2019.03.27

ヒートの永久欠番になったボッシュ「苦しい時、立ち直る術を教えてくれてありがとう」

ヒートで勝ち取った2つのチャンピオンリングを身に付けて登場したボッシュ[写真]=Getty Images
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ヒート2連覇への夢をつなげた“球団史上最も重要なリバウンドとアシスト”

 3月27日(同26日)に行われたオーランド・マジック戦のハーフタイムにて、マイアミ・ヒートはホームのアメリカン・エアラインズ・アリーナでクリス・ボッシュの永久欠番セレモニーを行った。

 2010-11シーズンからヒートに加入したボッシュは、共に入団したレブロン・ジェームズ(現ロサンゼルス・レイカーズ)とフランチャイズプレーヤーのドウェイン・ウェイドらと共に11年から4年連続でNBAファイナル進出に大きく貢献。12、13年の2連覇でも貴重な役割を遂行してみせた。

「僕がどん底に陥っていた時、それを乗り越えようとしている時に立ち直る術を教えてくれた。本当に感謝している」と語ったボッシュ。14-15、15-16シーズンはエース格としてプレーしていたものの、血栓が発覚してしまい、2シーズン連続でオールスター後に戦線離脱する不運に見舞われてしまったものの、レブロン、ウェイドに次ぐ第3の男として攻防両面で献身的なプレーを見せてきたことは紛れもない事実。

 会場にはアロンゾ・モーニング(元ヒートほか)やシェーン・バティエー(元メンフィス・グリズリーズほか)、ジュワン・ハワード(元ワシントン・ウィザーズほか)といったヒートのOBたちが集結する中、ボッシュが着用していた1番はヒートのフランチャイズ史上4人目の永久欠番となった。

 セレモニーに出席したパット・ライリー(ヒートのバスケットボール運営部門代表)は「彼はただのスーパースターではない。信じられないほど最高のスーパーヒューマンなんだ。私はマイアミ・ヒートに捧げてきた男として、いつでも、いつまでもクリス・ボッシュを歓迎したい」とボッシュを評した。

 サンアントニオ・スパーズとの13年NBAファイナル第6戦。ヒートはレイ・アレン(元ボストン・セルティックスほか)によるミラクル3ポイントで同点に追いつき、延長の末に撃破。翌第7戦も制したことで2連覇を達成したのだが、アレンの3ポイントを引き出したのは他ならぬボッシュ。

 レブロンが3ポイントをミスすると、オフェンシブ・リバウンドをもぎ取り、バックステップで右コーナーへと向かうアレンへボールをつなぐ好プレー。ライリーはボッシュが見せたこの2プレーを「フランチャイズの歴史において、最も重要なリバウンドとアシストだ」と語り、ボッシュの功績を称えた。

⑳ジノビリとの争いに競り勝ち、オフェンシブ・リバウンドをもぎ取ったボッシュ(中央)[写真]=Getty Images

全盛時にエースから第3の男へと転身し、自己犠牲の末に優勝を勝ち取った男

 ウェイドはセレモニーの中で「これまでで史上最高の選手の1人。この男がビッグ3時代を伝説的なものにしてくれました」とボッシュについて語ると、会場に向かうことができなかったレブロンは「君なしではヒートで優勝することはなかった」という言葉をボッシュに送った。

 ラプターズ時代を含めてキャリア13シーズンで2度の優勝、11度のオールスター選出を誇るボッシュは、通算893試合(うち先発は881試合)に出場して平均35.8分19.2得点8.5リバウンド2.0アシスト1.0ブロックを記録。

2013年に2連覇を達成したビッグ3(左からウェイド、レブロン、ボッシュ)[写真]=Getty Images

 キャリア終盤にボッシュとプレーしたゴラン・ドラギッチが「皆忘れてしまっているようだけど、彼はマイアミでビッグ3としてプレーしていた時、誰よりも自分を犠牲にしていた。ラプターズでフランチャイズプレーヤーとして多くの注目を浴び、数多くのショットを放ってきたんだ。そんな選手が新たな環境でチームのために自己犠牲することはそう簡単にはできないこと。でも彼はそれを遂行したんだ」と語ったように、ボッシュは全盛期にプレースタイルを変えて、チャンピオンチームの一員となったことはもっと評価されるべきなのかもしれない。

 ボッシュも自身のキャリアに誇りを持っており、冗談半分に「スプリングフィールドでまた会おう」とコメント。バスケットボール殿堂入り式典が行われるマサチューセッツ州スプリングフィールドで、自身が近い将来殿堂入りすることについて「簡単なことさ。僕はきわめていいキャリアを送ったからね。だから選考委員の人たちにとっても、僕の殿堂入りを決断するのは簡単なことなんじゃないかな」と口にしている。

 はたして、ボッシュの殿堂入りは実現するのか。資格を得て最速で選出されるかどうかは不透明ではあるものの、一度血栓が発覚してから復帰したことも含めて、ボッシュは多くのスポーツファンに好影響を及ぼしてきただけに、その可能性は十分あると思いたい。

13シーズンに及んだNBAキャリアを終えたボッシュ。殿堂入りの行方にも注目していきたい[写真]=Getty Images