2018.12.22

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、薄氷を踏む思いの白星…川崎ブレイブサンダースに2点差辛勝

勝利したものの「細かいところを良くしていかないといけない」と次戦へ気を引き締めた梶山HC[写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 前半20分間の出来を考えると、名古屋ダイヤモンドドルフィンズにとっては薄氷を踏む思いの白星だった。12月21日、川崎市とどろきアリーナで行われた川崎ブレイブサンダース戦は猛烈な追いあげを受けながらも80-78で勝ちきった。12月に入って1勝4敗と負けが込んでいた中、勝利したことは何よりの収穫だ。

 前節の時点で1試合平均失点が80.4点にのぼっていた名古屋D。特に12月の5試合は平均89.0失点と、ディフェンスの立て直しが不可欠だった。そのことを考えると、川崎が辻直人ニック・ファジーカスを欠いていたとはいえ、前半の28失点という数字は大きな前進。立ち上がりから相手ドリブラーにプレッシャーをかけてボールを奪い、この日誕生日を迎えたマーキース・カミングスが速攻で2本のダンクを炸裂。第1クォーターで23-13と主導権を握ると、第2クォーター開始早々には笹山貴哉がやはり前線でスティールし、自らレイアップで得点する場面を2本続けて披露した。

連続スティールから得点を重ねた笹山[写真]=B.LEAGUE

 しかし、相手の外国籍選手のポストアップに対してダブルチームにいかない戦略を取ったこともあり、後半はインサイドを攻略される。17点あったリードを5点まで縮められて迎えた第4クォーター、早々に1点差まで迫られたところから一旦は10点差まで押し戻すものの、攻守ともにリバウンドを支配されて再び猛追を許す。2点差の残り2秒で相手のフリースローというピンチを迎えるが、バーノン・マクリンが1本失敗。これに救われ、土俵際で白星を拾い上げる結果となった。

 辻とファジーカスがいないという状況に「そういう時こそ怖い」と川崎を警戒していた梶山信吾ヘッドコーチは、「相手どうこうではなく自分たちのバスケをやろうと臨みました。それを前半選手たちが表現してくれた」と語る。中でも相手にセカンドチャンスを与えないこと、ピック&ロールの守り方、ボールマンプレッシャーの3点を強調したことが、増加傾向にあった失点の減少につながったとのこと。前半に見せたカミングスの2本のダンクと笹山の連続スティールは、その象徴と言っていい。

 梶山HCは「アップテンポなバスケットをするとある程度失点が増えるのは仕方ないんですが、そういう細かいところを良くしていかないといけない。それは選手たちも理解しています」とも語る。あわや逆転負けという試合展開ではあったが、チームが目指す完成形に一歩ずつ近づいていることは間違いない。

文=吉川哲彦

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