2024.03.28

気迫あふれるプレーでけん引する福岡大学附属大濠の渡邉伶音…B2福岡での活動も成長の後押しに

高さに加えて3Pシュートでも存在感を示した福大大濠の渡邉伶音 [写真]=佐々木啓次
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

 3月16、17日に佐賀県で行われた「第54回全九州高等学校バスケットボール春季選手権大会」。優勝で終えた福岡大学附属大濠高校(福岡県)の渡邉伶音(2年/学年は大会時のもの)は、その大会でエースとして頼もしいプレーを見せた。

 1回戦から順当に勝ち上がった福大大濠は、決勝で福岡第一高校(福岡県)と対戦。渡邉は試合開始早々のシュートはディフェンスに阻まれたものの、その後も積極果敢なプレーで攻め続けると、開始約3分半にはインサイドプレーからのバスケットカウントのシュートを決める。すると、そこから約1分後には3ポイントシュートを沈め、多彩な攻撃も披露。第2クォーター以降も状況に合わせてインサイドとアウトサイドを攻め分け、終わってみれば3ポイントシュート2本を含む22得点。リバウンドも11本を記録し、ディフェンスでも冴えを見せた。

「今までは左ドライブと3ポイントシュートが多かったのですが、少しずつ右のドライブも増やしていったので、相手にとって少しは守りにくい選手になったかなと思います。でも、ディフェンスでは留学生をまだ完璧に守れていないので、留学生2人というチームが多いですが、それでも1人で守れるようになって、周りに安心してもらえるように頑張っていきたいです」

 このように大会を振り返った渡邉は206センチの高さがあり、本人が言うように試合では留学生センターとマッチアップすることが多い。それでも高さと強さ、そして時に上手さで対抗。福岡第一戦でも、自らの得点だけでなく相手のセンターであるシー ムサ(1年)とサー シェッハ(2年)の得点を合わせて25点に留める働きを見せた。

 全九州高校春季大会を終え、渡邉は「相手は絶対に自分のところで1対1を仕掛けてファウルが込むようにしてくると思います。相手には留学生が2人いるとは思いますが、逆に自分が留学生2人を退場させるぐらいの気持ちで。ディフェンスでもボールを持たせる前の場所取りなどファンダメンタルのところをもっと意識したいし、圧倒的なフィジカルをつければ問題はないと思うので、そこも夏に向けて頑張りたいです」と、気持ちを新たにする。

 全九州高校春季大会ではバスケットカウントを決めた後に吠えるなど、プレーだけでなく、振る舞いやしぐさから勝ちたい思いがひしひしと伝わった。そのことについて渡邉は、こう力強く発する。

「昨年、(ウインターカップ決勝で福岡第一に敗れて)3年生たちに優勝の景色を見せられなかったというのは自分の中ですごく悔しいものがあって、本当に福岡第一にあそこで負けて悔しい景色を見ました。(今年は)自分が絶対に負けたくないという気持ちを前面に出せば、いい意味でリーダーシップになるかなと思っています」

プレーだけでなく声がけでもチームをけん引 [写真]=佐々木啓次


 また、特別指定選手として加入したライジングゼファー福岡での活動もプラスとなっているようで、「ライジングで外国籍の選手がリーダーシップを発揮しているのを見て刺激になっています」という。チームのみんなが声を掛けてくれるということだが、パブロ・アギラールからは、「声出して、どんどん発信していいんだ」というアドバイスもあったそうだ。

 プレーに関しても「外国籍の選手はすごい選手ばかりで、スクリーメージの練習などではたくさん点を取られてしまうのですが、それでも最近は少しずつプレッシャーも掛けられるようになってきたし、フィジカル面がまだまだとか、プロの世界での自分の立ち位置が早い段階で知ることができたので、伸びしろが自分にはあるとプラスに考えています」と、肌で感じて得たものは多いようだ。

 U18日本代表にも名を連ねる渡邉だが、福大大濠での目標はこれまでと変わらず日本一。特に今夏のインターハイは福岡県での開催となる。「昨年から試合に出ている選手が多く残っていて周りからは強いと言われますが、自分たちは誰もインターハイには出たことないので、思い切りよくアグレッシブに。ルーキじゃないですけど、そういう気持ちで頑張りたいと思います」と、インターハイを見据える。

 プロの世界に身を投じ、その経験を福大大濠にも生かしながら日々研鑽を磨く渡邉。まだまだ成長を続けるビッグマンの伸び代は無限大だ。

文=田島早苗

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