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「我慢する時間帯が長く、自分たちがシュートを決め切れなかったのに対して、相手は最後に高い確率でシュートを決めてきました。そこで我慢し切れず、守り切れなかったというのが負けてしまった原因の一つだと思います」
12月11日、日立ハイテククーガーズに敗れた富士通レッドウェーブの町田瑠唯は、試合をこう振り返った。
前日に行われた日立ハイテクとの第1戦では、終盤に追い上げに遭ったものの72-68で逃げ切って勝利。しかし、第2戦は出だしから苦しい展開となった。
第1クォーター、放つシュートがなかなか枠をとらえることができない富士通は、持ち味である3ポイントシュートが決まらずに得点が伸びない。第2クォーターこそ本来のリズムを取り戻して28-27と前半を1点リードで終えたが、後半は一進一退の展開のまま、試合終盤に日立ハイテクに決定打を許し、61-67で敗れた。
この試合、富士通の3ポイントシュートは34本放って決まったのはわずか4本。そのことについて町田は、「いつもよりも全員が打てるような状況になったことが逆に誰が打つの?というような感じになってしまいました。私も含めて、みんな迷いながら打っていたのかなと思います」と、コメント。
町田自身も5本放ったものの、3ポイントシュートを決めることはできなかったため、「きれいにノーマークになったときに慎重になり過ぎていたので、ノーマークでもノーマークではなくても、しっかり自分のリズムで打ち切れるようにしていきたいです」と、語った。
この2戦は町田の出身地である北海道の旭川市で開催。新型コロナウイルス感染症が世界的に流行する前までは、毎シーズン旭川で試合が行われていたが、過去2シーズンは開催されていなかったため、町田にとっては実に3シーズンぶりの凱旋試合となった。ましてや、東京オリンピックでの銀メダル獲得後、初の試合となっただけに、ファンをはじめ、地元メディアも多く集まった。
「久しぶりに旭川で試合ができて楽しかったですし、本当は2連勝して終わりたかったのですが、それでも最後までファンの方々もみんな応援してくれたので、力になりました。やっぱり旭川はいいな!という気持ちになったので、来年もまたこうやって試合ができたらいいなと思います」
試合後に旭川開催について笑顔で語った町田。第1戦ではミニバスから高校まで、そして富士通でも一緒にプレーし、現在は日立ハイテクのアシスタントコーチである高田汐織とともに出身の西御料地ミニバスの選手から花束をもらい、第2戦の試合前には町田の旭川市民栄誉賞の贈呈式も行われ、今津寛介市長から賞状などが手渡された。
「このような賞をいただき、うれしく思います。この賞に恥じないような努力をしていかないといけないと改めて思いましたし、もっともっと頑張ろうと思いました」と、町田。
第1戦では10得点9リバウンド8アシストと、トリプルダブルまであとわずかの数字を残し、第2戦では得点こそ4点に留まったものの、代名詞であるアシストでは『10』を記録。2日間にわたって地元旭川のミニバスや中学、高校生プレーヤーたちに刺激を与える活躍を見せた。
富士通は、このあと皇后杯のファイナルラウンドに出場。初戦となる準々決勝は15日で、インカレ女王の東京医療保健大学と対戦する。チームはケガ人も多く、台所事情は決して良いとは言えないが、「ディフェンスは自分たちの武器だし、勝負所でやられてしまったところはあったけれど、今日も悪くはなかったとは思います。それをしっかり継続して、どの選手が出ても同じディフェンスができるように。そして得点面では、もう少しみんなが自信を持ってシュートを打てるようにしてきたいです」と、気を引き締める。
「一発勝負なので、勢いに乗ったチームが勝っていくと思います。最初の相手は大学のチーム。チャレンジャーとして当たってくると思うので、受け身にならないように自分たちのやるべきことをやって、勝ち進んでいけるよう頑張ります」
皇后杯に向けての思いを語った町田。もちろん、目指すは15大会ぶりの優勝だ。
取材・文・写真=田島早苗