3勝1敗と優勝に王手をかけたレナード「どっちかが4勝するまでは何も意味がない」

日本時間11日に行われるファイナル第5戦について意気込みを口にしたレナード[写真]=Getty Images

「いつだって最高のディフェンスをしてショットを決めたい」とレナード

 トロント・ラプターズとゴールデンステイト・ウォリアーズによる「NBAファイナル2019」は第4戦を終えて、ラプターズが3勝1敗とシリーズをリード。フランチャイズ史上初優勝へ王手をかけたラプターズは、6月11日(現地時間10日)にホームのスコシアバンク・アリーナで行われる第5戦に臨む。

 ラプターズが誇るエース、カワイ・レナードはシリーズ平均40.2分30.8得点10.3リバウンド4.0アシスト2.0スティール1.0ブロックと、ここまで申し分ないパフォーマンスを見せている。

 フィールドゴール成功率は45.2パーセント、3ポイント成功率では40.0パーセントと好調をキープ。フリースローに至っては48投中45本も決めており、93.8パーセントという驚異的な集中力ですばらしい数字を残している。

 プレーオフ全体で見ても、レナードはここまで22試合に出場して平均39.0分31.1得点9.1リバウンド3.9アシスト1.6スティールと獅子奮迅の活躍。スタッツ合計で見ても、得点(684得点)や出場時間(857分)、リバウンド(200本)、スティール(36本)に加え、フィールドゴール試投数(456本)と成功数(227本)、フリースロー試投数(200本)と成功数(178本)など、数多くの部門でリーグトップに君臨。

 10日(同9日)の練習後に行われた会見で、スタッツについて聞かれたレナードは、こう切り返している。

「僕が見ているのは(対戦した)それぞれのチームが残したリバウンド数とターンオーバー数、フィールドゴール成功率。あとはペイント内の得点と連続得点も見ているのは間違いないね。でも僕がチェックする最も重要な3項目は、リバウンドとターンオーバー、フィールドゴール成功率なんだ」と明かした。

「毎日、向上できるように僕はトライし続けている。バスケットボールだけでなく、コート外においてもね。毎日がバトルなんだ」と語ったレナードは、ホームでシリーズに決着をつけることに対してプレッシャーを感じているかどうかを聞かれ、「どんなゲームであろうとプレッシャーはある」と口にすると、このように続けた。

「(王手をかけた試合で)プレッシャーがさらに強くなるとは思っていない。僕らは今もなおコートに出てバスケットボールの試合をプレーしなければならない。通常のゲームや重要なゲーム、その時に限らず、いつだって最高のディフェンスをしてショットを決めたい。タイトル獲得をかけた試合では特にね。コートに出てプレーして、楽しむことだね」。

3勝1敗と王手をかけたものの、現状について冷静に捉えていたレナード[写真]=Getty Images

2013年に悔しい経験をしたレナード「何が起こるかなんて誰にも分からない」

 ラプターズのロースターのうち、NBAで優勝を経験したことがあるのは2014年にサンアントニオ・スパーズの主力としてプレーしたレナードとダニー・グリーンのみ。キャリア10年以上を誇るカイル・ラウリーマルク・ガソルサージ・イバカといった実績ある選手たちにとっても、このファイナルであと1勝を挙げれば初優勝となる。

 レナードはチームの現状について、決して浮き足立ってはいないと語っている。

「僕らはただしっかり集中しているんだと思う。どちらかのチームが先に4勝しなければ、(3勝していても)まったく意味がないことを僕らは理解しているんだ。ここから先、何が起こるかなんて誰にも分からないし、(3勝していても)アドバンテージになるか分からないもの。そして相手はすばらしいバスケットボールチームなんだ。それが僕らの考えなんだと思ってる。僕らのゴールはコートに出て、(あと1勝して)成し遂げること。残り3試合行う可能性がある中で、僕らは1勝しなければならないんだ」。

第4戦でシリーズ最多の36得点をたたき出し、凄みを増しているレナード[写真]=Getty Images

 レナードとグリーンは、初出場となった13年のファイナルで、あと一歩のところで優勝を逃した苦い経験がある。スパーズの3勝2敗で迎えたマイアミ・ヒートとのファイナル第6戦。第4クォーター残り28.2秒で、スパーズは5点をリードしていた。

 ところが、レブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)の3ポイントを浴びて2点差まで詰め寄られると、フリースロー2本を手にしたレナードは1本しか決められず、3点リードでヒートが最後のポゼッションへ。

 スパーズはレブロンの3ポイントがリムに嫌われてしまい、優勝が決まったかに思われたものの、クリス・ボッシュ(元ラプターズほか)が執念でオフェンシブ・リバウンドをもぎ取ると、右コーナーへとバックステップで戻ったレイ・アレン(元ボストン・セルティックスほか)へとつなぎ、残り5.2秒で延長へと持ち込む同点3ポイントをヒット。

 延長残り1.2秒。スパーズは3点ビハインドの劣勢でグリーンが同点をかけて3ポイントを放つも、ボッシュのブロックを浴びて惜敗。第7戦にも敗れたことで、優勝を逃した過去がある。

 この悔しさを胸に、スパーズは翌14年のファイナルでヒートを4勝1敗で下してフランチャイズ史上5度目の優勝を飾ったのだが、13年のファイナルで2人が味わった苦い経験は、現在のラプターズで大いに活かされていることだろう。

 レナードとグリーン、そしてラプターズが第5戦でウォリアーズ相手にどんな戦いを見せるのか。第5戦は今年一番の見逃せないゲームとなりそうだ。

13年のファイナル第6戦で悔しい思いをした②レナードと④グリーン[写真]=Getty Images

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