2023.02.09

念願の日本でのプレーが実現…越谷のトロイ・マーフィー Jrが語った現在地と将来の夢

今シーズンから特別指定選手として越谷でプレーしているトロイ・マーフィー Jr[写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 悲願のB1昇格を目指し、現在B2東地区で首位争いを演じている越谷アルファーズでは、今シーズンからポテンシャルの非常に高いヤングプレーヤーが特別指定選手としてプレーしている。田渡凌の出身校としても知られるドミニカン大学カリフォルニア校を休学し、母親のルーツでもある日本でのプレーを選択したトロイ・マーフィー Jrだ。

 2シーズンを過ごしたNCAAでのプレーに別れを告げたマーフィー Jrだが、Bリーグ挑戦の理由として元々日本でのプレーを希望していたことを明かしてくれた。

「大学でそれほどゲームに出場できず、自分としては違う大学に行きたかったけれど、コロナ禍でプレーハイライトも作れなくて難しい状況にいました。そのなかでエージェントがBリーグのチームに連絡してくれて、今回契約ができた形です。元々大学卒業後には日本でのプレーを希望していたので、早く来てプレーをした方がいいという気持ちになり、特別指定選手としてプロに進む決断をしました」

 シーズン開幕からベンチ入りをしているマーフィー Jrは「越谷は本当にいい場所」と前置きした上で、「コーチにJRさん(桜木ジェイアール スーパーバイジングコーチ)や安齋さん(安齋竜三 アドバイザー)もいて、初めて練習場に行った時から本当に僕に対して優しくしてくれましたし、チームとして本当に勝ちたいという空気感があります」と越谷でのプレーを決断したことに満足している様子だ。

 現状ではコンスタントに試合出場できていないマーフィー Jrに対して、桜木SVCは「物すごく運動能力が高く、力強くプレーができ、3ポイントシュートも打てる。彼に対して非常に高い評価をしています」と好印象を抱いている。その上でコートにより立つためにはプレー面での状況判断を良くすることが必要だと助言した。

「プロとしての経験が少ないなかで、練習からゲームを想定したしっかりとした状況判断が必要だと感じています。オフェンスにおいて、ピック&ロールやハーフコートでのプレー判断を向上させて、それを試合でも自分のパフォーマンスにつなげていくことが必要です」

 その言葉をマーフィー Jr自身に伝えると納得した表情を見せつつ、早く日本のバスケットスタイルに慣れないといけないと話す。

「アメリカと日本のバスケットって本当に違っていて……合流して間もない頃はチームとしてのプレーを覚えるのに苦労しましたし、最初の試合ではプロのゲームに対しての慣れが備わっていなかったです。そういう部分を改善して、自信を持っているシュート力やフィジカル面を、より向上していきたいです。それを練習から続けていければ、試合でもコンスタントに活躍できて、プロの舞台で長い間プレーできると信じています」

その身体能力の高さは桜木SVCも認めるところ[写真]=鳴神富一


 日本のバスケットスタイルに慣れなければいけないと語るマーフィーJrだが、人生で初めてとなる日本の生活にはすでにアジャストしている様子だ。

「日本でのライフスタイルは好きですね。食べ物が素晴らしいし、アメリカと比較しても非常に美味しいです。一番好きなのはお寿司だけど、牛丼やカレーにラーメン……もう全部大好きです(笑)」

 新たな人生のスタートを切ったなかで、今シーズンは「チームが勝つのが一番だし、勝つために毎日1パーセントでも能力やスキルを向上させて、貢献したい」と目標設定している。その上で「B1でチャンピオンシップを獲得して、日本代表でのプレーを叶えたい」と将来的な目標も口にしたマーフィー Jr。

 日本食を愛し、日本のライフスタイルに順応。加えて、インタビュー中は流暢な日本語で自分の想いを表現する部分から見てもコミュニケーションにも全く問題はない。あとは日本のバスケットスタイルにアジャストすれば、一気にプレーヤーとしてブレイクするだろう。そして、彼の成長は越谷がB1昇格を達成するための大きな力になるはずだ。

文・写真=鳴神富一

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