滋賀レイクスターズの完成されたピック&ロール『BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK』

毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。Bリーグ2017-18シーズンの第32節から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ(B3所属)の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。

解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
写真提供=Bリーグ

【5】#30岡田優選手のゲームを決める冷静なミドルレンジショット(三遠ネオフェニックスvs西宮ストークス GAME2)

#2ドゥレイロン・バーンズ選手がしっかりと時間を使い、ドリブルでハイポストまでディフェンスを押しこむと、近くにいた#32ウェンデル・ホワイト選手がディフェンスを助けるために寄って来た。そこで#2バーンズ選手がディフェンスを引きつけ、トップにいる#30岡田選手へパス。ボールを受けるとゆっくり大きくポンプフェイクを入れ、ブロックショットに来たディフェンスを1人かわし、左にドリブルをつきしっかりとミドルシュートを沈めた。ここでは、日頃から警戒されるシュートをイメージして練習していて、実際の試合では練習どおりにパフォーマンスする、まさにベテランの冷静さを見た。シュートを決めたあとも至って冷静にしているところが#30岡田選手らしい。一方で残り33秒と緊迫した場面で、今季限りで引退する#3大口真洋選手を起用した三遠のコーチ陣にも注目。#2バーンズ選手に対して肩が腰の高さになるまで姿勢を落として食らいついた#3大口選手に、最後まで彼らしい闘志溢れるプレースタイルが目に焼きついた。

【4】#24田代直希選手の、ドライブからの華麗なステップワーク(千葉ジェッツvs琉球ゴールデンキングス GAME1)

第1クォーター残り7分10秒、#24田代選手がトップからトップスピードでドライブを仕掛ける。左手のドライブを止められると、ビハインドバックでディフェンスを置き去りにし、スピンムーブで次のディフェンスもかわし、最後は左手のフックシュートで得点を決めた。スピンムーブのあとにスピードを殺さずに、しっかりと着地まで姿勢を変えずにとどめて一気にスピンをしたことで、ディフェンスを置き去りにしたところの緩急が素晴らしい。相手のビッグマン3人を縫うように抜き去って決めたこのシュートに大きな歓声が湧いた。

【3】#7並里選手のパスから#40ディオール・フィッシャー選手のアリウープ(滋賀レイクスターズvs富山グラウジーズ GAME1)

#7並里選手がウイングでボールをもらうと、ハイポストエリアにいた#40フィッシャー選手に#6長谷川智伸選手がバックスクリーンを掛けた。ディフェンスがボール側を通ったため、オープンとなった#40フィッシャー選手がアリウープダンクシュートを叩きこんだ。このセットプレーは#6長谷川選手がバックスクリーナーになることで、ディフェンスとしてはもし#40フィッシャー選手を抑えに残れば、#6長谷川選手の外角シュートを止められなくなる。山を張らないといけないかもしれないが、#34サム・ウィラード選手が内側を通って抜けようとしたことで、すでにこのプレーが成立してしまう。スクリーンプレーに加え、その絶妙なタイミングでパスを簡単に出せる#7並里選手も素晴らしい。

【2】#24大塚裕土選手のゲームを接戦に戻す気迫のバスケットカウント3ポイントショット(滋賀レイクスターズvs富山グラウジーズ GAME2)

第4クォーターが始まって富山は10点のビハインド。精神的にもキツい状況の下、#24大塚選手は常にボールに体を向けながら動き続けていた。残り7分50秒、#11宇都直輝選手がトップでボールをもらうと、#45デクスター・ピットマン選手が気を利かせ、#24大塚選手にフレアスクリーン(外に広がるように使う)を掛ける。ボールから遠ざかるような動きで#24大塚選手にボールを持たせるとクイック3ポイントショットを放ち、見事に決めディフェンスとの接触を受けてバスケットカウント。絶対に負けられないと会場の半分を埋め尽くした富山ブースターは会場を飲みこむ大歓声を上げた。

【1】滋賀の完成されたこん身のピック&ロール(滋賀レイクスターズvs富山グラウジーズ GAME2)

第4クォーター残り1分6秒、滋賀のタイムアウトでしっかりと練られた戦術が機能した。#7並里選手がもらうと、一度#6長谷川選手にボールを触らせてディフェンスの意識を外へ引っ張った。その後、#7並里選手がトップでボールスクリーンを使ってドライブを仕掛け、すぐに#55ベンキー・ジョイス選手にパス。ディフェンスのヘルプが早かったので#55ジョイス選手はジャンプ後に体を反転させ、ゴール下に合わせて来た#40フィッシャー選手へ。彼は大事そうにしっかりとシュートを決めた。ここでは大抵のチームはビッグマン1人がボールスクリーンのあとにダイブし、もう1人はフラッシュしてハイポストでノーマークを作るのだが、ゴール下にとどまっていたため、#34サム・ウィラード選手との駆け引きでゴール下がノーマークとなった。先ほどの#6長谷川選手が関わることで、ゴール下へヘルプに行くことを忘れさせている。一見ムダのようで非常にディフェンスの心を理解している。タイミングとスペースと呼吸を合わせなければ、ここまでキレイには決まらない。大事な場面でこの動きができる滋賀の集中力が勝った瞬間で、滋賀のブースターにとって歓喜と安堵の瞬間となった。

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