2019.02.17

強豪相手に惜敗、日本の頼れるシューター萩野真世「やりたいことは結構やれた」

15日のオーストラリア戦、イギリス戦でそれぞれ8得点を記録した萩野 [写真]=エックスワン
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)。学生バスケをテーマにしたCM制作に携わったのがバスケに関する初仕事。広告宣伝・マーケティング業務のキャリアが一番長いが、スポーツを仕事にして15年。バスケどころの福岡県出身。

 2月15日、丸善インテックアリーナ大阪で「国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会」(通称:大阪カップ)が開幕。オランダ、イギリス、オーストラリアという女子車いすバスケットボール界の強豪が参加する今大会、日本代表は彼女たちの現在地をはかるべく、この4カ国対抗戦に挑戦した。

 初戦、日本は高さで上回るオーストラリアを56-43で撃破。続くイギリス戦では、後半に逆転を許し、昨年の世界大会で銀メダルを獲得した強豪相手にジャイアントキリングはならず、惜しくも54-60と敗戦を喫した。

 あと一歩というところまで強豪を追い詰めた原動力となったのが、昨年の大阪カップではベスト5にも選出された萩野真世だ。スピードを活かしたディフェンスと確率の高いアウトサイドシュートを武器とする萩野は試合後の取材に応じ「(イギリスという強豪相手に)競るところまで来ることができたのは、成長かなと思います」と自信をのぞかせつつ、「前半でリードして、自分たちに流れもあったのでそのまま行ければというのもありましたが、イギリスのシューターを止めきれなかったのが敗因かなと思いました」と反省も欠かさなかった。

 萩野の言葉どおり、前半まではお互いのスタイルの類似によることもあり、四つ身に組み合った状態ながらも、リードを保つ日本のペースで推移した。しかし、そこはさすがの世界2位。「相手も切り替えてきていて、こちらの弱点をついてきましたし、日本としても対策はしていたのですが、相手に一枚上をいかれました」。後半の出足からコートを広く使ってボールを動かし、空いたゴール下から的確にゴールを重ねるイギリスに対応できず、悔しい敗戦となった。

 金星がするりと零れ落ちた試合を振り返り、萩野は「やりたいことは結構やれた。前半までは自分たちのペースで、運動量もありましたし……」と手応えを口にしつつ、「後半続けられなかったので、70点かなと思います」と今後の課題も語った。

 しかし8、9日に千葉県流山市で行われたオランダとの強化試合ではチームケミストリーに不安を感じさせた日本代表の姿は見違えるように変化し、その伸びしろには期待が持てる。決して強化の機会が多いとは言えない中で、明るい材料が増えたことは、いよいよ来年に迫る地元開催の‎2020年東京パラリンピックに向けては好材料となりそうだ。

2020年に迫るパラリンピックへ強化を続けていく [写真]=エックスワン

 取材の最後に普段なかなか目にする機会がない車いすバスケットボールの見どころについて質問を受けた萩野は、「面白いところは、各選手で(体を動かせる範囲により4.5点から1.0点まで)持ち点があり、メンバー構成によって戦略も大きく変わるところです」と述べると、続けて「日本代表は全員バスケットを目指しているので、偏りなくいろいろな選手が連携して得点を取るスタイルになります。ボールがあるところでがんばっている選手もいますが、その裏で動いている選手にも注目してくれるとより面白いと思います」と競技の見所をわかりやすく説明した。

 パラリンピックの花形種目でもある車いすバスケットボール。お見逃しがないよう、こまめにスケジュールをチェックしておいて、機会があればぜひ会場まで足を運び、その迫力を目の当たりにすることをお勧めする。選手たちの息遣い、激しくぶつかる車いすの衝撃、そしてタイヤの焦げるようなにおいに、あっという間に虜になるはずだ。

文=村上成

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