2020.09.29

「コロナ明けから頭角を現した」…正智深谷で存在感を放つ下級生コンビ

3年生主体の正智深谷でスタートの座を掴んだ2年生の関河(写真左)と1年生のルーニー(写真右)[写真]=小沼克年
元バスケットボールキング編集部。主に国内バスケ(Bリーグ、高校・大学バスケ)を中心に取材活動中。バスケでオウンゴールしたことあります。

 男子の正智深谷高校は「令和2年度 全国高等学校バスケットボール選手権大会 埼玉県予選会」を圧倒的な強さで制し、9年連続の優勝、通算10回目となるウインターカップ出場を決めた。

 戦った全5試合で100点ゲームを演じ、オフェンス力が際立った今大会。しかし、指揮を執る成田靖コーチが「基本的には攻撃的に守って、そこから走るというチーム」と主張するように、正智深谷は守備から自分たちの流れを持ってくるチームだ。今大会の数字を見ても計5試合で平均55.6失点。ディフェンスにおいても力の差を見せつけ、ボールを奪ってからは速攻から得点を奪うシーンが多く見られた。

 さらに今年は、昨年から主力を務めていた太田誠、藤平皓成、木村遥音、大滝唯人らが最上級生となり、その経験値が1つの強みでもある。新チーム発足後は「3年生が主体性に欠けている部分があった」(成田コーチ)ようだが、新型コロナウイルスの影響による休校措置が解除された6月下旬のチーム練習からは「『本当にバスケットがしたい』という気持ちが芽生えて、コロナ明けの練習からはすごく変わりましたね」と明かす。

下級生の台頭により競争意識が高まる

大会9連覇を果たし、通算10度目のウインターカップに臨む正智深谷[写真]=小沼克年

 そんな3年生が主体となる今年のチームだが、成田コーチが「コロナ明けからメキメキと頭角を現してきた」と笑顔で話した1、2年生がいる。ポイントガードの関河虎南(2年)と、フォワードのルーニー慧(1年)だ。

 今大会ではともにスターティングメンバーに抜擢され、関河は司令塔として攻撃をリード。広い視野から得点に直結するアシストをさばき、3ポイントシュートも難なく沈める。チームの主将を務める太田も「いつも無表情なんですけど、しっかり得点を取ってくれたり、いいパスもくれるのでとても助かっています」と、信頼を寄せている。

 一方のルーニーも淡々とプレーしているが、すでに先輩たちのスピードについていく走力と冷静な判断力を兼ね揃えている。太田によれば「ルーニーは中学時代からスター選手で、これから自分を出せるようになればもっと上手くなる」という。「ルーニーはウチにはいない、沈着冷静ですごくスマートにバスケットできる選手」と成田コーチも評価するほどだ。

 関河、ルーニーの下級生が力をつけてきたことで、昨年までは一定のプレータイムを与えられていた3年生たちも危機感を感じるようになった。ウインターカップを前に競争意識が高まった正智深谷。これからプレータイム争いが激化し、チーム全体は一層レベルアップするはずだ。

文・写真=小沼克年

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