今年の10月8日と10日に「NBA Japan Games 2019 Presented by Rakuten」(以降ジャパンゲームズ)で日本へやって来る今季の覇者トロント・ラプターズとヒューストン・ロケッツ。ここでは、期待のマッチアップと両チームの注目選手を紹介していきたい。
※所属は2018-19シーズン終了時点、選手名の後に※印がある選手は移籍の可能性あり
■ジャパンゲームズ 見逃せないマッチアップ
レナード対ハーデン、世界屈指の実力者が日本で激突!
ラプターズとロケッツには、それぞれリーグ最高級の実力者がいる。前者が今季のファイナルMVPに輝いたカワイ・レナード(※)、後者は昨季のシーズンMVP受賞者であるジェームズ・ハーデンだ。
キャリア8年目のレナードは、サンアントニオ・スパーズ在籍時の2014年に優勝を勝ち取り、ファイナルMVPに輝くと、最優秀ディフェンシブプレーヤー賞(DPOY)を2年連続で受賞。リーグベスト5と言っても過言ではないオールNBAファーストチームに2度選ばれたほか、ポジション別でディフェンス面に秀でた選手を選ぶオールディフェンシブチームには通算5度選出されており、そのうち3度がファーストチームと申し分ない実績を誇る、攻防両面においてリーグ屈指の能力を持つスモールフォワード。
ラプターズ在籍1年目となった今季、レナードはキャリアハイとなる平均26.6得点7.3リバウンドに3.3アシスト1.8スティールでラプターズをけん引。プレーオフに入ってからはさらにギアを上げており、プレーオフ全体で平均30.5得点9.1リバウンド3.9アシスト1.7スティール。チームが得点を必要とする時に着実にもぎ取る決定力、ショットが不調でもフリースローで点を稼ぐ堅実さが光った。得意とするディフェンスにおいても、相手チームのスコアラーをガードし、大いに苦しめてきた。ラプターズが創設24年目で初優勝を成し遂げた最大の殊勲者は、もちろんこの男である。
対するハーデンは、キャリア10年目のシューティングガード。昨季MVPに輝いたほか、オールNBAファーストチームには通算5度、ここ3シーズンは連続して選ばれている。トレードマークとなったボリュームたっぷりのあごひげは、“ほかの選手たちとは違う”という個性を出すためなのだが、現在はそのプレーぶりだけで唯一無二のオフェンシブプレーヤーとしての地位を確立した。
ビッグマンにも当たり負けしないフィジカルの強さを持つハーデンは、自由自在にボールを操り、ヘジテーションやクロスオーバー、ピック&ロールなどで相手ディフェンダーを抜き去り、レイアップやフローターでフィニッシュ。パスとシュートの判断力にたけており、アシストも多い。また、自慢のステップバックでスペースを作り出し、左手から放つ3ポイントも抜群の威力を誇る。
今季はNBA史上2位となる32試合連続30得点以上、9度の50得点超えを記録するなど得点面で猛威を振るい、平均36.1得点を挙げて2年連続の得点王に。だがハーデンは闇雲にショットばかり放っているわけではない。今季だけで4度も50得点10アシスト以上を記録したことからもわかるように、アシストも平均7.5本と得意分野としている。ノーマークになっているチームメートを見つけ出し、3ポイントやダンク、レイアップを数多く演出してきた。
両者によるマッチアップだが、今季2度対戦していずれもハーデン率いるロケッツが勝利。ハーデンはラプターズとの2戦で平均35.0得点5.0アシストを記録しているのだが、この大部分はダニー・グリーン(※)やOG・アヌノビーから挙げたもの。両チームの指揮官は、トップスコアラーにディフェンス面で大きな負担をかけないようにしていることから、レナードがハーデンにマッチアップする機会はほとんどない。
とはいえ、この2試合でレナードがマッチアップした計16回のポゼッション(機会)において、ハーデンはフリースロー2本しか決めておらず、わずか平均1.0得点。ハーデンはレナード相手にショットすらほとんど放っていないのである。
反対に、レナードはロケッツとの2戦で平均29.0得点6.5リバウンド。ロケッツはレナードに対して主にPJ・タッカー(※)がついており、ハーデンがディフェンスについたのは計17ポゼッション。回数が少なかったとはいえ、レナードはハーデン相手に計11得点を挙げており、フィールドゴール成功率66.7パーセント、3ポイント成功率50.0パーセントと高確率で沈めている。
ジャパンゲームズはプレシーズン期間ということもあり、両者がマッチアップで火花を散らす機会は少ないかもしれない。それでも、両選手によるマッチアップを目にしたら、ぜひとも注目していただきたい。
■チームを代表するイケメン!
