターズは2014年のファイナルMVPカワイ・レナードダニー・グリーンがサンアントニオ・スパーズ在籍時に2度ファイナルを経験しているほか、サージ・イバカ(2012年/当時オクラホマシティ・サンダー)、パトリック・マコー(昨年までウォリアーズで2連覇を経験)も頂上決戦の出場経験を持つ。

 また、キャリア11年目のベテランセンター、マルク・ガソルは今季途中まで所属していたメンフィス・グリズリーズで何度もプレーオフに出場しており、スペイン代表として国際大会でも豊富な経験を持っていることから、NBAでも指折りの大舞台であろうと本来の実力を発揮してくれることだろう。

 だがこのチームの根幹となっているのは司令塔かつリーダーであるカイル・ラウリーだ。キャリア13年目の筋骨隆々なラウリーは、5年連続でオールスターに選出されているポイントガードだが、ここまでの道のりは決して順風満帆ではなかった。

 06年ドラフト1巡目24位でグリズリーズに指名されたラウリーは、スターターに定着するまで複数年を要し、シーズン中のトレードも経験してきた。ラプターズでチャンスをモノにしたラウリーは、現有戦力ではチーム最古参となる在籍7シーズン目。持ち前のフィジカルの強さと闘争心でハッスルプレーもこなすラウリーは、ラプターズの“ハート&ソウル”と言っていいだろう。

献身的な姿勢で現在のラプターズの基盤を構築してきたラウリー

 30日(同29日)に『ESPN』の“The Jump”に出演したラウリーは、昨季までの6シーズン、ラプターズで苦楽を共にしたデマー・デローザン(現スパーズ)についてこう語っていた。

「デマーとは毎日話してるよ。彼はこのチームを構築してきた中で、間違いなく重要な部分を占めている。チームメート全員が彼と良好な関係で、今でもメッセージを送ってくれるんだ。彼はこのチームの成功を願っていて、僕らに優勝してほしいと思ってる」。

 また、30日(同29日)に現地メディア『The Undefeated』へ掲載された記事の中でも、ラウリーはデローザンについて「僕はあらゆる方法で彼と話してきた。彼について言えるのは、親友として僕のことを親身になって気にかけてくれること。チームメートたちへメッセージを送り、(ラプターズの成功を)彼がどれだけうれしく思っているかを知らせてくれるんだ」と明かしている。

昨季まで2枚看板としてラプターズをけん引してきたラウリー(左)とデローザン(右)[写真]=Getty Images

 バスケットボールプレーヤーとして、ラウリーはこれまで「もっと減量すべき」「小柄なシューティングガード」「大舞台に弱い」「プレーオフで勝てない」といった数多くの批判を浴びてきた。

 これまでのキャリアにおいて「僕の仕事は自分を批判する人たちに対して、それが間違っていると証明することだった」と振り返ったラウリーは、「僕が最も気にかけているのは、コートに出てできるかぎりベストなプレーヤーになること」と力強く語っている。

 そんなラウリーのスタイルは「チームが勝利する手助けをすべく、必要とされることを引き受けてやり遂げること」。ウォリアーズとのファイナルでも、ラプターズのリーダーとしてコート内外でチームをけん引していくことだろう。

 初の頂上決戦でも、ラウリーにはアグレッシブにプレーしてほしいところだ。

自身初のファイナルで、ラウリーがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみだ[写真]=Getty Images

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