2019.03.28
第1クォーター開始3分52秒、満員となる3102人が訪れたアリーナ立川立飛から、この日最初の大歓声が上がった。歓声の中心にいたのはアルバルク東京のジャワッド・ウィリアムズ。決して派手さはないが、ベテランらしく常に落ち着いたプレーで昨シーズンの優勝に貢献した35歳が、10月7日のサンロッカーズ渋谷戦で今季初となる公式戦のコートに立ったからだ。
9月の「B.LEAGUE EARLY CUP 2018 KANTO」、レギュラーシーズン開幕直前にタイで行われた「FIBA Asia Champions Cup 2018」、10月6日の開幕ゲームでは2名の外国籍選手枠をアレックス・カークとミルコ・ビエリツァに譲り、チームは計8試合を消化しているにも関わらずウィリアムズは試合に出場できずにいた。ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、その理由を「アジアチャンピオンズカップでは外国籍選手を途中で代えることができなかった」と説明したうえで、「基本的には3人でうまくローテーションしたいと考えている。今日はいい機会だったし、ジャワッドにはゲーム感を取り戻してほしかった」と話す。
この言葉からもくみ取れるように、同試合で指揮官はさほどウィリアムズの活躍を期待していなかっただろう。しかし、いざ蓋を開けてみと、自身のファーストシュートとなった3ポイントを難なく沈め、相手に流れが傾きかけた第3クォーター中盤ではフリースローと自らのジャンプショットで食い下がりチームを救った。さらには試合が止まる度にチームメートに声をかけて意思疎通を図り、終わってみればカークに次ぐ約27分間に出場。チーム最多の19得点を挙げ、87-79の勝利に貢献してみせた。
8名で優勝したアーリーカップ、惜しくも決勝で敗れたアジアチャンピオンズカップ、そして待ちわびた自身2度目のB1リーグ開幕戦にも出られない。ウィリアムズはその間、どのようにしてモチベーションやコンディションを維持してきたのかと問うと、すぐさま「ノー」という言葉とともに、こんな答えが返ってきた。
「長年やってきたキャリアがあるのでそんなには気にならなかった。今までの経験、チームで練習してきたことを信じて試合に臨んだだけです」
この試合ではエースの田中大貴がケガの影響で欠場。ウィリアムズは「非常に厳しくてハードな試合」と振り返ったが、「我々が勝負どころで上回った。自分のプレーもパーフェクトではないけれど、そんなに悪くはなかった」とコメント。一方で「ディフェンス面ではもう少しやるべきことがあった」と明かし、体格で勝るロバート・サクレとライアン・ケリー相手に「スピードを活かして前へ出たりするなど、賢く守ることを心がけた」が、試合をとおしてサクレに19得点、ケリーには25得点を与え課題を残した。
A東京は2日間の熱戦を見事連勝で終え、Bリーグ2連覇へ向け好発進を切った。ウィリアムズは今シーズンのレギュレーション上、まずは試合にエントリーされる外国籍選手の2枠を争うことになる。ウィリアムズにあってカークとビエリツァにないものとは――。「攻守両面において中と外でプレーできるオールラウンドな面」、そして「経験」だと本人は言う。
過去にはNBAのクリーブランド・キャバリアーズに3シーズン在籍し、計90試合に出場した百戦錬磨の35歳。田中、馬場雄大、竹内譲次という日本代表トリオを欠いてもA東京が総崩れしない要因は、この男の存在があるからと言っても過言ではないだろう。
文=小沼克年
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