2022.05.27

NBAが放映権契約の切れる2024年にシアトルとラスベガスに新球団設立を容認か

かつてシアトルにあったスーパーソニックスは、ケンプ(右)とペイトン(左)が在籍した90年代も人気を博した [写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 長年囁かれているNBAの新球団設立および参入の噂だが、スポーツコラムニストのジョン・カンザーノによると、噂が現実へと変わる日はそう遠くはないのかもしれない。

 同氏によると、NBAは現在の放映権契約が満了を迎える2024年に、その時が来ると主張している。

 最有力候補は言わずもがな、シアトルとラスベガスになるだろう。

 シアトルは、リーグへのカムバックを長らく待ち望んでいる都市のひとつである。2008年にフランチャイズがオクラホマシティに移転し、球団名をサンダーへと改名するまで、シアトルはスーパーソニックスの本拠地として名を馳せた。ショーン・ケンプ(元クリーブランド・キャバリアーズほか)、レイ・アレン(元ボストン・セルティックスほか)、ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)など、球団の歴史には後世にその名が語り継がれるスターが名を連ねており、同都市とNBAの熱狂的なファンたちからはグリーン/イエローのジャージの再出発が期待されてきた。

「世界はシアトルで終焉を迎えた気がしたんだ。あの都市とファンはそれ(球団の移転)に値しないからね。彼らに球団を取り上げられるような資格はなかった」

 そう語るのは、スーパーソニックスのレジェンド、ゲイリー・ペイトン(元ロサンゼルス・レイカーズほか)である。

「僕は、シアトルに球団を再建するために懸命に働いてきた。リーグに新球団を追加しようと試みており、それは現実になるだろう。アダム・シルバー(NBAコミッショナー)は、我々がいくつかのチームを追加すべきであることを理解していると思う。そして、シアトルは彼が迎え入れる球団のひとつであり、都市はそれに値するはずだ。NHLが、クラーケンズという新たなホッケーチームを迎え、彼らがアリーナを建設したようにね。NBAが、それをしなければならない。クラーケンズのホーム開幕戦に、アダム・シルバーは視察に訪れていたと思う。だから、僕は球団承知が実現すると思うし、素晴らしい出来事になると確信している」

 一方、ラスベガスもまた、何年も前から新球団発足のアイデアが議論されてきた都市である。24時間営業のカジノを筆頭に、エンターテインメントの集約地であるこの地に、今までNBA球団が存在しなかったことが不思議なほどだ。

 ラスベガスは、西海岸で最もエキサイティングかつ知名度のある都市として、全米のスポーツリーグが進出を検討している。最近ではNHLよりゴールデンナイツの発足が広く報じられたばかりで、WNBAのエーシズは2018年より米国最大の歓楽都市を本拠地としている。

 サマーリーグの開催、アメリカ代表の合宿など、昨今のラスベガスはアメリカのバスケットボールと説得力のあるリレーションシップを築いている。今年4月には、スポーツやライブエンターテインメントの開発・投資事業を行っている「Oak View Group」が、総額30億ドル(約3700億円)を投じて、2万席のアリーナを含む新たなスポーツ・エンターテイメント地区の開発計画を発表したばかりだ。

「火のない所に煙は立たぬ」という諺があるように、根拠も理由も魅力もない都市で、このような議論が継続的に行われるだろうか。放映権の分配が参入の大きな足枷になっていたのは紛れもない事実であり、節目となる2024年に新たなアクションが起こるのは想像に難くなく、これ以上に相応しいタイミングはないはず。

サマーリーグやアメリカ代表の合宿も行われるラスベガスにフランチャイズが誕生しても、何も不思議はない [写真]=Getty Images


文=Meiji

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