シアカムに加え、ガソルとグリーンが加点したラプターズがリズムをつかむ
5月31日(現地時間30日)。3連覇を狙う王者ゴールデンステイト・ウォリアーズと、フランチャイズ史上初出場となったトロント・ラプターズによる「NBAファイナル2019」が、ラプターズのホーム、スコシアバンク・アリーナで行われた。
NBA史上初となるアメリカ以外の国で開催ということもあり、満員御礼の1万9,983人が詰めかけたスコシアバンク・アリーナは試合前から大盛り上がり。ウォリアーズの選手たちが登場すると一斉にブーイングを浴びせるなど、ホームチームにとって心強い声援を送っていた。
ウォリアーズはステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、アンドレ・イグダーラ、ドレイモンド・グリーンにジョーダン・ベルの5人がスターターを形成。対するラプターズはカイル・ラウリー、ダニー・グリーン、カワイ・レナード、パスカル・シアカム、マルク・ガソルという不動の先発陣でティップオフ。
ラプターズは最初のポゼッションで、ラウリーのパスがシアカムへ通らずターンオーバー。ウォリアーズはトンプソンのジャンパーが外れる中、先取点を奪ったのはカリー。レナードのファウルを誘ってフリースロー2本を確実に沈める。
するとラプターズはシアカムがディフェンスを引き付けてダニー・グリーンの3ポイントをおぜん立てしてお返し。その後レナードとカリーの3ポイントが交互に決まるなど、両チームが加点。
ラプターズはガソルが2本の3ポイントを沈めるなど3ポイント攻勢でリードするも、ウォリアーズはカリーがこのクォーターだけで11得点を挙げる活躍で食らい付き、ラプターズ4点リードで最初の12分間を終える。
続く第2クォーター。ウォリアーズはデマーカス・カズンズが約2か月ぶりに戦列復帰。トランジション時に足がついていけない場面こそあったものの、トンプソンのダンクやジョナス・ジェレブコのコーナースリーをアシスト。フリースローも確実に2本沈めるなど持ち味を発揮。
だがラプターズも負けていない。メンフィス・グリズリーズ在籍時にプレーオフも含めて何度もウォリアーズと対戦してきたガソルがカリーのパスコースを読んだディフレクションや、ジャンプボールに持ち込むなど好プレーを披露し、存在感を見せつける。
残り5分37秒にトンプソンの長距離砲が決まってウォリアーズが逆転するも、ファストブレイクからガソルが技ありのレイアップでラプターズがすぐさまリードを奪い返すと、シアカムのジャンパーや3ポイントでリードを広げる。
前半残り1分28秒、ドレイモンド・グリーンが巧みなショットでレナードの3つ目のファウルを誘うと、今度はリング下へ猛プッシュを見せたドレイモンド・グリーンからラウリーがテイクチャージを奪い、こちらも3つ目のファウルへと持ち込む。残り11.3秒にダニー・グリーンが苦しい態勢からコーナースリーをねじ込み、ラプターズが59-49と10点リードで試合を折り返す。
シアカムが爆発し、レナードが4Qにコントロールしたラプターズが先勝
第3クォーターに入ると、前半に12得点を挙げたシアカムがショートジャンパーやファストブレイク、ポストプレーなどで得点を量産。残り7分11秒にはウォリアーズのディフェンスの隙をついてリング下に入り込んだレナードがドレイモンド・グリーンの4つ目のファウルを誘発。
さらにはレナードがファストブレイクでシアカムへとつないで加点し、ラプターズがリードを10点へと広げてウォリアーズがタイムアウト。トンプソンの3ポイントやカリーのショットでウォリアーズが追い上げを見せるも、ラプターズはシアカムとレナードのショットなどで7点をリードして最終クォーターへ。
第4クォーター。ウォリアーズはジェレブコやトンプソンが加点し、点差を詰めていくも、カズンズからテイクチャージを奪うなどラウリーが身体を張ったハッスルプレーを見せ、ホームの大観衆を味方につける。
その後はカンファレンス・ファイナルのスランプから復調したダニー・グリーンのコーナースリー、レナードの3ポイント、フレッド・バンブリートのショットクロックぎりぎりのオフバランスショットがリムに吸い込まれるなど、運をも味方につけたラプターズが10点前後のリードをキープ。
ウォリアーズはカリーがフリースローやフローター、レイアップなどで加点していくも、ラプターズとの点差はなかなか縮まらず。残り30.8秒にラウリーがディープスリーを突き刺し、最終スコア118-109でラプターズが大事な初戦を制した。
この5年間のファイナルでは唯一となる初戦黒星を喫した王者ウォリアーズ
勝利したラプターズではフィールドゴール17投中14本(うち3ポイント3投中2本)と高確率でショットを沈めたシアカムがチームトップの32得点に8リバウンド5アシスト2ブロック、レナードが23得点8リバウンド5アシスト、ガソルが20得点7リバウンド2スティール、3本の3ポイントを決めたダニー・グリーンが11得点に2ブロック、ベンチスタートのバンブリートが15得点、ラウリーが6リバウンド9アシストをマーク。
一方のウォリアーズは、カリーがゲームハイの34得点に5リバウンド5アシスト、トンプソンが21得点5リバウンド、ドレイモンド・グリーンがファウルトラブルに苦しみながらもトリプルダブル(10得点10リバウンド10アシスト)を残すも、2ケタ得点は3選手のみ。イグダーラが6リバウンド7アシスト、ベンチスタートのケボン・ルーニーが9得点を記録するも、この5年間で初めてファイナル初戦を落とすことに。
「後半、我々はチームとしていい戦いを見せたと思った。選手たちはいくつかいい仕事をしていたからね。だが勝利するにはミスが多すぎた」とスティーブ・カーHC。フリースローを31投中29本(成功率93.5パーセント)も決める集中力を見せたものの、16本のターンオーバーを犯してしまった。
6月3日(同2日)に行われるシリーズ第2戦。ウォリアーズとしてはケビン・デュラントが復帰できるかどうかが気になるところ。また、1週間以上もゲームから離れていたこともあり、次の試合ではウォリアーズがその感覚を取り戻し、序盤から猛攻を見せる可能性も十分あるだけに、今後の展開から目が離せない。