ラウリー&ポール、人望が厚く、ファンからの人気も根強い司令塔
2015年から5年連続でオールスターに選ばれているカイル・ラウリーは、キャリア13シーズン目の33歳で、ラプターズきっての人気者。在籍7年目の最古参は、少年のような笑顔とチームメートたちとの友情を大切にする熱血漢。トロントにいる多くのファンから愛されているラウリーは、チームをけん引するリーダーであると同時に、屈強な肉体を駆使してルーズボールや相手のオフェンシブ・ファウルを誘発する献身的な姿勢も評価が高い。
一方のクリス・ポール(※)は、キャリア14年目を終えた34歳のベテラン。オールスター選出は9度を誇り、オールNBAチームとオールディフェンシブチームにそれぞれ8回以上選ばれてきた攻防兼備のポイントガード。これまでアシスト王に4度、スティール王には6度輝いており、この2部門では現役トップ、歴代でもトップ10の数字を記録している。
ファッションセンスにも定評があるポールは、かつてエレガントな装いで『GQ』に登場したほか、2006年には雑誌『People』の“100 Most Beautiful People”(最も美しい100人)にも選出された男でもある。
互いに覚えやすい名前でベイビーフェイス(童顔)という共通点があるものの、エリート街道を走ってきたポールとは対照的に、ラウリーはNBA入り後も先発に定着するまで数年間を要した苦労人。タイプの異なる司令塔のプレーを見届けてほしい。
■縁の下の力持ちとしてチームを支えるいぶし銀
エネルギッシュなプレーで盛り立てるイバカ、異色の経歴を持つタッカー
ラプターズとロケッツにおいて、縁の下の力持ちとして不可欠なブルーカラーな選手も紹介しておきたい。
コンゴ共和国とスペイン(代表でプレー経験あり)という二重国籍を持つサージ・イバカは、エネルギッシュなプレーでラプターズを盛り立てるビッグマン。208センチ106キロの体躯を活かしてリバウンドやブロックで暴れ回り、ダンクやオフェンシブ・リバウンドからショットをねじ込む粘り強さは会場を大いに盛り上げており、数字以上の影響力を誇る。
ゴールデンステイト・ウォリアーズとの「NBAファイナル2019」でも、イバカは全試合でベンチスタートながら、平均19.3分11.3得点5.2リバウンド1.7ブロックをたたき出し、ラプターズのNBA制覇に大きく貢献。キャリア10シーズン目にしてうれしい初優勝を成し遂げた。
一方のPJ・タッカー(※)は、198センチとガード並みの身長ながら、111キロを誇るフィジカルの強さと横幅を駆使してパワーフォワードやセンターを務めるユニークな選手。オフェンスでは主にコーナーから3ポイントを放ち、ディフェンスでは相手チームのスコアラーやビッグマン相手に奮闘。
イスラエルやウクライナ、ドイツなどでプレーした経験を持ち、ロケッツではチームに不可欠な選手として活躍している。また、無類のスニーカー好きでもあるため、ジャパンゲームズでどんなバッシュを着用するかも気になるところだ。