ブッカーを中心に、チームとしての成長を示したサンズ/2019-20NBA通信簿チーム編24

ショットの精度が増したエースのブッカーは、リラードの代替選出でオールスター入りを果たした[写真]=Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。シーズン再開は7月下旬以降と現地メディアが報じている中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿チーム編24 フェニックス・サンズ

ウェスタン・カンファレンス(パシフィック・ディビジョン)
総合評価:C

■ここまでの戦績
今季戦績:26勝39敗(勝率40.0%/ウェスト13位)
ホーム戦績:13勝22敗(勝率37.1%)
アウェー戦績:13勝17敗(勝率43.3%)

■主要チームスタッツ(カッコ内はリーグ順位)
平均得点:112.6(14位)
平均失点:113.9(21位)
平均リバウンド:43.1本(22位)
平均アシスト:27.2本(1位)
平均スティール:7.8本(13位)
平均ブロック:4.0本(28位)
オフェンシブ・レーティング:110.2(16位)
ディフェンシブ・レーティング:111.3(19位)

正司令塔ルビオの加入もあり、平均アシスト数でリーグトップを記録[写真]=Getty Images

■主要スタッツリーダー
平均出場時間:デビン・ブッカー(36.1分)
平均得点:デビン・ブッカー(26.1得点)
平均リバウンド:ディアンドレ・エイトン(12.0本)
平均アシスト:リッキー・ルビオ(8.9本)
平均スティール:リッキー・ルビオ(1.5本)
平均ブロック:ディアンドレ・エイトン(1.7本)

■主な開幕後の選手またはコーチの動き
加入:ジョナ・ボールデン(10日間契約)
退団:タイラー・ジョンソン

出場停止処分は痛かったが、2年目のエイトンは昨季から着実に数字を伸ばした[写真]=Getty Images

昨年12月の8連敗を機に下位へと沈むも、昨季からチームとして成長

 昨夏ケリー・ウーブレイJr.と再契約を結ぶと、フリーエージェント(FA)で司令塔のリッキー・ルビオ、ドラフト指名権が絡んだトレードでダリオ・シャリッチ、アーロン・ベインズという即戦力の中堅を複数ロースターに加えることに成功。

 新たな指揮官にモンティ・ウィリアムズHC(ヘッドコーチ)を迎えたサンズは、2018年のドラフト全体1位指名のディアンドレ・エイトンをセンター、ウーブレイJr.とシャリッチをフォワード、そしてルビオとエースのデビン・ブッカーをガードに据えたスターター陣で開幕に臨み、初戦でサクラメント・キングスに快勝も、エイトンがNBAとNBPA(NBA選手会)が定める反薬物プログラムの規定に違反となり、25試合の出場停止処分が下される不運に。

 するとエイトンの代役としてベインズが得点、リバウンド、アシストでも奮戦。11月5日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦ではブッカーが40得点、ルビオが21得点7リバウンド10アシスト、ベインズが15得点7リバウンド6アシスト2ブロック、シャリッチが14得点をマークし、相手の開幕連勝を5でストップする会心の勝利。

 勝率5割に近い戦績を保って11月を終えたサンズは、ショットが絶好調だったブッカーを中心に、2010年以来初となるプレーオフ出場という期待もあった。ところが12月中旬から悪夢の8連敗、その後の4試合で3勝したとはいえ、11月下旬を最後に勝率5割には届かず。今季もウェスト下位へと沈んでしまった。

 とはいえ、ウェスト最下位に終わった昨季と比較すると、ディフェンシブ・レーティングは114.2(29位)から今季は111.3(19位)と改善の兆しを見せているだけでなく、オフェンス面でもチームとして向上していることが分かる。

 堅実なゲームメイクが光るルビオを加えたこともあり、ここまでリーグトップの平均アシスト数をマーク。オフェンシブ・レーティングでも昨季(105.3で28位)から今季はリーグ16位の110.2とこちらも伸ばしており、チームとして成長していることは今後に向けて良い傾向と言っていいだろう。

攻防両面で昨季を上回る数字を残したサンズ[写真]=Getty Images

代替選出ながら、ブッカーがキャリア5年目にして初の球宴出場を果たす

 開幕前、現役時代にポートランド・トレイルブレイザーズなどでプレーし、今季からサンズのアシスタントコーチに就任したスティーブ・ブレイクが『Glenn Clark Radio』に出演し、ルビオについて「彼は究極のポイントガード。コート上にいるチームメートたちを楽しくさせて、プレーメイクすることができるパスファーストの男なんだ」と絶賛したとおり、ルビオは新天地でも自身の価値を証明。

 ここまで57試合に出場して平均13.1得点4.6リバウンド1.5スティールに加えて、リーグ3位の8.9アシストでチームをけん引。昨年10月に出演した『The Ringer』で、ルビオはエースのブッカーをこのように高評価していた。

「ブッカーは最高のスコアラーだよ。彼がどれだけのスコアラーなのか、そしてこれまでどのくらいすばらしい選手だったのか、これから見ていきたいね。彼が今シーズン、オールスターに選ばれるように手助けをしたいと思ってる」。

リーグ有数のスコアラー、ブッカーはショット成功率全般で好数字を残した[写真]=Getty Images

 今年1月31日に発表されたオールスター本戦のリザーブ選手枠で、残念ながらブッカーの名前はなかった。だが2月に入ってデイミアン・リラード(ブレイザーズ)が鼠径部を痛めたことで出場を辞退。その代替選出とはいえ、ブッカーはキャリア5年目にして初のオールスター入りを果たしたことは、今季のサンズにおけるハイライトの1つ。

 オールスター期間中に行われたメディアセッションで、ブッカーは「僕にとっても家族にとっても、そしてフェニックス・サンズという組織、僕のファンたち、それに僕のことをサポートしてくれた人たちにとっても大きな晴れ舞台。この場にいることができて本当にハッピーさ」と語り、自身のオールスター入りについてこう話している。

「いつもこうなることを夢見てきた。まずはNBAでプレーすることだったんだ。それが実現したことで、世界のトッププレーヤーたちとマッチアップできるようになり、いずれはオールスターの舞台に立ちたいと思ってたんだ」。

 念願のオールスター選出を果たしたブッカーにとって、次のゴールはサンズをプレーオフへと導くことだろう。NBAは8月1日からシーズン再開を目指していると現地メディアが報じている中、プレーオフ出場の可能性が低いサンズが今季再びプレーできるかどうかは微妙。だが今季の経験を糧に、ブッカーとサンズにはさらなる成長を期待したい。

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