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香川県開催となった「令和5年度全国中学校体育大会 第53回全国中学校バスケットボール大会」がいよいよ開幕。8月22日の初日は男女ともに予選リーグが行われ、男女各16チームが決勝トーナメント進出を決めた。
予選リーグは、出場24チームが3チーム1組の計8組に分かれ、各組総当たりのリーグ戦を行うもの。そしてこの予選ラウンド2試合をいずれも勝利し、所属するLリーグを1位で通過したのが昨年大会で女子準優勝となった樟蔭中学校(大阪府)だ。
樟蔭中学は、第1戦では関東覇者の相模女子中学部(神奈川)と対戦。エースガードの竹内みや(3年)を起点とした相手の攻撃をチームディフェンスで防ぐと、第1クォーターから21-8とリードを奪う展開に。第2クォーター以降もコンスタントに加点し、最後は63-37で勝利した。
この試合、相手に流れが行きそうな場面でシュートを沈めてチームを引っ張ったのが國武珂憐(3年)だ。168センチの國武は、高さを生かしたインサイドプレーを見せたかと思えば、小気味よく3ポイントシュートも沈めるなどオールラウンドな攻撃で得点。リバウンドでも大きく貢献した。
続く御田中学校(愛知県)との試合は100-74で勝利。この試合では國武自身、納得のいくプレーではなかったようで、2試合を終えて「自分が決め切るべきシュートがもっとあったと思います。決勝トーナメントではチームを引っ張るという強い気持ちを持って攻めていけたらいいなと思います」と、感想を語った。
「選手全員をオールラウンドに育てたい」(岡田済子コーチ)というチームは、どの選手もどこからでも攻撃を仕掛けることが可能。國武自身も「(ミニバスまでは)あまりセンタープレーをしなかったけれど、自分より小さい選手がディフェンスについてきたときは、しっかりセンタープレーをするようにになったし、プレー(の幅が)が増えました」という。
また、「例えばパスにしても、今回はこっちの方が得だよねといった感じで選手が『考える』こと。そこで成功したらうれしいし、失敗したら悔しいから、悔しい自分にならないように前もって判断してプレーしようといった感じでやっています」(岡田コーチ)と、チームは“状況判断”にも重きを置いている。そのため、日々の練習で培った状況判断のもと、國武も他選手と同様に、試合では場面に合った動きを考えながら、しっかりと表現することができているのだ。
その國武が背負っている背番号は、樟蔭のエースナンバー『5』。昨年大会では金澤杏(桜花学園高校1年)がつけ、チームを準優勝へと導いた。金澤は、高校生となった今年も、7月にはU16女子日本代表として「FIBA U16女子アジア選手権大会2023」で銀メダルを獲得するなど世代のトップとして活躍を見せている。さらに遡れば、大阪薫英女学院高校(大阪府)で主軸を担う木本桃子(3年)や宮城楽子(大阪薫英女学院高校→日本体育大学2年)らも、このエースナンバーを背負ってきた。
「昨年、杏さんがすごい結果を残してたので、緊張はだいぶあったのですが、自分らしくできたらいいかなと思っているし、杏さんを超えられるように頑張ってます」と、國武。もちろん、今年のエースが狙うは、昨年あと一歩のところで逃した『優勝』だ。
大会2日目からは決勝トーナメントが行われる。予選リーグ終了後に行われた抽選の結果、樟蔭中の決勝トーナメント1回戦の相手は、奇しくも昨年決勝を争った相手である四日市メリノール学院中学(三重県)となった。
「どんな強い相手でも気持ちが一番大事だと思っています」(國武)というエースを中心に、樟蔭中学は、悲願の優勝、そして昨年のリベンジに向けて並々ならぬ思いで決戦を迎える。
取材・文=田島早苗
写真=吉田孝光