2017.09.11

ウインターカップ兵庫県代表は育英、決勝で1年の福家柊都が最多23得点

決勝で3ポイント7本成功を含む23得点を挙げた福家柊都 [写真]=平野貴也
元スポーツナビ編集部。フリーに転身後はサッカーを中心に様々な競技を取材するスポーツライターに。

 平成29年度 第70回全国高等学校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ2017)の兵庫県予選の男女決勝戦が9月10日に神戸常磐アリーナで行われた。男子は育英高校が79-58で神戸科学技術高校を下し、3年連続23回目(※選抜優勝大会出場回数)の出場を決めた。

 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)優勝の福岡大学附属大濠高校(福岡県)、準優勝の明成高校(宮城県)がすでにウインターカップの出場権を獲得しているが、都道府県の代表校としての全国大会出場決定は、一番乗り。チームの指揮を執る沼波望コーチは「大事な試合で選手が躍動してくれてうれしい。全国大会では昨年(ベスト16)より上が目標。個人の技術面をさらに伸ばすことでチーム力を高めて臨みたい」と次のステージに向かう意気込みを話した。

 試合は、育英が終始リードする展開で進んだ。沼波コーチが「昨日の準決勝の反省として、リバウンドとルーズボールを徹底するように言った。あとは、トランジション(攻守の切り替え)で数的優位を作ろうと話した」と述べたとおり、序盤からスピードを上げて立ちあがりを制すると、ガードの山路哲司(3年)がドライブで切りこみ、牛尾慶斗(3年)が合わせて得点を重ねた。守備で対抗したい神戸科学技術は、粟飯原稜(3年)が早々に3ファウルとなるなど分が悪く、なかなか試合のペースを引き寄せられなかった。

 育英は、チームの軸となる山路とビッグマンの小島基嵩(3年)で形成する縦のラインがカギ。21-14で迎えた第2ピリオドには、小島がゴール下で存在感を発揮した。

 2人は、昨年から試合に出場していたが、ともにプレーした3年生の存在感が大きく、抜けた穴を埋めようと努力してきたという。「去年は3年生の3人だけで60点から70点くらい取ってくれて、僕と小島で15点から20点くらい。単純に考えて、このままじゃ30点くらいしか取れないチームになってしまうから、2人で成長していこうと思ってやってきた」(山路)。

 後半、神戸科学技術が粘りながら点差を縮められれば終盤勝負に持ちこむことができたが、そうはならなかった。育英は、第3ピリオドに1年生シューターの福家柊都が3ポイントシュート5発と驚異的な外角の決定力を見せつけ、リードを広げた。第4ピリオドに入ると、攻撃が雑になり始めた育英に対し、神戸科学技術がインサイドで体を張った豊島柊壱(3年)や由良友希(2年)らがポイントを重ねて追いあげたが、24点差を最終ピリオドだけで追いあげることはできず、試合は79-58で決着がついた。

[写真]=平野貴也

 福家の台頭は、育英の勝因の一つだった。3ポイント7本を含む23得点でチーム最多ポイントを稼いだ福家は「今日はタッチの感覚が良かった。この県予選で自信がついたので、ウインターカップは初挑戦になるけど、全国大会でも自信を持ってシュートを打ちたいし、目立って注目される選手になりたい」と次世代エースに名乗りを挙げた。

 山路、小島のラインは強力だが、マークをされたり、ファウルが重なったりしたときにチームが手詰まりに陥るようでは、全国大会8強入りの目標は達成できない。沼波コーチは「昨日の準決勝は佐野、今日は福家がやってくれた」と新たな主軸候補の台頭を喜んだ。

 各都道府県予選の優勝チームに、インターハイの優勝、準優勝、さらに開催地(東京)代表の全50チームが日本一の称号を争う全国大会は、12月23日から29日まで東京体育館で行われる。

取材・文=平野貴也

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