「残り3分で6点負けていても、パニックになったりはしなかった」と振り返る
1勝3敗と3連覇へ後がない状況で迎えた「NBAファイナル2019」の第5戦。ゴールデンステイト・ウォリアーズはケビン・デュラントが約1か月ぶりに復帰したものの、前半にアキレス腱を痛めて戦線離脱するというアクシデントに見舞われた。
ウォリアーズはステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、デマーカス・カズンズを中心に点を積み上げてリードを保持していくも、第4クォーター残り約5分から相手チームのエースが襲い掛かる。
トロント・ラプターズのカワイ・レナードが、2点ビハインドの場面で3ポイントを沈めて逆転すると、ドレイモンド・グリーン(ウォリアーズ)のショットを挟んでペイントエリアのショットと3ポイント、プルアップジャンパーをリムへ突き刺し、ラプターズが残り3分28秒で6点リードを手にする。
だが王者ウォリアーズがこの窮地に屈することはなかった。「残り3分で6点負けていて、相手のポゼッションであろうと、僕らがパニックになったりはしなかった。自分たちがやるべきことをこなすだけ」とトンプソンが試合後の会見で語ったように、ウォリアーズはそこから約3分間、ラプターズをシャットアウトしてみせた。
オフェンス面ではカリーのアシストから残り2分32秒でトンプソンがこの日6本目の3ポイントを沈めて3点差とすると、残り1分22秒にはカリーがアンドレ・イグダーラのアシストで鮮やかに3ポイントを放り込んで同点に追いつく。
レナードの3ポイントがリムに嫌われると、直後のポゼッションでトンプソンがマークマンをフェイクで交わし、残り57.6秒に決勝弾となる3ポイントをねじ込み、ウォリアーズが3点リードを手にした。
カズンズのゴールテンディングにより、カイル・ラウリーのレイアップがカウントされ、ラプターズに1点差まで詰め寄られたものの、ラウリーの逆転をかけた3ポイントをしのぎ切り、ウォリアーズが1点差で制してシリーズ決着を先延ばしすることに成功。
勝負どころを経験の差で制した王者、「この時点で動揺はない」とトンプソン
この試合でトンプソンはカリー(31得点)に次ぐ26得点に6リバウンド4アシスト。13投中7本の長距離砲を決め切り、見事な逆転劇を演出した。この試合の勝因について、トンプソンは『NBA TV』へ経験の差だったと明かした。
「僕らは落ち着いてプレーしていた。特に勝負どころでね。若いチームが(僕らと)同じようにプレーできるとは思えないね。僕らはこれまでにすべてを見てきた。3勝1敗とリードしていながら、それを台無しにしてしまったことも見てきたし、1勝3敗からはいあがって勝利を収めたこともあった。この時点で、僕らが動揺することなんてないんだ」。
第2戦の第4クォーターに左ハムストリング軽度の肉離れを起こし、トンプソンは大事を取って第3戦を欠場していた。だが第4戦に復帰すると、時折負傷した箇所を気にしつつ、10投中6本の3ポイント成功を含む28得点をマーク。第5戦でも26得点と、ここ2試合でトンプソンの高位安定したプレーが光る。
2勝3敗でラプターズに王手をかけられている状況に変わりはないものの、ウォリアーズはホームのオラクル・アリーナで行われる第6戦へと望みをつなげた。
デュラントの戦列復帰は絶望的なため、カリーとトンプソンのパフォーマンスが、そのままウォリアーズの勝利に直結することとなる。過去4シーズンで3度も優勝した王者の経験を活かし、第7戦へと持ち込むことができるか注目だ。