マブスが誇るコート上のリーダーとして大躍進したドンチッチ/2019-20NBA通信簿選手編22

マブスをウェスト7位という好位置へと押し上げたドンチッチ[写真]=Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、世界最高峰のエンターテインメント、NBAは3月13日(現地時間12日、日付は以下同)より2019-20レギュラーシーズンを中断することを余儀なくされた。6月に入り、7月31日からフロリダ州オーランドで22チームが参戦し、シーズンを再開することが決まった中、65試合前後を消化した各チームならびにその主要選手たちを振り返っていきたい。
※データは日本時間3月12日終了時点、%=パーセント、評価は上から順にS、A、B、C、D、Eの6段階

2019-20シーズンNBA通信簿選手編22 ルカ・ドンチッチ

所属:ダラス・マーベリックス(ウェスタン・カンファレンス7位)
総合評価:S

■プロフィール
生年月日(年齢):1999年2月28日生まれ(21歳)
ポジション:ガード
身長/体重:201センチ/98キロ
NBAキャリア:2年目
  
<今季ここまでの功績>
オールスター選出(初)
月間最優秀選手:1度(10-11月)
週間最優秀選手:1度

<2019-20シーズン 個人成績>
平均出場時間:33.3分
平均得点:28.7得点(リーグ6位)
平均リバウンド:9.3本(リーグ18位)
平均アシスト:8.7本(リーグ4位)
平均スティール:1.1本
平均ブロック:0.2本
フィールドゴール成功率:46.1%
3ポイント成功率:31.8%
フリースロー成功率:75.2%

■主要項目におけるシーズンハイ(相手チーム名は略称)
出場時間:43分02秒(20年1月5日/対ホーネッツ)★
得点:42得点(2度)★(キャリアハイタイ)
リバウンド:18本(19年12月4日/対ペリカンズ)★
アシスト:17本(20年1月16日/対キングス)★
スティール:4本(19年11月21日/対ウォリアーズ)★(キャリアハイタイ)
ブロック:2本(20年1月22日/対クリッパーズ)★(キャリアハイタイ)
フィ―ルドゴール成功数:15本(19年11月25日/対ロケッツ)★
3ポイント成功数:8本(20年1月18日/対ブレイザーズ)★
フリースロー成功数:15本(2度)★(キャリアハイタイ)
★=キャリアハイ

ディフェンダーを複数引きつけてから繰り出すキックアウトも秀逸[写真]=Getty Images

「マジシャンだ」「すばらしい才能を持った若手」「誰も教えることのできない、実に直感的なセンスを持っている」と絶賛された2年目のスーパースター

 昨季新人王を手にしたスロベニア出身の万能戦士は、今季も開幕から“ルカ・マジック”を連発。開幕戦ではワシントン・ウィザーズ相手にゲームハイの34得点、続くニューオーリンズ・ペリカンズ戦ではトリプルダブル(25得点10リバウンド10アシスト)と好スタートを切る。

 開幕5戦目となったロサンゼルス・レイカーズ戦からは20試合連続で20得点5リバウンド5アシスト以上をマーク。マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか/18試合連続)の記録を抜き去り、当時20歳だったドンチッチはNBAとABAが統合した1976-77シーズン以降では史上最長記録を樹立。

 今季最初の月間最優秀選手賞には、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)やレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)といった実力者たちを押しのけてドンチッチが選ばれた。

 それもそのはず、ジョーダン超えの記録だけでなく、11月には月間平均トリプルダブル(32.4得点10.3リバウンド10.4アシスト)を達成。月間10試合以上のスパンで平均30得点以上のトリプルダブルに到達したのはNBA史上でもオスカー・ロバートソン(元シンシナティ・ロイヤルズほか)、ラッセル・ウェストブルック(ロケッツ)しかいなかったことからも、ドンチッチの素晴らしさが分かるはずだ。

 12月に足首を痛めて欠場することもあったが、マブスをけん引するドンチッチに対する称賛が絶えることはなかった。

「彼は201センチのサイズでバスケットボールを持ったマジシャン。ストップするのは困難だ。彼についてこれ以上僕に言えることはないね。信じられない男だよ。昨シーズンのプレーを見た時点で、とんでもない印象を残していたけど、今シーズンはプレー全体が新たなレベルに達しているんだ」(ケビン・ラブ/クリーブランド・キャバリアーズ)

「彼がすばらしい才能を持った若手なのは間違いない。俺は彼のゲームが大好きだ。ショットをクリエイトできる能力もそうだし、チームメートたちを見つけるすばらしい視野を持っていることも好きだね。それこそ俺がこれまで成功を収めてきたスタイルなんだ。俺はいつだって彼が正しくプレーできていると信じているよ」(レブロン)

