2020.12.26

都道府県2位チームの奮闘が光った男子2回戦。つくば秀英、法政二がベスト16へ。東北学院は惜敗

それぞれの思いを抱いて大会に臨んでいる都道府県2位チーム(左から東北学院、法政二、つくば秀英)[写真提供]=日本バスケットボール協会
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

 男子2回戦が終了し、ベスト16進出チームが決定した。ウインターカップは2年前から出場チームが50から60に拡大しており、インターハイ優勝と準優勝チームの都道府県に出場権が1枠与えられる他に、ブロック大会優勝(関東は2位まで)のチーム/都道府県にも推薦枠が与えられることになった。(※今年はブロック大会もインターハイも中止になったため推薦方法が異なり、新人ブロック大会で優勝したチーム/都道府県がブロック推薦枠となった)

 そんな中で都道府県2位出場チームが健闘を見せている。2位出場でベスト16に進出したのは、東山高校(京都)、福岡大学附属大濠高校(福岡)、つくば秀英高校(茨城)、法政大学第二高校(神奈川)の4校だ。

 3回目のベスト16に進出したつくば秀英は、1回戦で厚木北高校を延長で下した羽黒高校(山形)と対戦。小柄で機動力ある羽黒に対して、ハリバックの速い粘り強いディフェンスで対抗。拮抗した流れを変えたのは、つくば秀英のエース齊藤雄都(3年)。第3クォーターの勝負所で連続得点してチームに勢いを与え、ディフェンスでは勅使河原広希(2年)がリバウンドやルーズボールに粘って貢献。第3クォーターに22-6と差をつけたリードをそのままに、つくば秀英が71-60で勝利した。稲葉弘法コーチは「就任15年目になりますが、15年やってきたディフェンスとルーズボールが今日のゲームに凝縮していました」と選手たちを讃えた。

 県2位同士の対戦となったのは法政二と東北学院高校(宮城)。10年ぶりの出場となる東北学院は出足の硬さが響き、第1クォーターで10-24とビハインドを負う。2クォーター以降は点の入れ合いになるが、法政二は佐藤正樹(2年)が6本中5本の3ポイントを決めるなど、接戦ながらも主導権を握る。東北学院は木村祐誠(2年)の30得点を筆頭に、得点源の遠藤昌輝と齋達也(ともに3年)らが攻め込み、オールコートプレスを仕掛けて猛追。何度も足首をつかみかけるが最後は体力が尽きてしまい、法政二が97-91で大激闘を制した。
 
 試合後、ベスト16に進出したつくば秀英と法政二、そして僅差で敗れた東北学院は健闘した要因として「県のライバルの存在」を理由にあげている。とくに、今回新型コロナウイルスの陽性反応が出たことで無念にも出場辞退に至った関東新人1、2位の桐光学園(神奈川)と土浦日大(茨城)に対しては感謝の気持ちを忘れていなかった。つくば秀英の稲葉コーチは試合後には涙を浮かべ、声を詰まらせながらこう語っている。

「僕らにはいつでも土浦日大の存在があって、日大と戦いたい、勝ちたいという気持ちを毎日持ち続けてバスケットを勉強しようと追求しています。日大のおかげで僕らは強くなってこの舞台に立てたので、彼らの分も…というのはおこがましいですが、茨城の代表として茨城のバスケを披露し、僕たちが強くなったことをこのコートで証明したいです」

つくば秀英の稲葉弘法コーチは「茨城の代表として茨城のバスケを披露し、僕たちが強くなったことをこのコートで証明したいです」と語った [写真提供]=日本バスケットボール協会


 ベスト16入りをかけて激闘した法政二と東北学院のコメントも紹介したい。

「先輩たちは全国大会に出ている桐光や東海大相模に負けていたので、そこを倒すために必死で練習してきました。自分たちは弱い代とOBから言われていたのですが、そこで僕たちはコロナ禍の間にウインターカップに出ることを最大の目標にして、気持ちをすり合わせてここまできました」(法政二・キャプテン佐藤悠真/3年)「県に桐光のような全国レベルがいるおかげで、こうした接戦を制する戦いができたのだと思います。ここまできたらベスト8になってメインコートで戦いたい」(法政二・深澤寿/3年)

法政二の深澤寿(中央)は「県に桐光のような全国レベルがいるおかげで、こうした接戦を制する戦いができたのだと思います」と語った [写真]=日本バスケットボール協会


「宮城は常に明成と対戦できる環境にあるので、毎年のように全国のレベルを把握できます。10年前は明成がインターハイで準優勝したおかげでうちが出場することができ、昨年からは明成がブロック優勝してくれたおかげで、県全体でウインターカップに出るという目標が定まっています。それもブロック優勝の枠ですと、インターハイよりも前の早い段階から準備ができるので本当にありがたいことです。もちろん県で明成を倒して優勝することが最大の目標ですが、明成の存在は県のレベルアップにつながっています。10年前にはうちがウインターカップでベスト16に進出しましたし、聖和学園も東北もベスト16になっています。こうした競い合いをお互いの刺激にして、今回ウインターカップで戦った経験を今後に生かします」(東北学院・帆足直治コーチ)

「県で明成を倒して優勝することが最大の目標ですが、明成の存在は県のレベルアップにつながっています」と東北学院の帆足直治コーチ [写真提供]=日本バスケットボール協会


文=小永吉陽子

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