第4クォーター、じりじりと点差を広げられる中で意地を見せた。前半はチームのストロングポイントとなっていたインサイドを活かしアシストを連発。一転して相手に流れが傾くと、自らがスコアラーに徹し、最後の10分間では6点を積みあげた。
前日の60-83に続き、この日も60-74で川崎ブレイブサンダースに敗れたものの、チームの修正力は感じさせた。第1戦で30-52と大差をつけられたリバウンド数では37-36と盛り返し、前半を終えた時点での得点数も37−35とリード。第3クォーター始めに一気に10点を奪われそのまま逆転勝利を許したが、ポイントガードの並里成は「今日のディフェンスは良かった」と一定の手応えを感じた。
並里は第1クォーター残り3分48秒に、ディオール・フィッシャーのダンクをお膳立て。続く第2クォーター開始3分23秒には、ドライブで相手をかわしベンキー・ジョイスへ技ありのアシストを決めるなど決定機をたびたび演出。さらにその30秒後には自ら3ポイントシュートを決め27-24。前日とは打って変わった展開に持ちこみ、川崎に冷や汗をかかせた。
金曜日のゲームでは8得点6アシスト、翌土曜日も11得点10アシスト。滋賀レイクスターズの司令塔を担う並里は、チームが苦戦続きの中、今年2月には日本代表候補に選出された。「いつでも準備ができている」と語る背番号7の志は高い。「自分はどのポイントガードよりもいろいろなことができるし、リーグを代表して戦える」
派手なプレーが注目を集めがちだが、あくまで持ち味は守備と強調する。「一番はディフェンス。小さくても守れるところを見てほしい。それプラス、得点を取ることやアシストができることが強み」。3月17日時点でアシストはリーグ2位となる1試合平均6.9を記録、加えてスティールも同5位の1試合平均1.4と攻守に存在感を発揮する。
チーム浮上へ「練習からチーム一丸となって、決まり事をみんながしっかり理解して戦う必要がある」と話す並里は、滋賀のスタイルを「しっかりディフェンスして、自分が起点になってみんなで走る」と説示する。川崎との第2戦ではファイサンバ、フィッシャー、ジョイスと2メートル超え3枚を自在に動かし10アシスト。終盤戦で逆襲の狼煙を上げるには、オフェンス陣の“スイッチ”となる並里のゲームメークが不可欠だ。
文=安田勇斗