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12月28日、東京体育館で「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会」女子決勝が行われ、京都精華学園高校(京都府)が63-59で岐阜女子高校(岐阜県)を下し、2年連続の夏冬連覇を果たした。
敗れた岐阜女子にとっては、5年ぶりの優勝を目指した頂上決戦だった。14点ビハインドで折り返した後半に、相手センターのディマロ ジェシカにプレッシャーをかける策がハマり、エースの絈野夏海も3ポイント連発。最大21点差をひっくり返した準々決勝の桜花学園戦のミラクル逆転劇を彷彿とさせる猛チャージをみせたが、最後は自力で上回る女王に振り切られ、頂点まであと一歩届かなかった。
試合後、記者会見に出席した岐阜女子の安江満夫コーチは、「勝ち切る力がなかったということだと思います。ファイナルまで来れたことで決して満足してるわけではないですけど、生徒たちはよく頑張ってくれたなと思います。準々決勝で当たった桜花さんの思いも背負ってファイナルを戦ったつもりだったんですが、勝ちきれなかったです」と率直な思いを語った。
丁寧に落ち着いた口ぶりで話す指揮官は、「京都精華は勝負所で堀内(桜花)、八木(悠香)、(ディマロ)ジェシカの3本柱にねじ込む力があった。この違いです」と、試合を決定付けた女王の強さにも触れつつ、後半に仕掛けた守備戦術も「決して失敗ではない。ジェシカ選手を一対一で止められる選手はいま日本にはいないと思う。ああいう工夫が我々の戦い方だった」ともコメント。また、「表彰式を目の当たりにした下級生が、悔しい思いをチームの財産にしてくれれば」と、新チームの奮起にも期待を寄せた。
そして、約17分の会見が終了しようとしたタイミングで、安江コーチ自ら「日本のバスケットをいろんな形で盛り上げていただいているマスコミの皆様、そして日本バスケットボール協会の皆様…」と切り出し、「実を言うと東京に出発する前の日に、本学園の(松本博文)理事長が亡くなられたんです」と、言葉を詰まらせながら訃報を伝えた。
「私が岐阜女子高校に来て、バスケットボール部がないところから始めた時に『よし!じゃあ作ってみろ』、『やってみろ』と。岐阜インターハイ(2000年)が近づいた時に『今このままでは戦えない。先生、留学生をとってチームを強化したいんです』、『よし!じゃあやれ!』と。そうやって色んな意味で背中を押していただいた方が亡くなってしまった」
「準々決勝の残り30秒、うちが1点負けている時に、『理事長さん、力を貸してください』と正直思いました。すみません。いろんな思いがあった大会でしたので。結果は優勝ではなかったんですけど、子どもたちが十二分に戦ってくれました。そんな子どもたちを指導者として誇りに思っています。どうもありがとうございました」
岐阜女子は1992年の初出場から32年連続でウインターカップ出場中。2006年に初めて決勝に進出すると、2015年と2018年に優勝を果たした。いまや全国でも屈指のバスケ強豪校として知られる同校にとって5度目の準優勝だった今大会は、その礎を築いた師に捧ぐ特別な大会でもあった。