5月12日から、レギュラーシーズンを勝ち抜いた8クラブによるBリーグ王座を懸けた激闘、「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」が幕を開ける。そこでバスケットボールキングでは、よりチャンピオンシップを楽しんでもらえるよう、さまざまな企画を用意。ここでは同メディアで活動してくれているライター陣とともに、今シーズンにおける各クラブの振り返り、チャンピオンシップに向けての展望を紹介する。
リーグナンバーワンの攻撃力を引っさげ、悲願のBリーグチャンピオン獲得へ
圧倒的な勝率で3月末にはB1中地区のレギュラーシーズン地区優勝を決めた、シーホース三河。何と言っても彼らのストロングポイントは破壊力抜群の攻撃力でしかない。その証明として、リーグナンバーワンのチーム獲得得点とフィールドゴール成功率という数字が物語っている。
オフェンスにおけるフロアバランスの良さは、今シーズンも健在。チームで連動してフリーのスペースをいくつも作り、どこからでも得点を獲得していく姿は、相手ディフェンスもなかなか止められなかったのであった。そこの中心にいたのが、41歳の大ベテランにしてバスケIQの高さはリーグナンバーワンの桜木ジェイアール。ポストアップからの得点、さらにはディフェンスが寄ってくればフリーの味方にパスをして得点を演出。彼の状況判断能力の高さは、チームオフェンス構築のための大黒柱と言っていい。
しかし、今シーズンはそこにもう一つ武器が加わったのである。それが攻守の展開の速さ。激しいディフェンスから奪ったボールを素早く相手コートに運び、アーリーオフェンスで得点を重ねていく。今シーズンからチームに加入した村上直、西川貴之、松井啓十郎がこの戦術のアクセントになっている事は間違いないであろう。オフェンスでの緩急のバランスというのが、このチームの今シーズンを象徴する言葉なのかもしれない。
そんなチームが悲願のBリーグチャンピオンを獲得するために、3つのカギがあると考えている。
1つ目は「コートニー・シムズとのケミストリー」。シーズン途中に加入した211センチのシムズであるが、彼が完璧にチームにフィットすれば、攻守に置いてインサイドでより高いイニシアティブをつかむ事ができ、相手にとっては脅威がもう一つ加わる形になる。
2つ目は「セカンドユニットの存在感」。昨シーズン、主力の橋本竜馬、比江島慎、金丸晃輔の3人が最後の最後で力尽きたという印象を持っている。その中で彼らを重要な場面で最大の力を発揮させるためには、セカンドユニットがいかにゲームをいい形でつなげられるかがポストシーズンで大切な事になるに違いない。
そして、最後が「ゲームの入り方」。今シーズン敗戦を喫しているゲームは、第1クォーターで相手にゲームのイニシアティブを握られて追いかける展開が見られる。ゲーム序盤から集中して主導権を握る事ができれば、勝利を収めているだけにゲームの入りは最大限のエナジーを持って臨まなければならない。
この3つの鍵を開ける事ができれば、最後に最高の景色が待っているに違いない。
文=鳴神富一