2024.04.08

河村勇輝が「自分とバッシュ」を語るイベントを実施…ファンとの交流を深める

ファンとの交流を楽しんだ河村勇輝 [写真]=unison 赤間剛夫
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

バッシュは大切な相棒。だからこそシューズ選びは非常に重要

 3月10日、「河村勇輝横浜ビー・コルセアーズ)が語る『自分とバッシュ』イベント」がアシックス原宿フラッグシップで行われた。これは同店で3月16日から期間限定で『バスケットボール特設コーナー』がオープンされることを記念して開催され、3300人の一般応募の中から選ばれた幸運な16名のファンが参加した。

 バスケットボール解説者、佐々木クリス氏の進行で始まったトークセッションは、河村のバスケットボールシューズへのこだわりについてからスタート。小学2年生のときからアシックスを履いているという河村がバッシュ選びに気を配るようになったのは小学4〜5年生のころだったという。「成長期も重なったからだと思うのですが、体が大きくなるにつれかかとが痛くなるようになりました。これでは『大好きなバスケができなくなる』と(バッシュ選びを)意識するようになりました」と振り返った。さらにバスケ指導者でもある父、ショップの店員さんのアドバイスも受けて、「バッシュについて考え直そう」と思い立ったという。

佐々木クリス氏の司会でイベントは進行 [写真]=unison 赤間剛夫


 バッシュ選びのポイントを尋ねられると、「自分の体重やスキルに合わせて(モデルを)選ぶことが大切です」とアドバイス。さらに大切な項目を2つピックアップした。

「モデルによって形状が少しずつ違うので、同じサイズだからと思って選ばないでください。実際に足を入れて確認してください」

「スピードを出したり、急にストップしたりするのに大切なのがつま先の部分。サイズが合ってないと指や爪が痛くなることがあるので、試し履きの際にフットワークをしてみたり、急に止まってみたりするなど、可能な限り行ってください」

 河村の実家にはこれまで履いてきたバッシュが保管されているという。使用したすべてのものではないが、大切な試合で履いたものを父親が管理することからコレクションがスタートした。それらはシューズ棚に飾られており、河村も帰宅する際に手にすることもあるとか。

「(バッシュは)道具の一つではあるのですが、大切な相棒でもあります。手にすることで当時の記憶が鮮明に蘇ってきますし、初心に戻ることもできます。だから大切に保管しています。」

「“昨日よりも今日”。史上最高の自分を目指して練習に取り組む」

 トークイベントではミニバス、中学、高校の部活生をはじめ、社会人を含めた参加者から直接河村に質問ができるコーナーを実施。その一部を抜粋してお届けしよう。

バッシュの選び方を河村自身が解説 [写真]=unison 赤間剛夫


――高校時代、一番練習したことはなんですか?
「どのメニューと言うよりも継続することが大切だと思っていました。シュート、パス、トレーニングのどれも大事です。そして三日坊主にならずに積み重ねることが一番だと思っていました。答えにならないかもしれませんが、継続することを学んでほしいと思います」

――プレッシャーの乗り越え方は?
「プレッシャーに負けそうになることは常にあります。『プレッシャーに負けちゃったなあ』と、思うことも。それだけに、大切な試合までにどう練習で取り組めるか、不安を取り除けるかを考えています。練習しているとき、特に自分のバスケにプラスに成ることをしているのが一番楽しいですね。成長できていると感じる瞬間が大切です。バスケがうまくなるためにもなるので、睡眠や食事も大事にしています」

――モチベーションが上がらないときはありますか? そのときはどのように乗り越えますか?
「僕が大切にしているのは、昨日の自分よりどれだけ成長できたかを感じられるか、です。他の人と比べるのではなく、史上最高の自分を目指して練習に臨んでいます。こうすることで気が楽になるし、自分との対決は楽しめるものですよ。常に自分史上最高を目指しています」

――今の自分を作ってくれたのは誰ですか?
「両親ですね。両親には常に感謝していますし、両親がいたからこそ、今の自分があると思います。また、ミニバス、中学、高校の井手口(孝)先生、陸川(章)先生もそうですが、しかるべきタイミングで素晴らしい指導者に巡り会えたことも幸運でした。皆さんに引き合わせてくれたのもまた両親だと思います。父から「謙虚・感謝・報恩」を大事にしなさいとずっと言われてきました。今もこの言葉を意識して、日々を過ごしています」

河村のシューズへのこだわりが詰まった『UNPRE ARS LOW 2』

河村のこだわりが詰まった「アンプレアルスロー2」 [写真]=unison 赤間剛夫


 現在、河村が使用する『UNPRE ARS LOW 2(アンプレアルスロー2)』は、アシックスと一緒に作り上げたモデルだ。開発には約2年の時間が費やされ、河村自身も開発の現場に赴き、様々なリスエストをしたという。そのベースになっているのが、「履いたときに気持ち良かったり、このバッシュなら全力でプレーできるなと感じられるモデル」という河村自身の感覚だ。

 トークイベントに登壇したアシックス バスケットボールシューズ企画担当者の案浦萌氏は、「開発期間、試作段階から河村選手から指摘された改善ポイントを反映できるようにブラッシュアップしていきました。トッププレーヤー向けのモデルをいろいろな選手に履いていただいていますが、アンプレアルスロー2は軽いと評判が高く、売り切れるショップさんも多いようです」と笑顔を見せた。

 アンプレアルスロー2には素早い切り返しと左右へのステップワークを支える「サイドウォール構造」がデザインされ、このモデルを象徴する機能と言える。河村の武器である瞬時にトップスピードに入れる爆発的なダッシュやマッチアップの相手に強いプレッシャーをかけるディフェンスを生み出すフットワークには欠かせない。

アンプレアルスロー2の制作を担当した案浦萌氏 [写真]=unison 赤間剛夫


 河村は「アシックスは僕のバスケ人生に欠かせない存在。世界に挑戦する過程で一緒に歩んでいきたいと思っています。日本のブランドなので、素晴らしい選手が履いているブランドにしていきたい」と、決意を述べた。

 最後は参加者一人ずつにサイン入り色紙を渡し、記念写真に応じた河村。短い時間だったが、参加者との交流により普段の試合会場では見られない柔和な表情がとても印象的だった。

文=入江美紀雄
写真=unison 赤間剛夫

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