2019.04.29

富山に2連勝した千葉ジェッツの富樫勇樹「攻撃面では徹底して狙っているところを突けた」

2戦連続で得点とアシストのダブルダブルをマークした富樫[写真]=B.LEAGUE
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第3Qに富樫が爆発した千葉に対し、富山が踏ん張るも最後は11点差で振り切る

 4月26日から幕を開けた「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」のクォーターファイナル。今季リーグ史上最高の52勝8敗を残し、リーグ全体トップの戦績を収めた千葉ジェッツは、ホームの船橋アリーナでワイルドカード下位富山グラウジーズとのクォーターファイナルを行った。

 27日に行われた第1戦を102-73で制した千葉は、28日の第2戦も自慢の層の厚さを活かして富山からリードを奪っていった。富山の司令塔、宇都直輝にはフィジカルに秀でたアキ・チェンバース原修太が交互にマッチアップし、インサイドの要ジョシュア・スミスには常時ダブルチームを仕掛けて簡単に得点を許さない。

ライオンズはゲームハイの32得点で富山をけん引[写真]=B.LEAGUE

 試合序盤こそ重い展開になったものの、第1クォーター中盤に投入された田口成浩が約4分間のプレータイムで2本の3ポイント成功を含む8得点の活躍を見せ、富山から8点のリードを奪うと、第2クォーターはジョシュ・ダンカンが5投中4本のショットを沈めて9得点に2アシスト、西村文男の3ポイントも決まり、良いリズムを持ち込む。

 一方の富山は、スミスがインサイドを封じられ、前半で3ファウルを犯して無得点となる中、レオ・ライオンズがインサイドやミドルレンジジャンパーを沈めて前半だけで17得点。また、宇都は少ないチャンスをモノにして4得点4アシスト、第2クォーターには大塚裕土が5得点を挙げるなどなんとか食らい付き、前半は45-36と、千葉の9点リードで試合を折り返す。

富樫が後半に入ってスコアリングショーを開演[写真]=B.LEAGUE

 だが、後半に入って富樫勇樹が躍動。前半を5得点7アシストで終えていた富樫は、第3クォーター開始直後から富山のディフェンスを切り裂いてレイアップやフローターを放り込み、このクォーターだけで3本の3ポイントも決めるなど計13得点。富山はライオンズや阿部友和が加点していくも、最後のプレーでダンカンにオフェンシブ・リバウンドから得点を許してしまい、13点差に広げられて最後の10分間を迎える。

 第4クォーター。富山はライオンズを中心にスミス、大塚がショットを決めて千葉に応戦したものの、富樫を軸にダンカンや田口、ギャビン・エドワーズがショットを決めると、石井講祐のコーナースリーも決まってリードを保ち、96-85で富山を下して2連勝。栃木ブレックスとのセミファイナル進出を決めた。

2年連続のファイナル進出を懸けて、千葉は栃木とのセミファイナルへ[写真]=B.LEAGUE

最後まで戦い抜いた富山、千葉は栃木との準決勝へ向けて入念に準備して臨む

「オフェンスでは徹底して自分たちが狙っているところを昨日から突けたと思います」と富樫が試合後に明かしたように、千葉はこの日も5選手が2ケタ得点。富樫が5本の3ポイント成功を含む24得点に10アシスト、ダンカンが17得点にゲームハイの12リバウンド、チェンバースが15得点、田口が12得点、エドワーズが10得点をマーク。

 後半で千葉のオフェンスを後押ししたのは、縁の下の力持ちとしてインサイドで奮闘したダンカンだろう。「アグレッシブに行こうという姿勢で入りました」というダンカンは、4本のオフェンシブ・リバウンドをもぎ取るなどシューター陣へ好影響をもたらした。「毎回は取れないと思うんですけど、やっぱり奪いに行く努力をすることで、オフェンシブ・リバウンドを取れることもあるので、そういう努力を続けたことが良かったと思います」と献身的な働きでチームを支えた。

ベンチスタートならが効果的に加点したダンカン[写真]=B.LEAGUE

 また、スミスへ徹底してダブルチームを仕掛けたことで「彼にフラストレーションをためることができたので、ファウルトラブルにつながったのかなと思います」と富樫が振り返ったように、レギュラーシーズンで平均19.7得点を挙げていたスミスは、千葉との2戦で平均13.5得点に抑え込まれてしまい、計11本のターンオーバー。

 シーズンをとおして多くのチームからダブルチームに遭っていたスミスは「自分としては、できるだけベストを尽くそうと、攻めていたんです」と語ったものの、「相手のディフェンス、ダブルチームがすごかったんで、難しい部分は正直ありました」と苦しんだ胸の内を明かしていた。

富山の司令塔として、宇都は得意のドライブやポストプレーを軸に千葉へ立ち向かっていった[写真]=B.LEAGUE

 初のチャンピオンシップ出場を果たした富山は、2連敗でシーズンを終えたものの、「第1戦はおよそ27分間(後半序盤)、しっかりとチームとしてプレーできたと思いますし、今日の試合も、タフな状況があったにもかかわらず、しっかりとプレーを続けてくれたと思っています」とドナルド・ベックHCが評したとおり、最後まで戦い抜いた。「相手が強いのは分かってましたけど、2連敗してしまってすごく悔しい気持ちです」という宇都の言葉は、チーム全員の気持ちを代弁していると言っていいだろう。

 なお、セミファイナル進出を果たした千葉は、5月4日からホームの船橋アリーナで栃木と激突することとなる。大野篤史HCは「しっかりと準備をして、自分たちが(レギュラーシーズン)60試合で積み上げてきたものをしっかりとコートで表現できるように戦っていきたいと思います」と意気込みを口にした。

 今季リーグ全体トップの52勝をマークした千葉と、リーグ全体2位の49勝を残した栃木によるシリーズは、大いに盛り上がるに違いない。5月11日に横浜アリーナで行われるファイナル進出を懸けて、両チームによる激闘が期待できそうだ。

文=秋山裕之

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