2018.06.25

それぞれの思いが交錯した近畿大会は洛南が3年ぶり33回目の優勝

インターハイ予選の雪辱を果たし、近畿大会に優勝した洛南高校[写真]=三上太
本格的に取材を始めたのが「仙台の奇跡」と称された2004年アテネ五輪アジア予選。その後は女子バスケをメインに中学、高校と取材のフィールドを広げて、精力的に取材活動を行っている。

 6月22日から24日まで和歌山でおこなわれた「第65回近畿高等学校バスケットボール大会」。男子は洛南高校(京都府)が3年ぶり33回目の、女子は大阪薫英女学院高校(大阪府)が10年連続32回目の優勝を遂げた。

 男子の決勝戦は洛南と、大会2連覇中の東山高校(京都府)が激突。両校は3週間前にもインターハイ・京都府予選の決勝戦で対戦し、その時は東山が11点差で勝っている。つまりインターハイに出場するのは東山であり、洛南は近畿大会で優勝してもインターハイには出場できないのだ。

果敢にゴール下に切り込んだ洛南の飯尾文哉[写真]=三上太


 その視点で見ると、近畿大会の決勝戦は両校にとって非常に難しいゲームだったと言わざるを得ない。むろん同大会は近畿の覇権を争う価値のある大会だ。負けていいわけではないし、実際に敗れた東山は試合後に十分な時間を割いてミーティングを行っていた。それでもやはり東山は目線をひとつ先のステージに向けていた。

「インターハイ予選ではメンバーをある程度固定して戦いましたが、今回はメンバーチェンジをしたり、選手の組み合わせを考えながらゲームを進めていきました。決勝戦に関しては、第2クォーターで点差が開いたときに休んでしまったことがこのような展開になった要因だと思います。ただ1点差の負けは間違いなくベンチの采配ミスです」

 東山を率いる大澤徹也コーチは悔しそうに、しかし多少の納得を含みながら、試合をそう振り返った。

東山は1年の中川恭志がスタートでコートに立つ[写真」=三上太


 一方の優勝した洛南の吉田裕司コーチも「東山は(インターハイに向けた)調整に入っていたのでしょう。(大会を通じて)そう感じていたので我々もいろんな選手を実戦の中で育てるために、プレータイムをシェアしました」と認めている。

 インターハイに出られないこともあって、選手たちのモチベーションはけっして高くない。それでも現状1枠しかないウインターカップの出場権のことを考えると、プレータイムをシェアしながらも連敗は避けたいところだ。

「『せめてメダルは獲って帰ろう』を合言葉にしていたので、それで選手たちの力みが抜けて、慌てずにプレーできたことが優勝につながったんじゃないかな(吉田コーチ)」

 お互いの思惑が絡み合った、少し重たい決勝戦ではあったが、随所に見せるプレーの質の高さは両校が全国レベルにあることを物語っていた。

 3位は兵庫県1位の報徳学園高校と、京都府3位の鳥羽高校。鳥羽は準決勝に上がるまでに奈良県1位の奈良育英高校、大阪府1位の近畿大学附属高校を倒してきた。鳥羽の福嶋一夫コーチは「インターハイ出場チームに勝てたことは京都のレベルの高さを証明するものです。我々もインターハイに出場するだけの力をつけてきたという自負を持てます」と胸を張った。

報徳学園のインサイドの中心、コンゴロー・デイビット[写真]=三上太


鳥羽の大黒柱、小西大輝は195センチのサイズで外角もこなす[写真]=三上太

文・写真=三上太

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