2017.10.26

アジアカップに挑む男子代表。優勝へのキーワードは「コミュニケーション」

川内滉大、比留木謙司、小松昌弘、落合知也(写真左から)
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 10月27日から29日の日程で、モンゴルのウランバートルで「FIBA 3×3アジアカップ2017」が開催される。今大会には比留木謙司三遠ネオフェニックス)と落合知也(栃木ブレックス)のBリーガー2名に加え、小松昌弘(RBC東京、DIME.EXE(PREMIER.EXE))と川内滉大(履正社医療スポーツ専門学校)のメンバー編成となった。

 これまで2ガード・2ビッグマンのメンバー構成だったのを、今回は1ガード・3ビッグに変更した。どうしてもサイズ的に劣る日本が、世界の舞台で戦うために、フィジカルとディフェンスで失点をなるべく抑えることが目的だ。それがアジアの大会でどのような成果を挙げるかに注目が集まるが、国際大会における日本の戦い方の指針が見えてくるだろう。

 長年3×3の代表に関わる岡田卓也・選手育成コーチは、「ヨーロッパのチームと戦うとオフェンスリバウンドを取られて、セカンドショットで点数を取られてしまいます。それに対応するために日本もサイズアップして、リバウンドが取れないまでもこぼれ球を拾えるようにしていきたいと思っています」と、今大会での狙いを語ってくれた。

 3×3が2020年の東京オリンピックの正式種目に決まったことで、各国の強化が本格的になってきた。ただし、アジアの中での勢力図は5人制のそれとは違うという。

「アジアでは中国や韓国よりもフィリピンが強い。また、インドネシアも気の抜けない相手。日本にも勝つチャンスはあるけど、他の国も同様だというのが現状です。東京オリンピックの出場枠は8チーム。そのように少ない数では、日本に開催地枠を簡単に与えてくれるとは思えないので、国際大会で実績を積む必要があるのです」と、岡田コーチは3×3の現状を解説してくれた。

 代表メンバーとはいえ、普段から同じチームや環境で練習できるわけではない。短い合宿で危機感を経て大会に臨むわけだが、それだけに4人が異口同音に強調するのが「コミュニケーション」。言い換えれば、このコミュニケーションを高めることが彼らの共通認識になっている。

 最後に、大会に臨む気持ちを4人に語ってもらった。

「僕らは東京オリンピックの正式種目になって初めて代表になったメンバーなので、自覚がありますし、責任も感じています。今回出場するのがアジアカップとはいえ、世界選手権のように国際大会の1つ。目標はもちろん優勝です。ただ1戦ずつ予選から戦うことが大事で、しっかり勝っていき、それが優勝に結びつけばと思います。このメンバーの中でリーダーシップをとるようにしています。古くから代表にいることもあって、その経験をみんなに落としこみたいし。プレーではスコアラーとして点を取ることも求められますし、ビッグマンを守ることも求められるので、オールラウンドにプレーしなければなりません。この部分は5人制とは違う3×3としての役割です」(落合知也

「僕の役割は“コントロール”です。それはボールのコントロールというより試合のコントロール。それ以外には相手の嫌なところを突くような対応力を見せることです。チームとしてはもっともっと突き詰めていかなければいけないと思っています。最終的には個の力が大事ですが、日本は2対2などの連携なども、もっともっと見せていかなければいけない。特に相手のほうがサイズがあったり体重もあるので、コンビネーションや連携は大事です。大会では相手に嫌な顔をさせてプレーさせたいですね。泥臭くマークする相手が嫌そうな顔させたいし、コンビネーションミスを起こさせたいと思っています」(小松昌弘)

「唯一学生から選ばれているので、先輩たちにはコートだけでなく普段からもコミュニケーションを取ってくれ、3×3のことやバスケットボール自体も教わっています。僕の武器は2ポイントシュート、5人制でいう3ポイントシュートです。サイズは小さいのですが、それでも外国人選手の大きな相手でも速く打ってポイントを取りたいと思います。去年も世界大会に出させてもらっているのですけど、アメリカとオランダに負けて予選敗退だったのですが、今回のアジア大会は結果を求められると思うので、2020年を目指して、次につなげていきたいと思います」(川内滉大)

「3×3が東京オリンピックの正式種目に決まったことで責任も感じてますし、実際に戦いは今から始まっていると言っても過言ではありません。今回バッググラウンドが違う選手が集まりましたが、僕と落合はBリーグと兼任していて、毎日一緒に練習ができない環境にいる中で、それを選手が互いに意識をして、集まった時にはしっかりとコミュニケーションを密に図ってきました。大げさな表現かもしれませんが、時間という穴を自分たちで埋める努力です。目標は優勝です。それが2020年に向けてのステップ。やはり勝たなければ一般的な注目を集められないですし、注目を集めないと周りの人間を巻きこめないので、それも意識してやっていきたいと思います」(比留木謙司

 男子代表チームは25日に離日し、モンゴルに到着した。バスケットボールキングではその模様を現地からお伝えする予定だ。

文=入江美紀雄

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