リーグ再開を待ちわびるファン・ブースターのために、B1リーグ18クラブの現状をチェックする企画がスタート! “Bリーグ・ロス”の皆さんがお気に入りのクラブの現状を把握して、今後の展望をイメージしてもらえれば幸甚だ。第14回は大阪エヴェッサ。Bリーグとなって初のCS進出のために必要なこととは。
文=吉川哲彦
天日HC新体制が奏功
例年東地区に強豪が揃う中、昨季は中地区に新潟アルビレックスBBというシンデレラチームが出現。琉球ゴールデンキングス以外は安定感を欠き、出遅れてしまった格好の西地区だが、今季は大阪エヴェッサがその候補に一躍名乗りをあげようとしている。
Bリーグになってから、大阪はチャンピオンシップ(CS)に進出するどころか年々そこから遠ざかりつつあった。迎えた今季はまずGMを入れ替え、そのGMがbjリーグ時代に大阪を3連覇に導いた天日謙作ヘッドコーチを再登用。さらにアイラ・ブラウンや伊藤達哉といった他チームの主力の獲得にも成功した。開幕当初は波が大きく、10月は5勝4敗とわずか1つの勝ち越しだったが、11月に入ると5連勝。12月は千葉ジェッツに土をつけ、サンロッカーズ渋谷は連破。1月にも宇都宮ブレックスから1勝を奪い、東地区とも堂々と渡り合ってみせた。
天日HCが志向するトランジションバスケットがフィットし、伊藤やブラウンだけでなく合田怜やリチャード・ヘンドリックスも持ち味を発揮。また、これまでリーグで顕著な成功例がなかった外国籍選手2人と帰化選手のビッグラインアップも、天日HCはスターターで採用して機能させた。合田のほか数人が途中ケガで離脱したが、カイル・バローンを補強するなどして影響を最小限にとどめ、年明けまでは順調だった。
ケガ人続出の中、戦力の底上げを図る
ところが、2月に入ると暗雲が漂う。伊藤のケガに続いて合田が再び負傷し、ともに今季中の復帰は絶望的となってしまった。一気にガード陣の層が薄くなり、急きょ宇都宮から田原隆徳を期限付で獲得したが、中断期間突入前に4連敗を喫し、地区首位の座は琉球に取って代わられた。
すでに昨季を1勝上回る24勝を挙げ、数字の上ではCS進出に近づいている。ただし、滋賀レイクスターズがあっという間に3勝差に迫り、大阪だけでなく琉球までも飲みこみそうな勢い。手負いの大阪はちょうど今、正念場に立たされている状況だ。直接対決で2勝1敗とリードしている琉球戦は直近の試合では敗戦し、滋賀戦は1勝1敗で得失点差は劣勢。両者との残り7試合は、全体の残り試合の3分の1と大きな割合を占める。この7試合は是が非でも勝ち越して終えたいところだ。
ここまでは白星を積み重ねることができたが、特に日本人選手に関してはその能力を最大限に活かしているとは言い難いのも確か。さらなる戦力の底上げを図ることができれば、悲願のCS進出は現実のものとなるだろう。