ロケッツの仕事人PJ・タッカー「皆がウェストブルックの加入にワクワクしている」

チームの現状、W杯について語ったタッカー[写真]=Getty Images

「ラスが入ったからって、ただ喜んでいるわけにはいかない」とけん制

 昨季開幕前からヒューストン・ロケッツは“打倒ゴールデンステイト・ウォリアーズ”と意気込んでいたのだが、プレーオフではそのウォリアーズに2年連続の敗退。レギュラーシーズンでは3勝1敗と勝ち越していたものの、プレーオフという大舞台で勝つことができずに今夏を迎えた。

 するとロケッツのダリル・モーリーGM(ゼネラルマネージャー)はジェームズ・ハーデンを除くすべての選手に対するトレードのオファーを聞き入れることを表明。ハーデンを中心とする布陣でチャンピオンシップを勝ち取るべく、戦力増強をしていく姿勢を見せた。

 そしてロケッツが断行したのはポイントガードの入れ替えだった。直近2シーズンで先発ポイントガードを務めた34歳のベテラン、クリス・ポール(と複数のドラフト1巡目指名権)を放出し、3シーズン連続で平均トリプルダブルを記録中のラッセル・ウェストブルックをオクラホマシティ・サンダーから獲得。

リーグ随一の突破力を誇るウェストブルック(中央)を加えたロケッツ[写真]=Getty Images

 10歳の頃から知り合いで、サンダーで3シーズン、さらには2012年のロンドンオリンピックでもチームメートだったハーデンとウェストブルックというダイナミックデュオを手に入れたロケッツは、両輪を中心に今季へ挑む。

 ロケッツ不動の先発パワーフォワード、PJ・タッカーは8月16日(現地時間15日)に地元メディア『The Houston Chronicle』へ掲載された記事の中で、こう口にしている。

「ラスをこのチームに加えることができて、チームの皆がワクワクしている。だからといって、僕らはただ喜んでいるわけにはいかない。彼が加入したことで、僕らは新たにまとまっていかなきゃならないからね。自分たちのラインナップもそうだし、相手チームとのマッチアップもどう変わっていくかを見ていく必要がある。マイク・ダントーニHC(ヘッドコーチ)はそれが得意なんだ」。

 今季の予想スターターは、バックコートにウェストブルックとエリック・ゴードン、フロントコートにはハーデン、タッカー、クリント・カペラの5選手。ウェストブルックとゴードン、ハーデンによる超攻撃的なラインナップは、相手チームにとってガードすることが難しくなるに違いない。

 ただし、今季ロケッツが成功を収めるためには、トレーニングキャンプからウェストブルックを含めた主軸が一体となってケミストリーを構築していくことが必須となる。

アメリカ代表チームの“3&D”兼潤滑油として、W杯出場が期待されるベテラン

 なお、タッカーは現在、8月31日から幕を開ける「FIBAバスケットボール ワールドカップ2019」(以降、W杯)のアメリカ代表候補の一員としてトレーニングを行っている。

「僕がいるポジションは、これまで誰もやったことがないことだと思う」と語るタッカーは、34歳の苦労人。ドラフト指名されてNBA入りしたものの、キャリア初期にリーグから離れてイスラエルやウクライナ、ドイツなどで経験を積み、20代後半になってNBAへ定着したからだ。

 タッカーは今でこそロケッツにおいて不可欠な戦力となっているものの、これまでの経験を交えてアメリカ代表でプレーできる可能性があることについてこう語っている。

「NBAから長い間離れていて、そこからNBAで自分の地位を築いてきた。そして自分の国のためにプレーできるチャンスを得た僕のような選手がこれまでにいたとは思っていない。もしかすると、(W杯でプレーすることは)僕のキャリアを締めくくるようなものの1つになるかもしれないね。(W杯に出場して)金メダルを勝ち取るチャンスがあるのはすごいことだし、最高の経験だと思ってる」。

タッカー(左)はアメリカ代表のトレーニングでターナー(右)らと激しいプレーを見せている[写真]=Getty Images

 アメリカ代表のロースター候補の中で、タッカーはベテランという立ち位置であり、主力というよりもチームの潤滑油としてプレーする役割が期待されている。両コーナーを中心に3ポイントを射抜くシュート力、屈強なパワーとフィジカルコンタクトの強さを持ち、ディフェンスにも秀でたタッカーは、チーム随一の“3&D”と言っていい。

 ハーデンとゴードンがアメリカ代表のトレーニングキャンプ参加を辞退する中、タッカーはマイルズ・ターナー(インディアナ・ペイサーズ)ら若手選手たちと日々マッチアップしてロースター最終候補に残ろうとしている。

 ロケッツは今年10月にトロント・ラプターズとのジャパンゲームズが控えているため、ハードなスケジュールであることは否定できないものの、タッカーには世界の舞台でも自らの持ち味を存分に発揮してほしいところだ。

アメリカ代表としてW杯に出場できれば、タッカーにとって大きな財産となるに違いない[写真]=Getty Images

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