2017.01.15

「B.DREAMプロジェクト」が始動、世代別代表経験選手の他、女性初のBクラブHCを目指す有望株も参加

“プロ志望コーチ”としてプロジェクトに参加した大西茉莉奈さん
バスケ情報専門サイト

 1月13日、「世界に通用する選手を輩出する」、「Bリーグのクラブが特別指定選手制度を活用して若い選手の強化育成ができる機会を創出する」ことを目的としたBリーグの新たな試み「B.DREAMプロジェクト」が始動。14日は横浜ビー・コルセアーズに所属する細谷将司の講演会とゲーム形式のトレーニングが実施された。

自身の学生時代などを語った横浜の細谷

自身の学生時代などを語った横浜の細谷

 最初に行われた講演会では、細谷が学生時代を振り返り、無名だった自身がプロにまで上り詰めた経緯を説明。加えて、参加者の質問に答えたり、自身の今後の目標を語ったりし、選手たちを奮い立たせた。

 約30分間の講演後は、体育館に移動して実戦形式のミニゲーム。Bリーグに所属するクラブのヘッドコーチやスカウト、ゼネラルマネージャー(GM)が視察に訪れる中、全国各地から集まった、満16歳以上満22歳以下を対象にした66名の選手がアピールした。

ミニゲームでは、選手が自身の持ち味を存分にアピールした

ミニゲームでは、選手が自身の持ち味を存分にアピールした

 ダシルバ・ヒサシら世代別代表経験選手や、船橋市立船橋高校の田村伊織ら昨冬のJX-ENEOSウインターカップ2016出場選手もいる中、ひと際存在感を放ったのが、指導者を目指す女性唯一の参加者である27歳の大西茉莉奈さんだ。もっとも、今回のプロジェクトは選手だけでなく、若手指導者の発掘も兼ねており、大西さんも“プロ志望コーチ”として参加した一人である。

 現在は筑波大学大学院生で、昨年はスポーツの勉強をするためドイツに留学。卒業論文は「ドイツと日本のスポーツ環境を比較して問題点を考え、最終的にバスケの振興や育成をどのように進めていけばいいかというのを提案するようなもの」という熱血ぶりだ。

 2013年4月から2015年3月まで、出身校でもある筑波大女子バスケ部でアシスタントコーチを務めた時に指導者への意欲が芽生え、ドイツから帰国後に「指導者になる」という決意に至ったという。現在はJBA公認のC級コーチライセンスを取得しており、まずはここ2、3年でのB級ライセンス取得を目指している。

ベンチから戦況を見守る大西さん

ベンチから戦況を見守る大西さん

 プロジェクト2日目となったこの日は、ベンチから「慌てないで」、「ディフェンス」などと声を張りあげ、選手を鼓舞。「私はまだ経験が多くないので、不安な部分が出てしまっているかと思います。そういう部分は、本人たちが『自分たちが』といった気持ちでやってくれますし、私は選手に“おんぶに抱っこ”状態です(笑)」と振り返る。もっとも、「今できていることとできていないことを落ち着いて分析することは、できていると思います」と自信を持って語る。続けて、「そこから先の、『じゃあどうするか?』という部分になると、まだまだ勉強不足な部分があるので難しいです」と今後の課題を語った。

 目標とするBリーグクラブのヘッドコーチについて、「まだ想像もつかないですけど……何とも言えないですね」と笑いながらも、彼女なりの熱意を語ってくれた。

「『女性もやれるチャンスがあるよ』というのがわかってもらえればいいかなと思います。一番は私が今の道をきちんと実現まで進んで、女性の指導者が増えるというのがいいと思います。(今のバスケ指導者は)女子も男子も見るのは男性が大半です。でも女子選手を見るなら女性が務めた方が良いことがあると思いますし、そういうことを考えると、女性がもっと出てきてもいいんじゃないかと思います」

 今後については「今回のプロジェクトを知る前から、もう一度海外に行こうという気持ちがあったので、それが叶うのであれば(目標は)また少し違った形になってくるかと。海外では勉強させていただけるチームを探す“武者修行”になると思います」と述べた。

 若手だけでなく、指導者発掘にも力を注ぐBリーグ。今シーズンの実施は今のところ予定していないとのことだが、トライアウトも含めて来シーズンも継続していく。今は選手の活躍に日が当たるが、今後の日本バスケ界を背負っていく人材にも注目しておきたい。

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