2022.06.06

流れを変えた2ガード! 運動量で勝った福岡第一が福岡大附大濠を退け、夏の全国へ

タフな動きでチームに活力を与えた福岡第一の中村(72)と川端(86)[写真]=田島早苗
フリーライター

 6月5日、インターハイ福岡県予選決勝が飯塚市第一体育館にて行われた。決勝へと勝ち進んだのは、福岡第一高校福岡大学附属大濠高校
 
 どちらも全国大会で好成績を収めているが、中でも福岡大附大濠は、昨年の「SoftBankウインターカップ2021 令和3年度第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の優勝チーム。湧川颯斗、副島成翔(いずれも3年)、川島悠翔(2年)と当時のスターターが3人残っており、今年は湧川をポイントカードとするビッグラインナップだ。

 対する福岡第一も轟琉維、小田健太(いずれも3年)ら昨年から主軸として経験を重ねており、今年もチームの特長であるスピードは健在。この実力派2チームが、たった一つのインターハイの出場権を懸けて雌雄を決した。

 試合は福岡第一が城戸賢心(3年)のバスケットカウントで幸先良いスタートを切るが、その後は副島ら、福岡大附大濠にインサイドプレーから加点を許してしまう。それでも轟、崎濱秀斗(2年)らで食らいつく福岡第一。流れを変えたのは第2クォーター残り8分を切ってからだった。

 福岡第一は3年生の中村千颯、川端悠稀の2ガードが轟らに代わってコートイン。すると、激しいディフェンスで福岡大附大濠のオフェンスリズムを狂わせると、攻めては速い展開から味方の得点を演出。自らも積極的にシュートを放ち、この2人の得点にベンチも応援席も大盛り上がり。ゲームを掌握したまま、35ー26と福岡第一が9点のリードで前半を終えた。

 しかし、攻撃力の高い選手がそろう福岡大附大濠も、後半早々に反撃開始。出だしに川島、副島らの高さを生かした得点で点差を詰め、流れを引き寄せようとする。だが、福岡第一も轟が大事な場面でシュートを沈めて一歩も引かず。第4クォーターに入っても運動量が落ちることのなかった福岡第一は、第4クォーター中盤以降は、インサイドに速攻、3ポイントシュートと内外とバラン良く攻めて福岡大附大濠を引き離した。

インサイドプレーやドライブなどで積極的に攻撃を仕掛けた福岡大附大濠・川島[写真]=田島早苗


 終わってみれば70ー64で勝負を決めた福岡第一の井手口孝コーチは、勝利の立役者となった中村、川端のガード2人に対し、「(2人を出すことは)プラン通り」とコメント。加えて、「地区大会のときも(2人の)ディフェンスがうまくいったんです。だから今日の試合は3分、もしくは5分ぐらい(の起用を)と考えていたけれど、結局10分近く出ていましたね」と笑顔で奮起を称えていた。

 福岡第一は、アンダーカテゴリーの日本代表活動等で、主力選手がそろわない状態で九州大会等を迎える可能性が高い。それでも、「九州大会ではなんとか優勝したい。インターハイでも勝てばウインターカップの福岡県代表枠が増えるので頑張りたいです」と激戦を終えたばかりの指揮官は、先を見据えて力強く語っていた。

 一方、敗れた福岡大附大濠の片峯聡太コーチは、「もう一つ、決め切ることや守り切るといったところが。ディフェンスリバウンドを取れずに相手の攻撃回数が増えたり、そこで時間を稼がれたりしてしまいました。相手は試合巧者で、そういったうちの隙をついてきていたと思います」と試合を振り返った。

 この結果により、昨冬の覇者、福岡大附大濠のインターハイ出場はならず。福岡大附大濠を破った福岡第一が、ライバルの思いを背負い、夏の全国大会へと挑むこととなる。


 写真・文=田島早苗