6月下旬。ポートランド・トレイルブレイザーズの新たな指揮官候補として、マイク・ダントーニ（ブルックリン・ネッツ・アシスタントコーチ）、チャウンシー・ビラップス（ロサンゼルス・クリッパーズAC）、そしてベッキー・ハモン（サンアントニオ・スパーズAC）の名前が挙がっていた。

　だがブレイザーズの新HC（ヘッドコーチ）として招へいされたのは、2004年にデトロイト・ピストンズのリーダー格としてNBAチャンピオンに輝き、現役時代から人望の厚いビラップスだった。

　ダントーニはフェニックス・サンズやヒューストン・ロケッツなど数多くのチームで指揮官を務めた経験を持つベテラン。一方のハモンは2014－15シーズンから今季まで、計7シーズンもの間、スパーズでACを務めているものの、NBA史上初となるフルタイムの女性HC誕生はまたしてもお預けに。

　7月12日（現地時間11日）に『CNBC』へ掲載された記事の中で、ハモンは現状についてこう話していた。

「私は腹を立てているわけじゃない。これはビジネスであり、非常に競争の激しいものだから。でも結局のところ、全てを投げ出すほどのことでもあるの。もし私を雇うなら、そこには理由が存在する。そうでなければ、その理由を見つけることになる。ただそれだけのこと」。

　もっとも、ブレイザーズとの面談をしている段階で、ハモンには「自分ではないのでは？」と思う部分があったという。

「（HC選定の）プロセスについて話し合っている時、私は自分が2番手なんだと確信した。彼らが誰を求めているのかもわかった。それでも私は良かった。人生の中で、私はこれまでどのレースでも劣勢だったから。でも同時に、自分が目指していることに対して何も知らないわけじゃない」。

　現在、NBAチームでHC枠に空きがあるのはワシントン・ウィザーズとニューオーリンズ・ペリカンズのみ。ハモンはここ数年、新HC候補の1人として毎年名前が挙がっているだけに、近いうちにNBA史上初となるフルタイムの女性HCが誕生する日を心待ちにしたい。