「彼は僕らにビッグマンたちがアウトサイドへ出て、シュート力を自らのアドバンテージにしてしまおうというアイデアをもたらしてくれたのさ」
NBAキャリア12年目のケビン・ラブは、クリーブランド・キャバリアーズで在籍6年目を迎え、今季はここまで56試合に出場して平均31.8分17.6得点9.8リバウンド3.2アシストに3ポイント成功率37.4パーセントを記録。成功数は平均2.6本と、自己最高ペースを残している。
得点とリバウンドで平均ダブルダブル級の成績を残すラブは203センチ113キロのビッグマンであると同時に、柔らかいシュートタッチからミドルレンジ、ロングレンジ、3ポイントも難なく沈めるシュート力も魅力の選手。ここ2シーズンはフィールドゴール試投数の半数以上が3ポイントとなっており、ストレッチ4としての役割が大きい。
そんなラブの父スタンは、NBAとABAで計3チームに所属し、4年のキャリアを持つ元プロバスケットボール選手で、通算平均6.6得点3.9リバウンドを残してきた。NBA入りを目指していたラブは、父スタンからダーク・ノビツキー(元ダラス・マーベリックス)のプレーを見て学ぶように駆り立てられてきたという。
5月23日(現地時間22日、日付は以下同)に『NBA on TNT』のアーニー・ジョンソンとのリモート インタビューの中で、ラブはこう振り返っていた。
「僕の父は本当にダークのことをよく見ててね。『いいか。この男こそ、お前が見る必要がある選手なんだ』と言ってたよ。お陰で自分のキャリアに深いインパクトを与えてくれたし、自分のゲーム、インサイドアウトのスタイルを広げることができたんだ。ストレッチ4の選手になれたし、ペースとスペース、そしてスモールボールといったように、ゲームが今どのような方向へと進んでいるのかを感じ取ることができたんだ。彼は僕らにビッグマンたちがアウトサイドへ出て、シュート力を自らのアドバンテージにしてしまおうというアイデアをもたらしてくれたのさ」。
昨季までマブス一筋21シーズンをプレーしてきたノビツキーは、213センチ111キロというセンターの体格でキャリア平均20.7得点7.5リバウンド2.4アシスト、3ポイント成功率38.0パーセントを残してきたレジェンド。
打点の高い3ポイントを軽々と放り込むだけでなく、ポストプレーやミドルレンジで繰り出すワンフットジャンパーで得点を量産。特に片足で跳んでスペースを作り出してから放つジャンパーは、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)を筆頭に、多くの現役選手が身につけて自らのスキルへと取り入れてきた。
ラブはピック&ポップから3ポイントラインへと抜け出して鮮やかに長距離砲を決めるけでなく、ドライブに秀でたバックコートの選手たちへスペースを与えつつ、ノーマークを作り出したり、合わせのカットからショットを決めて、毎シーズン安定して平均17得点前後を記録している。
シュート力を武器とするラブのようなビッグマンたちにとって、ノビツキーが切り開いたスタイルは大きな影響を及ぼしたと言っていいだろう。