2023.06.13

ファイナル第5戦でヒーローをコートへ送り込まなかった苦渋の決断をヒート指揮官が語る

1勝4敗で今年のファイナルを終えたスポールストラHC[写真]=Getty Images
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「本当にタフな決断で、私はおそらく夏の間ずっとそのことに取り組むことになるだろう」

 マイアミ・ヒートは「NBAプレーオフ2023」でイースタン・カンファレンスの第8シードからファーストラウンド、カンファレンス・セミファイナル、そしてカンファレンス・ファイナルを勝ち上がり、2020年以来3年ぶりに頂上決戦へ駒を進めてきた。

 だがデンバー・ナゲッツとの「NBAファイナル2023」では第2戦こそ敵地で勝利したものの、ホームで行われた第3、4戦で連敗。6月13日(現地時間12日)の第5戦も89-94で落としたことで、1勝4敗でシリーズ敗退。

 試合後の会見で、エリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)はフランチャイズ史上初のNBAチャンピオンに輝いたナゲッツを称えていた。

「おめでとう、デンバー・ナゲッツ。彼らは一流で、素晴らしいバスケットボールチームの1つだ。我々が乗り越えるうえで十分な解決策を見出すことができなかったずば抜けたチームの1つだ」

 ヒートはこの試合の第4クォーター残り4分43秒にニコラ・ヨキッチのジャンパーで7点ビハインドを背負うも、ジミー・バトラーが執念を見せ、3ポイントシュート2本とフリースロー3本を決め切り、残り2分47秒にプルアップジャンパーを放り込んで87-86と逆転に成功。

 その後ジャマール・マレーのアシストからヨキッチが着実に決めてナゲッツが逆転するも、ヒートはバトラーがフリースロー2本を決めて残り1分58秒でまたもや逆転して1点をリ―ドも、その後ブルース・ブラウンがオフェンシブ・リバウンドを奪ってリング下でショットをねじ込むと、ヒートは点を取ることができずに力尽きた。

 この日のヒートはバトラーが21得点5アシスト3スティール、バム・アデバヨが20得点12リバウンド、カイル・ラウリーが12得点9リバウンド4アシスト2スティール、マックス・ストゥルースが12得点8リバウンド、ケイレブ・マーティンが10得点5リバウンドを残すも、チーム全体でフィールドゴール成功率34.4パーセント(33/96)に終わった。

ヒートを引っ張ってきたバトラー(右)とスポールストラHC(左)[写真]=Getty Images

 この日、右手骨折で約2カ月間も欠場が続いていたタイラー・ヒーローは、ようやく出場可能となったのだが、コートに足を踏み入れることはなかった。

「本当にタフな決断で、私はおそらく夏の間ずっとそのことに取り組むことになるだろう。こんな経験は初めてだった。(ファイナルという)試合はほかの試合とは比較できないほど全く違う。(プレーオフというのは)レギュラーシーズンとは違うスポーツなんだ。ファーストラウンドも、セカンドラウンド(カンファレンス・セミファイナル)も全く異なるもので、カンファレンス・ファイナルになるとフィジカル面やプレー自体が変わってくる」

 スポールストラHCはそう語り、さらにヒーローについてこう話していた。

「最もフィジカルな競い合いのなかで、2カ月ほど試合から離れていて、特に(復帰へ向けて)強化していなかったから、タフなことになっていたんだろう。ただ、これから先の数週間、このことが私を救うことにはならないだろう」

 ヒートはヒーローがミルウォーキー・バックスとのファーストラウンド初戦で戦線離脱後、現有戦力で戦い抜いてきた。その過程でベンチプレーヤーたちがステップアップし、粘り強い戦いを繰り広げて勝ち上がってきた。

 NBAファイナルという頂上決戦、しかも1勝3敗で追い込まれた状況で迎えた第5戦で、指揮官がヒーローをコートへ送り込まなかったことは苦渋の決断だったことは明白。

 結果としては1勝4敗でファイナル敗退となったものの、今年のプレーオフで快進撃を見せたバトラー率いるヒート、そして右手骨折という大ケガを負いながら、復帰に向けてトレーニングを続けてきたヒーローには、来シーズン以降に是非とも再び暴れ回ってほしい限りだ。

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