2017.11.20

“追われる身”にある秋田ノーザンハピネッツ、主将の田口成浩が持つプライドと地元への熱い想い

戦いの場をB2に移した今季でも、チャレンジ精神を忘れずにプレーしているという田口 [写真]=B.LEAGUE
東京都出身。全ては0からのスタート。バスケに関わる全ての人・事柄の魅力を伝えたい思いのみ。初心者ライターとして日々勉強中。

 2016年、華やかに開幕したBリーグの初年度をB2降格という悔しい結果で終え、最短でのB1昇格に向け戦いを続ける秋田ノーザンハピネッツアースフレンズ東京Zを迎えた、第9節のホームアリーナ『CNAアリーナ★あきた』を訪問した。

 プレーできる選手が限られ万全のチーム状態ではない中での2試合。両日ともオフェンスのリズムが悪かったが、第1戦は持ち味のディフェンスで東京Zの得点を60点台に抑え勝利。第2戦は最後まで流れを修正できず、今シーズン2つ目の黒星を喫した。

 しかし、勝率8割を超える強さで東地区首位を守り、創設時より常にトップレベルで戦ってきた秋田は、B2の中では圧倒的な強さがあると誰もが予想。各クラブもより強い気持ちを持ち、策を練って秋田との一戦に臨んでおり、“追われる身”という立場となっているが、そんな状況をどう感じているか、キャプテンの田口成浩に聞いた。

地元クラブ一筋でプレーする田口 [写真]=B.LEAGUE

「そういう風に言っていただくのはシーズンが始まる前から理解していたが、対戦したこともない相手に確実に勝てるということはスポーツにはありません。自分たちも初めて降格という経験をして、初めてB2というステージで試合をしているので、常にチャレンジという気持ちを忘れないように臨んでいる。B1にいたというプライドは全くなく、“秋田というチームで戦う”というプライドを持って、日々プレーしている」

 秋田県に生まれ、地元チームでプロ生活をスタートして7シーズン目。「秋田のために戦う」ということが、自ずと自分のためにもなるということがわかっているのだろう。そんな彼だからこそ、最後の言葉に力強さを感じ、愛されるゆえんが伝わってきた。

 そして、“秋田プライド”を持って戦うのは、選手、コーチ、スタッフはもちろん、「クレイジーピンク」とも称されるブースターも同じだ。初冬の寒さにも関わらず、両日2500名を超えるファンが集まり、平均来場者数も2800名超えとB1にも劣らない。

 Bリーグ屈指の人気を誇り、その熱さを象徴したのが、第2戦の一番のハイライトとも言える場面。田口が3ポイントを決め一時逆転した時だった。会場全体が歓声に沸き、ブースターの力で流れをつかめる好機を得ていた。

「クレイジーピンク」と称される秋田のブースター [写真]=B.LEAGUE

「どんな時でも最後まで諦めずにプレーをすることは当然ですが、声援があるからこそより強い気持ちを持てるし、『応援をしてくれる人たちに勝利をプレゼントしたい』という気持ちがそれ以上にある。たくさんシュートを決めて、一生懸命プレーする姿を見てもらい、『明日からまたがんばろう!』と思っていただけたら最高ですね。そう思っていただけることを、いつも心掛けている」と田口も話すように、ブースターの声援は確実に選手、クラブの力となっている。

 また試合だけではなく、アリーナへ一歩足を踏み入れると、ホーム感に満ち溢れているのが、秋田の魅力の一つだ。11月のホームゲームは『選手プロデュースMONTH』と題し、選手自ら考えたイベントの開催や、グッズや食べ物の販売が行われ、今後も来場者が楽しめるイベントを企画中。無料で配布されるゲームプログラムには、ピックアップ選手を紹介するコラムも掲載され、初心者の方にもクラブを知ってもらう工夫が施されている。

会場で配布されるゲームプログラム

 その中でも一番に感じられるのは、“おもてなし”の温かさだ。

 bjリーグ所属時代、2シーズン秋田でプレーをした東京Zのルーベン・ボイキンがアリーナに姿を現すと、会場全体が拍手に包まれ、彼の再訪を歓迎した。アウェイチームの選手入場時には、暗転した会場がホームカラーのピンクではなく、アウェイカラー一色に。これも、ブースターの自発的な“おもてなし演出”だとか。試合となれば真剣勝負だが、対戦相手を尊重するホスピタリティを感じることができた。

『スポーツ立県あきた』の言葉どおり、スポーツが作りだすエンターテインメントを体感しに、県内の方のみならず、ぜひ対戦クラブのファンやブースターにも足を運んでいただきたい。アリーナを後にする時には、「また来たい」と思う気持ちをプレゼントしてもらえるはずだ。

文=長澤芳恵