2020.02.19

ホームで連敗も“理想”を体現したシーホース三河…激戦で得た収穫を浮上のきっかけにできるか

宇都宮に連覇を喫するも、確かな手応えを得た三河[写真]=B.LEAGUE
日本サッカー協会を経て、フリーランスのスポーツライター・カメラマンに。東海地方を拠点に、サッカー、バスケットボールなど様々なスポーツの取材を行う。

 宇都宮ブレックスをホーム・スカイホール豊田に迎えた第23節、シーホース三河は第1戦を75-83、第2戦は84-88と2連敗を喫した。

 第2戦終了後、両指揮官はどちらが勝者か敗者か分からないような表情で会見場に現れた。

「金丸(晃輔)選手がもともとすごいのは分かっていましたけれども、あらためて日本を代表するシューターがああいう感じだということを感じました。勝ち切れたというところだけが、今日のゲームの良かったところかなと思います」

 宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチはそう語ると、険しい顔つきのまま敵地を後にした。

 一方の三河の鈴木貴美一HCは「負けましたけれど、やればできるなというのが分かった試合だったと思います。今日は日本人の選手たちに攻め気があり、シュートも入った。外国人に頼らないバスケットが自分たちの強みであり、我々のチームとしての理想。ディフェンスの強い宇都宮さんから、最初が悪かったにもかかわらずトータルで84点取れました。負けはしましたが、今日は良かったなというスッキリしたゲームでした」と晴れやかだった。

金丸が驚異的な3ポイント成功率で宇都宮を追い詰めた[写真]=B.LEAGUE

「(ディフェンスが)ついていても関係ないような状態でした」

 2試合計80分のうち74分までは宇都宮が支配していた。第1戦、宇都宮は堅守で三河のオフェンスを封じ、スコア以上に力の差を見せつけた。第2戦も第1クォーターから2ケタリードを築くと、川村卓也らの得点で追い上げる三河に対してそれ以上のペースで得点を重ねて、反撃の隙を与えない。第4クォーターの開始4分には60-77と17点のリードを奪い、宇都宮の安定感と残り時間を考えれば、試合の趨勢はほぼ決したかに思われた。

 それでも「あきらめずに、我慢してやっていればいつかチャンスがくると思っていた」と金丸が語ったように、三河はここから猛反撃に転じる。

 呼び水になったのは第3クォーターの残り1分45秒。川村のシュートのリバウンドをセドリック・シモンズがつなぎ、金丸がこの日最初の3ポイントシュートを射抜いた。

「セカンドチャンスで、相手のディフェンスがしっかり組まれていない状態で(1本目が決まって)、そこから乗ってきました」

 そこまでの金丸は、2018-19ベストディフェンダー賞の遠藤祐亮らの徹底マークにあい、わずか4得点に封じられていた。

「どのチームもバチバチというか、ハードにディフェンスしてくるので慣れてはいるんですけど、ブレックスは遠藤をかわしても、ギブスとロシターが待っているので、なかなか点を取らしてはもらえないです」と苦笑。

「(第1クォーターに)シュートをたくさん打たせてもらった中で決まっていなかったので、チームとして次のオフェンスに行くべきだと考えました」と我慢しながらチャンスを待っていたと明かす。

 第3クォーターの終盤にようやく訪れたチャンスを決めた金丸は、その直後にも3ポイントシュートを決めて覚醒。金丸が放った3ポイントシュートが美しい弧を描いてリングに吸い込まれるたびに会場のボルテージは一段、また一段と上がっていった。

「申し訳ないんですけど、集中していたので歓声は聞こえていませんでした。(いわゆるゾーンという状態)なんですかね? あれだけ入ると、そうなりますよね。5本目6本目ぐらいの時は、(ディフェンスが)ついていても関係ないような状態でした」

 後半だけで3ポイントシュートを7分の7本成功させた金丸劇場の主役は、まだ夢の続きにいるような表情で静かに振り返った。「今までにも、あの本数で100%で終われたことはないと思います」。

 金丸だけでなく、もうひとりのオフェンスマシン川村も2本の3ポイントシュートを沈め、宇都宮のディフェンスが外に気を取られると、今度はダバンテ・ガードナーがゴール下へアタックして加点。残り19秒、84-86と2点差まで追い上げた三河だったが、勝利にはあと一歩届かなかった。

金丸や川村を中心に猛追するも、あと一歩及ばず[写真]=B.LEAGUE

“4点の差”を埋め、チャンピオンシップ進出へ

 最終スコアの点差はわずかに4点。だがその4点は、リーグ勝率トップの宇都宮と勝率5割に満たない三河との間にある厳然たる差でもある。

 金丸も勝利するために足りなかったものを冷静に見極める。

「ディフェンスも第4クォーターくらいからうまくいき始めたので。あのシュートは毎回はムリですけど(笑)、あのシュート以外のところを一試合通してやらないといけないですね」

「シューター目線でもあるんですけど、まだアウトサイドの選手が打つためのデザインが作られていない。例えばスクリーンをしっかりかけるとか、パスのタイミングとかが合ってないとどうしても崩れるんですよ。ワンテンポ遅れるだけで打てなくなって、時間がなくてインサイドに入れて、重たいバスケになってしまう。負けている時は、僕たちが重たいバスケをして、相手がファストブレイクで速いオフェンスのバスケとする、テンポの差があることが多いんです」

「まずは走らないと、ファストブレイクを狙わないとだめですよね。いいディフェンスをすればファストブレイクにつながるので、そのあたりが課題です」

 三河がこの敗戦で得た収穫を浮上のきっかけにできるかは、バイウィーク明けの試合が鍵になる。そのためには「代表は自分を成長させる場」と話す絶好調のエースが、日本代表合宿を経てさらなる輝きを放つことが不可欠だ。

文=山田智子