歩幅の広いステップバックから繰り出す長距離砲も抜群の威力を持つ[写真]=Getty Images

「こう表現するのは好きではないんだが、彼はマジック・ジョンソン(元レイカーズ)ではない。だがマジックがコート上で見せていたようなセンスを持っていると思う。彼には誰も教えることのできない、実に直感的なセンスを持っている。だからこそすばらしい選手なんだ。私は彼に対して『マジックに似ている』とプレッシャーをかけるつもりはない。でも見事な働きを見せているね」(グレッグ・ポポヴィッチHC/サンアントニオ・スパーズ)

 また、ゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はスーパースターのステフィン・カリーを引き合いに出してこう述べていた。

「笑顔でプレーしているのは比較的ユニークだね。ほぼ全ての選手は集中してるか、真剣な表情でプレーしている。でもサンアントニオ戦でルカを見た時、彼は(右足首ネンザから)復帰したばかりなのに笑顔を見せていた。笑顔でプレーするところがステフと似てるんだ。ファンはきっと笑顔でプレーしている姿を見ることが大好きだと思うよ。彼らがバスケットボールを楽しんでいるところを見ることができるんだからね」。

 バスケットを誰よりも楽しみつつ、内面には負けん気の強さを持つドンチッチは、プレーメイクをこなしながらピック&ロールや2メンゲームから絶妙なパスや巧みなフローター、レイアップを繰り出すと共に身体の重心をうまく移動させてステップバックスリーを放り込むなど、2年目ながらリーグ屈指の選手へと成長。

 オールスター本戦にスターター枠で選ばれたドンチッチは「オールスターゲームだからね。それが全てさ。この場にいられて本当にうれしい」と喜びを爆発。8得点4アシストを残して本戦を終えると、オールスター後からシーズン中断時点まで20得点以上を連発した。

 ウェスト7位の好位置にいるマブスにおいて、ドンチッチはトリプルダブル数でリーグトップの14回を達成。さらには今季唯一となる得点、リバウンド、アシストでいずれもリーグトップ20以内に入る選手として強烈なインパクトを残している。

オールスター期間に行われたメディアデイでは数多くの報道陣が集まった[写真]=Getty Images

「彼の練習中の姿勢やワークアウト、競争心が私は大好きなんだ」と指揮官が大きな期待を寄せるドンチッチのパフォーマンスは必見

 もっとも、今季ドンチッチが掲げる目標は「プレーオフに出場すること」。今月末にスタートする第二幕を前に、マブスはプレーオフ進出を決めていないものの、8位のメンフィス・グリズリーズとは7.0ゲーム離れているため、よほどの波乱が起こりでもしない限り、マブスは早々に2016年以来初のプレーオフ進出を決めるはずだ。

 7月上旬。ドンチッチは「(シーズン再開後に参戦することについて)ためらうことはなかった。僕はバスケットボールがとても恋しかったし、ただプレーしたかったんだ」と『Eurohoops』へコメントしている。

 現有戦力の中で2011年のフランチャイズ初優勝を唯一経験しているキャリア14年目のベテラン、JJ・バレアは言う。

「このチームは最高の選手たちが集まったグループだ。そしてルカは僕らのベストプレーヤー。彼が今のプレーを続けていけば、このチームにいることができるなら、僕らには(優勝する)チャンスがある。僕が言えるのは、ルカとダーク(ノビツキー/元マブス)に闘争心が備わってるということ。何をするにしてもね。ダークは練習であろうとやり合うことが大好きだった。ルカも練習であろうとどんなことでも勝利することを好んでる。あの2人はどんな日であろうと、どんな時であろうとベストプレーヤーになることを望んでる。その点もダークの若い頃と似ているね」。

ドンチッチは変幻自在のボールハンドリングから数々のマジックを生み出す[写真]=Getty Images

 指揮官のリック・カーライルHCは「彼の練習中の姿勢やワークアウト、競争心が私は大好きなんだ。このチームのコート上におけるリーダーだからね。彼がボールを持つといろんなことに対してフォーカスしようとしている。それこそ彼自身が求める役割なんだ」と大きな信頼を寄せている。

「皆と一緒にプレーしてから、だいぶ時間が経ってしまった。まだちょっとしか共にプレーできてないから、もっともっと練習しなきゃいけないし、ケミストリーも高めていかないといけない。でも僕らは良くなっていけるさ」。

 マブスにはクリスタプス・ポルジンギスティム・ハーダウェイJr.セス・カリーなど、多くの得点オプションがあるものの、そのまとめ役を務めるのはもちろんドンチッチ。マブスを束ねる21歳の万能戦士が第二幕でどんなパフォーマンスを見せてくれるのかは要注目だ。

リング下でも多彩な得点オプションを持つだけに、ドンチッチはガードするのが難しい選手の1人だ[写真]=Getty Images

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