2023.05.12

「ミスをしない」「チームで戦う」…CSに臨むA東京が共通認識で島根に挑む

A東京がCS前に記者会見を実施。ポストシーズンに向けてメディア対応 [写真]=アルバルク東京、バスケットボールキング編集部
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

「CSはギアを1段上げて戦う」

 5月10日、アルバルク東京が「日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2022-23」に向けて記者会見を開催。翌日、決戦の地、島根に移動するチームは調整に余念がない中、練習後にデイニアス・アドマイティスヘッドコーチ、ライアン・ロシター吉井裕鷹小酒部泰暉ザック・バランスキー安藤周人がメディア対応を行った。

 アドマイティスHCを新指揮官に迎えた今シーズン、序盤はなかなか波に乗ることができなかったが、「アドバスケ」が浸透してくると次第に強さを発揮。同地区の千葉ジェッツの独走を許さなかった。

 しかし、今シーズンのA東京の東京は故障との戦いでもあった。特に絶対的エース、田中大貴の離脱、さらに終盤には主力級がコートに立てない試合も多かった。しかし、その中でチームは「NO EXCUSE(言い訳をしない)」を合言葉に奮闘。シーズンを通して築き上げたチームでCSに臨むことになる。

 クォーターファイナルで対戦する島根についての感想を聞かれたアドマイティスHCは「とてもタフなチーム。オフェンスでもディフェンスでもミスをしてしまうと、相手に勢いを与えてしまう」と注意に余念はない。そして、「ミスをしない」と「チームで戦う」ことを強調した。

「ポストシーズンの戦い方はレギュラーシーズンと違う。1つのミスが命取りになるので、注意力を切らさないこと。全員が自信を持ってチームメートを信頼して戦うことが大切。チームとして臨みたい」

 さらに「タフなディフェンスでしっかり止められれば、イージーなオフェンスにつながる。レギュラーシーズン以上に、やってきたことを1段ギアを上げて、いいディフェンスから入りたい」と、力を込めた。

昨年のリベンジに燃えるキープレーヤーたち

 アドマイティスHCの次に会見に臨んだのがロシター。「総合的にはよくやったと思う。スタートダッシュはうまくいかなかったけど、それは新しいHCだから仕方のないこと。中盤には連勝もあって、波に乗れていた」とシーズンを総括した。

 CSに向けて「今いるメンバーでいかに戦うことが大事。エネルギーあふれるプレーをミスなくハードにプレーすること」を戦いのポインにあげた。ロシターは昨シーズンのクォーターファイナルは故障のためコートに立てなかった。それでも「昨年の悔しさで燃えるのではなく、いつも気合は入れている。去年の悔しさなどあまり考えず、まず初戦を取りたい」と静かに燃える胸の内を語ってくれた。

ロシターはレギュラーシーズンの戦いに及第点をつけた [写真]=バスケットボールキング編集部


 ワールドカップ予選の終盤には日本代表では欠かせない存在となった吉井。その経験をチームに還元しようとトライしたシーズンを過ごした。「今シーズンからチーム体制が変わって、序盤は勝ったり負けたりを繰り返して。中盤は連勝できるようになり、終盤に向かっていけましたが、負け数が込んでしまいました」とシーズンを振り返った。

 昨シーズンのクォーターファイナルでは気持ちの入ったプレーを見せ、第3戦ではチームハイの17得点をあげて存在感を示した。今回のCSには「声を出していい雰囲気で臨みたい」と述べ、この1年で成長した姿を見せてくれるに違いない。

吉井は「声を出していい雰囲気で臨みたい」と買った [写真]=バスケットボールキング編集部


 小酒部はシーズンの終盤、故障で戦線離脱。それでも最後の2節に復帰を果たした。今シーズンは開幕から得点源としてだけでなく、相手チームのエースキラーとしてディフェンス面でも貢献。コンディションは100パーセントではないと言うが、それでもCSには強い気持ちで臨むことになる。

「個人としては(シーズン終盤に)ケガをしてしまい、何もできなかったのでCSで借りを返したい。島根には去年やられているので、しっかりとやり返したい」と不敵に活躍を誓った。

ディフェンス面での貢献も光った小酒部 [写真]=バスケットボールキング編集部


 CSに向けたミーティングでアドマイティスHCから「チームで戦うこと」「ミスをしないこと」を話してくれたことを明かしたのがバランスキー。「それはチームのみんなに浸透していると思う」と、改めてチーム一丸に臨むと話をしてくれた。

「(田中)大貴がこれだけチームから離れたのは初めての経験。ケガ人が何人か出たけど、 NO EXCUSEで乗り越えられた。CSはすごく楽しみ」とコメント。改めてA東京の強さの秘密を聞かれると、「自分の強みを出すだけでなく、仲間の強みを引き出すために自分が犠牲なることもある。それができるメンバーが揃っているチームだから」と解説してくれた。もちろん、このCSもチームで戦うことになる。

A東京のカルチャーを語ってくれたバランスキー [写真]=バスケットボールキング編集部


 最後に会見に臨んだのが、田中大貴欠場のチームを支えた安藤。エース不在の状況を理解して、「自分が」と自覚して臨んだものの、当初はパフォーマンスとのバランスがうまく取れなかったという。それでもシーズンを通して大事な場面で得点を任されることも増えていき、周囲の期待に応えられるようになっていった。

 安藤は「リベンジに燃えている」と強い気持ちを隠そうとしない。「去年は全員がそろわない中、勝てた試合を落とした感じだった。悔しさはみんなが持っている。まずは初戦を落とさないようにしたい。ティップオフの瞬間からアグレッシブなディフェンスができれば勝てると思う」と力を込めた。

安藤は「リベンジに燃えている」 [写真]=バスケットボールキング編集部


 万全のメンバーで臨めないことは百も承知。それを言い訳にせずに戦ってきた今シーズン、改めて「チームで戦うこと」「ミスをなくす」という原点に立ち返った。吉報とすれば、5月11日、田中大貴がインジャリーリストから削除され、CSでのプレーが可能になった。試合に対する準備がどれだけできるていうのか不透明な点は多いが、チームにとっては頼もしい違いない。島根との一戦は5月12日19時5分ティップオフ。A東京にとってタイトル奪還を目指す戦いがいよいよ始まる。

文=入江美紀雄

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