リーグ再開を待ちわびるファン・ブースターのために、B1リーグ18クラブの現状をチェックする企画がスタート! 初回はリーグ中断前まで“河村フィーバー”に沸いた三遠ネオフェニックス。“Bリーグ・ロス”の皆さんがお気に入りのクラブの現状を把握して、今後の展望をイメージしてもらえれば幸甚だ
文=吉川哲彦
開幕前のつまずきがすべての始まり
第23節まで消化した現時点で4勝35敗。三遠ネオフェニックスは、過去3シーズンのどのチームよりも苦しいシーズンを送っている。その始まりはリーグ戦開幕前の東海アーリーカップ。B2のアースフレンズ東京Zにロースコアに抑えられ、最後はブザービーター3ポイントを浴びてまさかの1回戦敗退。これがその後の予兆となってしまった感がある。
開幕後、10月の10試合を全敗で終えた段階でブライアン・ロウサムヘッドコーチの任を解き、河内修斗体制に移行するも立て直しは利かず、鈴木達也の不在も響いて連敗は16まで伸びた。ようやく白星に手が届いた12月は、過去3シーズンにわたって大黒柱を務めたロバート・ドジャーを呼び戻した効果もあって3勝を挙げたが、年末の第15節から再び14連敗の長いトンネルに入ってしまった。1試合平均得点がリーグ最下位、同失点がリーグ2番目の多さと、不振ぶりはデータにも如実に表れている。
特別指定で福岡第一高校の河村勇輝が加入
しかしながら、三遠には世間を賑わすビッグトピックもあった。福岡第一高校の2冠の立役者、河村勇輝の加入だ。千葉ジェッツと相対した1月25日のホーム戦で8得点3アシストのデビューを飾ると、翌日は3ポイント3本を含む21得点をマーク。その後はスターターで起用された。抜群のスピードと巧みなボールハンドリング、何よりも果敢にシュートを狙う積極性が見る者を惹きつけ、三遠の試合はホーム・アウェーともに満員御礼を連発した。
進学が決まっている東海大学に合流するため、河村はこの3月にチームを離れる。第25節からの計6試合が延期となったことで、河村は出場9試合で今回の挑戦を終えるとみられるが、結果的に最後となるであろう試合で、チームは15試合ぶりに勝利。バスケ人生で初めて黒星行進を味わった河村にとっては貴重な糧であり、チームにとっても良いきっかけになるはずだ。
12月に加わった現役ウクライナ代表のヴィアチェスラフ・クラフツォフはインサイドで計算でき、安定感のある西川貴之に続く存在として寺園脩斗が成長。そして、得点源と目されながら故障で戦列を離れていたデビン・イーバンクスの復帰で、反撃態勢は整ったとみていいだろう。残留プレーオフ回避は難しい状況だが、終盤戦はB1残留の手応えを得る戦いを披露したい。若い選手が多い分、勢いが生まれれば大きく挽回することも不可能ではない。そのためには、チームでのキャリアが長い岡田慎吾と太田敦也を中心に一丸とならなければならない。