2022.06.20

福岡第一が3大会ぶり9回目の九州大会優勝…決勝でライバル福大大濠を再び撃破

福岡第一が福岡対決を制し、九州の頂点に立った [写真]=小沼克年
フリーライター

 6月18日と19日、宮崎県を舞台に「令和4年度 全九州高等学校体育大会 第75回 全九州高等学校バスケットボール競技大会」が開催された。3年ぶりに実施され、九州地区の1位、2位チームが集った同大会は、男子は福岡第一高校(福岡県1位)が中止となった過去2大会を挟んで4連覇を達成。3大会ぶり通算9回目の優勝を果たした。

 福岡第一が決勝で対戦した相手は、県内でしのぎを削るライバルの福岡大学附属大濠高校(同2位)。両校とも「FIBA U16 アジア選手権大会 カタール 2022」に出場するU16日本代表メンバーを欠いた中で戦いを強いられたが、福岡第一は初戦から3試合連続で100点ゲームを演じ、危なげなく決勝へ進出した。

 対する福岡大附属大濠は大会初日の第1試合、湧川颯斗(3年)が負傷するアクシデントに見舞われた。代表活動でチームを離れ、U16世代のアジアMVPに輝いた川島悠翔(2年)に加え、湧川までもが離脱。2大エースを失った福大大濠にいきなり暗雲が立ち込めたが、芦田真人ら3年生がチームをけん引した。佐賀北高校(佐賀県1位)、長崎工業高校(長崎県1位)、柳ヶ浦高校(大分県1位)をいずれも50点台に抑えて勝利。ルーキーの髙田将吾と湧川裕斗もプレータイムを伸ばして決勝戦まで辿り着いた。

福岡大附属大濠の高田、岩下、湧川、鬼澤(左から) [写真]=小沼克年

 6月5日に行われた県予選では福岡第一が70−64で競り勝ち、1つしかないインターハイへの出場権をつかみ取った。九州大会の再戦ではベストメンバーがそろわなかったものの、全国トップレベルの強豪校かつ永遠のライバル同士。ファンの期待を裏切らない熱戦が繰り広げられ、その激しさは今大会に出場した他県のチームよりも頭一つ抜けていた印象だ。

 決勝戦、最初の10分は23−15で福岡第一がリードを奪った。第2クォーター、福岡第一は県予選でも流れを手繰り寄せた中村千颯、川端悠稀(ともに3年)のガードコンビが相手を追いかけ回すディフェンスを披露すると、福岡大附属大濠からアンスポーツマンライクファウルを誘発。攻撃では3ポイントシュートも決まって引き離しにかかったが、福岡大附属大濠も相手の堅守に対して真っ向勝負を挑み、広瀬洸生(3年)、髙田らがタフショットをねじ込んで応戦した。

 それでも後半、福岡第一は追い上げられるたびに真骨頂の“堅守速攻”を発揮。高速ガードの轟琉維のボールプッシュから城戸賢心、平岡倖汰(いずれも3年)がスコアを重ねてリードを守りきり、最終スコア88−77で勝利を収めた。

 福岡第一の井手口孝コーチはセカンドユニットを送り出した第2クォーターでも点差を詰められなかったことから、「負けることはないかな」という空気を感じ取っていたという。そして、「第3、4クォーターは指示を出さないで任せました」とインターハイを視野に、選手たちのさらなる成長を促した。

 ダブルキャプテンとしてチームの中心を担う城戸と轟は、「しっかり守ってブレイクにつなげることができました」と福岡大附属大濠を振り切った要因について口をそろえたが、「全体的にはディフェンスが甘かったです」(城戸)、「ガードとしてミスが目立ってしまい反省しています」(轟)と、決して満足していなかった。井手口コーチも今大会の出来に合格点を出さず、「センター陣をもっと鍛えなければいけないですし、フォワード陣のディフェンス力も上げなければいけない」と言及した。

福岡第一を率いる井手口コーチ [写真]=小沼克年

 ライバルとの大一番を制して夏の全国切符を勝ち取り、九州地区も制した福岡第一は今年も優勝候補の一角と言えるだろう。しかし指揮官は、頂点に立った2019年以来、3年ぶりのインターハイ出場となるだけに慎重な言い回しでこの先を見据えていた。

「チームとしての方向性が合っているかどうかは、正直まだわからないです。もしかしたらウチは強いチームなのかもしれません。インターハイでわかると思います」

文=小沼克年