アルバルク東京が第4節以来となるホーム2連勝を収めた1月27日の大阪エヴェッサ戦。勝利の立役者となったのは、両チーム最多となる31得点を挙げたジャワッド・ウィリアムズであった。
この試合、リーグ戦5試合ぶりの出場を果たした35歳は、竹内譲次の欠場もありスターティングファイブに名を連ねると、第1クォーターから存在感を発揮した。開始17秒に安藤誓哉のアシストから3ポイントで先制点をマーク。「1本目が入ると波に乗れる」というウィリアムズはディフェンスでも奮起し、第1戦では最初の10分間で9得点を与えたジョシュ・ハレルソンを無得点に抑えこむとともに、6つのリバウンドを奪い取った。
前半終了時点で8得点8リバウンドという持ち前のオールラウンドぶりを見せつけたが、後半は20分間のフル出場に加え、23得点を記録するハイパフォーマンスで攻撃をけん引。中でも、1点差に迫られた第3クォーター残り2分27秒からの連続3ポイントは特にチームを救った場面であり、アリーナが大いに沸き、大阪もタイムアウトを取らざるを得なかった。終わってみれば3ポイントは8本中5本、2ポイントは7本中6本成功と文句なしの活躍を見せ計31得点。36分17秒間コートに立ち続け、得点、プレータイムともにA東京加入後最多となる数字を残した。
「シュートはよく入ったけど、ディフェンスとリバウンドはもう少しがんばれたと思う。今日はたまたま僕が活躍しただけで、チームが勝ったことが1番良かった」。試合後は普段どおりクールにコメントしたウィリアムズ。だが、彼には最近、この活躍のきっかけともいえるとても嬉しい出来事があった。
1月17日に男女の双子が誕生したのだ。
天皇杯後に一時帰国していたウィリアムズは、次女のゼイン(ZANE)、次男のゾーイ(ZOE)という新たな家族と出会い、再びチームに合流した。チーム復帰後初めて訪れたチャンスで躍動したウィリアムズへ向け、試合中に一部のファンからは“ゆりかごダンス”で祝福する場面もあった。
現状、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは試合にエントリーする外国籍選手2枠のファーストチョイスをアレックス・カークとしており、ウィリアムズはミルコ・ビエリツァともう1枠を争う形だ。ウィリアムズいわく、出場するかどうかの指示は「ギリギリ(苦笑)」だというが、「呼ばれる、呼ばれないに関係なく、常に出る方向で準備を進めている。余計なことを考えず、練習からハードワークをして自分の仕事をするだけ」と口にする。
6人家族の大黒柱となり、新たなモチベーションが芽生えた優しいパパは、A東京のBリーグ連覇へ向けてこれからも優れたパフォーマンスを発揮し続けるだろう。
文=小沼克年