「シーズン前から取り組んできたことで、その練習の成果が出ている。でもまだ完成されたものではない」
今季3シーズンぶりのプレーオフ出場となったワシントン・ウィザーズは、現在フィラデルフィア・セブンティシクサーズとのファーストラウンドを戦っており、3試合を終えて3連敗と、後がない状況に追い込まれている。
5月31日(現地時間30日、日付は以下同)にチーム練習を終え、翌6月1日の第4戦に備えたウィザーズは、ラッセル・ウェストブルックが右足首捻挫、イシュ・スミスは左足付け根の痛みのため、第4戦の出場はquestionable(未定)となっている。
ウィザーズはレギュラーシーズン(平均116.6得点)と比較して、シクサーズとのシリーズでは平均105.3得点と、10点以上もダウン。大柄な選手たちがそろうシクサーズの堅守の前に、3ポイントも35.1パーセントから23.4パーセントまでダウン。
そうした中、初のプレーオフを戦う八村塁は、6投中成功5本の成功率83.3パーセントと高確率を維持。フィールドゴールも59.1パーセントと確率は良く、平均11.0得点に5.7リバウンドを残している。
スコット・ブルックスHC(ヘッドコーチ)は八村の3ポイントについてこう話している。
「すばらしいね。(彼は)チームに欠かせないから、もっと打ってほしいね。シューターにはいつもどんどん打って、決めてほしいと思っている。塁はその期待に応えてくれているよ。シーズン前から取り組んできたことで、その練習の成果が出ている。でもまだ完成されたものではない。これから先も取り組み続けて、もっと向上していくだろう。私は彼のスリーに自信を持っている。しっかりと決め切っているが、もっと打ってほしいと思っている。経験を積んでいけば、フロア上の効果的なスポットがもっと分かるようになっていく。そのスポットへより早く到達できるようになっていくだろうね。彼の3ポイントは間違いなく向上した」。
相手のシクサーズは今季の優勝候補にも挙がる強豪で、ベテランぞろいのチーム。八村はトバイアス・ハリスをはじめ、スイッチからベン・シモンズやダニー・グリーン、セス・カリー、そしてジョエル・エンビードとマッチアップする場面もあり、ディフェンス面で苦しむ場面はあるものの、指揮官は2年目の若手フォワードに対して期待を寄せていた。
「(塁にとっては)初プレーオフで、ここまで3試合に出場しているが、彼は常に平常心だ。感情が激しく変動したりしない。塁は毎試合、向上しているよ。今は(シクサーズ相手に)ディフェンス面で(毎試合)すごく難しい判断を迫られている。これからも引き続き、この部分を向上していかないといけないね。私も彼と一緒にこの挑戦に応えないといけない。彼は1番から5番まで守れる。このシリーズでは1番から4番だが、(ドワイト)ハワードについた時間帯もあった。塁は今後、相手の1番から4番を高いレベルで守れる選手に成長していくと思っている」。
レギュラーシーズンとプレーオフは別物と言われるなか、3戦連続で2ケタ得点しているのは立派。だがゲームの展開を大きく変えるほどの得点ではなく、シクサーズはブラッドリー・ビール、ラッセル・ウェストブルックという両巨頭をスローダウンさせることにフォーカスしており、勢いに乗せまいと3ポイントを抑えにきている。
6月1日の第4戦に敗れてしまえば、ウィザーズの今シーズンは終了してしまう。優勝候補を相手にプレーオフという大舞台で1勝をもぎ取ることができるか、注目していきたい。