2023.07.28

大ケガから復帰した大阪桐蔭のキャプテン北條瑚奈…恩返しの続きはウインターカップで

北條について「練習中も一番声を出して引っ張ってくれてる」と、市川コーチは信頼を寄せる [写真]=伊藤大允
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 大阪桐蔭高校(大阪府)の北條瑚奈は、今年の夏を特別な思いで迎えていた。

 1年生の頃からスターターを担っていた北條は、2年生となった昨年も活躍を見せ、6月の近畿大会でもチームを引っ張っていた。しかし、準決勝の試合中に、膝に大ケガを負ってしまう。香川県で開催されるインターハイを約1カ月後に控えていた時期のことで、昨年1年間は、インターハイ、そしてウインターカップのコートにも北條が立つことはなかった。

「1年生から頑張ってきて、2年生の全国大会がこれからだというときにケガをして…。その後は、1年間でどうやったらレベルアップできるだろうと考えながらやっていました」と、北條は昨年1年間を振り返る。

 それでも復帰に向けてリハビリに励み、今年5月のインターハイ予選で実戦に復帰。6月の近畿大会でスターターに名を連ねると、7月25日から行われている「令和5年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」でもスターターとして出場した。

 まだ完全復帰とはいかず、「無理はさせたくないので、こちらで時間をコントロールしています」(大阪桐蔭・市川藤乃コーチ)と、プレーに制限はある。だが、「1回戦、2回戦と(チームを)助けてくれた」(市川コーチ)と、作新学院高校(栃木県)との1回戦では得意とする3ポイントシュート4本を含む16得点。広島皆実高校(広島県)との2回戦でも3ポイントシュート5本を沈めるなど22得点で勝利に貢献した。

中学時代からのキャリアもあり、3ポイントシュートを得意とする北條 [写真]=伊藤大允


 しかし、続く3回戦では京都精華学園高校(京都府)に63ー93で敗戦。「近畿大会でも対戦していて、(相手の)抑えるところは意識していたのですが、今大会では粘り強いディフェンスや自分たちの持ち味である速攻があまり出せませんでした。リバウンドや球際のところで負けてしまったのが、点差が開いてしまった原因だと思います」と、北條は反省点を口にした。

 また、自身のプレーには「1年間苦しい思いをしてきて、大阪府予選も近畿大会もあまり本来のプレーができずに悩んだ時期も多かったのですが、最後のインターハイは、自分がやってきたことを出すことができたかなと思います。ただ、まだまだやれるところもあるので、それを今後に向けてやっていきたいです」と、コメント。さらに、「それまでは怖くてドライブにいけなかったのですが、段々とドライブにも行けるようになったし、走るプレーもできるようになったと思います。1対1のディフェンスの弱さやドライブで切るスピードが遅いので、もう少し足の筋力つけていきたいです」と、力強く発した。

 今年はキャプテンにも就任。「足のことで精一杯のときもありますが、接戦になったときに私がどういう気持ちで全員に声を掛けるかで勝ち負けが決まってくると思っています。接戦をものにできるようなチームにしていきたいので、自分が悪いときでもチームのためにどのような声掛けをするか。そこは自分自身が成長できるところだと思います」という。

 チームは春から指揮官が代わり、新たなスタートを切ったばかり。次なる目標はウインターカップ。「私たち3年生にとっては高校最後の年で、仲間とは3年間一緒にやってきました。先生ともコミュニケーション取りながら、一緒に全国制覇をしたいです」と、北條は意気込む。

 復帰までのリハビリ期間中、北條を支えになったのは、仲間の頑張っている姿を見ることや家族の存在だった。「だから今、私はバスケットで結果を出すことしか恩返しすることができないので、周りの人たちに感謝を届けられるように頑張りたいです」と、北條。

 その恩返しはまだ続いている。次はウインターカップというステージで、感謝の思いをプレーに乗せる。

取材・文=田島早苗
写真=伊藤大允

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