師走の足音も聞こえ始めた11月19日、B1リーグ第8節第1戦で中地区4位サンロッカーズ渋谷が同地区2位三遠ネオフェニックスを迎えた。前回のホームゲームは流山市のキッコーマンアリーナで行われたため、青山学院記念館での試合は約1カ月ぶりとなる。
小雨もぱらつく中、肌寒さを感じるこの日、SR渋谷のホーム青山学院記念館はふんわりと温かく、寒くなってきたこの季節にアリーナスポーツの恩恵を感じることができる。
連勝中の勢いのままに試合の主導権を握りたいSR渋谷は、広瀬健太のカットインで先制するも、三遠のオルー・アシャオルにゴール下からワンハンドダンクをたたきこまれ、ペースをつかむことができない。双方ともボールが手につかず、シュート精度も上がらない中、SR渋谷は新加入、211センチのチャド・ポスチュマスを投入する。今季B2リーグ第7節終了時点で得点ランク3位、リバウンドも7位と鹿児島レブナイズで実績を残したポスチュマスは自らの得点やスクリーンでオフェンスを推進。SR渋谷は、第1クォーターを18-13でリードとして序盤を制することに成功した。
第2クォーターに入ると、徐々に高さと強さで優るSR渋谷が2-3のゾーンディフェンスで効率的にリバウンドを奪取。広瀬の連続ポイントなどで一気に引き離しにかかるも、アシストランキングで首位に立つ三遠の鈴木達也にうまくゾーンを攻略されるシーンもあり、緊張感のある試合展開のまま後半に突入した。
後半戦序盤、SR渋谷は三遠にゾーンを攻略され、ペースを奪われかけたが、ポスチュマスのコートインで一気にリズムを取り戻す。特に、アイラ・ブラウン、満原優樹と構成するフロントコートはペイントゾーンでの強さを活かし、ハイポスト、ローポストでうまくポジションを入れ替わりながらディフェンスを押しこみ、勝負を決定づけた。試合は終わってみれば、80-62の18点差でSR渋谷が快勝。40分間を通して機能した2-3ディフェンスの堅固さを見せつける結果となった。
この試合、アウトサイドシュートが振るわず、得点が伸び悩んだSR渋谷であったが、フロントコートの高さを活かした安定のディフェンスとバランスの良い攻撃で、5人が2ケタ得点。試合後にBT テーブスヘッドコーチが「分散した数字が自分たちの目指すところ」と語ったように、チームのコンセプトに沿った会心のゲームとなった。インサイドの新たな柱として期待されるポスチュマスはデビュー戦でチームトップとなる18得点に加え、9リバウンドの大活躍。テーブスHCが「決して多くのことができる選手ではないが、サイズもあり、走ることができるのは強い」と語るとおり、ポスチュマス加入により、アイラ、満原と形成する“SR渋谷の3ビッグマン”が相手チームの脅威になりそうだ。
SR渋谷は、今季、土曜日の試合では無敗を誇る三遠の記録にストップをかけ、開幕以来となる今季2度目の3連勝を飾った。2週間のブレイクが明けたBリーグ。激戦の中地区から目が離せない。
文=村上成