2017.08.03

経験不足を露呈した福岡第一ガードコンビ、指揮官は愛のムチを振るう「勉強させないと」

小野絢喜と井手拓実のガードコンビが冬に向けて成長できるか [写真]=山口剛生
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

 ディフェンディングチャンピオンの福岡第一高校(福岡県)は、平成29年度全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会(インターハイ)の準決勝で明成高校(宮城県)に68-90で敗れ、3位に終わった。序盤に少しリードを奪った以外は、ずっと追いかける展開。完敗だった。

 試合後、井手口孝コーチは特にガード陣への課題を口にした。「ボールをなくしてしまうくらいのプレスを掛けられているなら、パーッと縦に切っちゃえば良かったのに。それをやらずに、横に出したパスがミスになって……。弱虫なんでしょうね」

 昨年の福岡第一には重冨周希、友希(ともに専修大学)という双子のスーパーガードコンビがいた。「彼らは決していろいろなバスケットを見たり研究をしたりしているわけではなかったけど、感覚的なバスケットのIQが高かったんですよね」と井手口コーチ。天才型の2人に対し、今年のガードポジションを担っている小野絢喜や井手拓実は努力型。「もう少しいろいろなゲームなどを見させて、彼らにも勉強させなきゃいけない。僕も『こういうケースはこうだぞ』と、もう少し細かく指導しなければいけません」と続けた。

「経験のスポーツ」と表現されるバスケットボールにおいて、ガードは最もその経験を要するポジションと言われる。しかし、小野にせよ井手にせよ、試合に出場するようになったのは昨年の全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(ウインターカップ)後。その経験が圧倒的に足りていないことは否めない。井手口コーチは「九州大会まではいい感じで行って、今も決して悪い感じではない。ただ、大会に入ってあまりいいリズムにならなかったですよね。松崎(裕樹)以外の4人は試合に出始めるようになって半年。キャリアのなさが出ました」と話した。

 裏を返せば、冬への伸びしろは十分にある。ウインターカップの連覇を死守すべく、2人がどのように成長していくかが楽しみだ。

文=青木美帆

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