レイカーズ、ラプターズとの争いを制し、クリッパーズがレナード獲得に成功
昨季のファイナルでトロント・ラプターズを創設24シーズン目にして初の優勝をもたらし、自らはファイナルMVPを獲得したカワイ・レナードがリーグに強烈な衝撃を与えた。
プレーヤーオプションを破棄して制限なしフリーエージェント(FA)となったレナードは、ラプターズ残留、大学時代まで過ごしたカリフォルニア州に本拠地を置くロサンゼルス・レイカーズ、ロサンゼルス・クリッパーズという3択で揺らいでいた。
そして現地時間7月6日、リーグの情報筋が『ESPN』へ伝えたところによると、レナードは4年1億4,200万ドル(約153億3,600万円)でクリッパーズとの契約に合意したという。
かつてファイナルMVPを獲得した選手が翌シーズンに移籍したケースは、少なくとも1980年代以降では皆無。マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)が93年秋に1度目の現役引退、99年に2度目の現役引退をした時だけだったことを考えると、大きな衝撃というほかない。
クリッパーズは大物FA選手を獲得すべく、キャップスペースを空けていたとはいえ、レナードが実際に加入するかどうかは不透明であり、レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスが待ち構えるレイカーズ、あるいは優勝を成し遂げたラプターズ残留という線が強いと思われていただけに、リーグの勢力図も激変したと言っていいだろう。
ドラフト指名権を複数放出も、リーグ屈指の万能戦士PGを獲得して優勝候補へ
さらに、クリッパーズはオクラホマシティ・サンダーとのトレードにも合意に達し、昨季のMVP最終候補に入ったオールスター、PGことポール・ジョージも獲得。
レナードとジョージは一緒のチームでプレーすることを望んでおり、ジョージの代理人アーロン・ミンツは、サンダーのサム・プレスティGM(ジェネラルマネジャー)へここ数日トレードのリクエストをしていたと『ESPN』が報じていた。
クリッパーズはジョージを獲得すべく、ダニーロ・ガリナーリ(フォワード)、シェイ・ギルジアス・アレクサンダー(ガード)に加えて、4つのドラフト1巡目指名権(2021,22,24,26年)と条件付きのドラフト1巡目指名権(23年)などを放出。
今夏のFA戦線で、クリッパーズはガードのパトリック・ベバリーと3年4,000万ドル(約43億2,000万円)で再契約。フォワードのモーリス・ハークレスをトレードで獲得し、ガードのロドニー・マグルーダーと3年1,500万ドル(約16億2,000万円)の契約に合意と、特に目立った動きはなかったこともあり、大逆転劇となった。
レナード、ジョージという昨季平均25得点以上を挙げた攻防兼備のスーパースターを2人も同時に手にしたクリッパーズは、今季の優勝候補へと浮上したことは間違いない。
というのも、このチームにはベンチから大暴れを見せ、昨季のシックスマン賞に輝いたルー・ウィリアムズと同賞の最終候補に入ったモントレズ・ハレル、2年目を迎えるランドリー・シャメットが契約下にいるからだ。
既存選手たちに新加入選手たちを加えた今季のクリッパーズが誇るロースターは、リーグのどのチームとも互角以上に渡り合えることだろう。
なお、クリッパーズがFA戦線で大成功を収めた要因の1つに、フロントでアドバイザーを務めるジェリー・ウェスト(元レイカーズ)の存在があったに違いない。NBAのロゴマークであり、引退後もレイカーズやゴールデンステイト・ウォリアーズで成功を収めてきたこの男の影響力は健在と言っていい。
今後クリッパーズはビッグマンを獲得することで、より完成度の高いロースターを構築することになりそうだ。