2019.05.09

パラ神奈川スポーツクラブは若手とベテランの融合で古豪復活を目指す 

チーム最年少ながら縦横無尽に攻めるパラ神奈川の鳥海連志 [写真]=斎藤寿子
新潟県出身。大学卒業後、業界紙、編集プロダクションを経て、2006年よりスポーツ専門ウェブサイトで記事を執筆。車いすバスケットボールの取材は11年より国内外で精力的に活動を開始。パラリンピックは12年ロンドンから3大会連続、世界選手権は14年仁川、18年ハンブルク、アジアパラ競技大会も14年仁川、18年ジャカルタの各大会をカバーした。

 今年4月の東日本第二次予選会、優勝で天皇杯への切符を獲得したのが、パラ神奈川スポーツクラブだ。

 パラ神奈川は古豪クラブの一つで、1985年~89年には5年連続で準優勝し、90年についに初優勝を達成。その後も常に優勝候補の一角を担い、93、97年にも日本一の座を獲得している。

 しかし、98年以降は千葉ホークスやワールドBBC(愛知)、そして現在大会10連覇中の宮城MAXが台頭し、パラ神奈川は一度も決勝に進出していない。

 古豪復活のカギを握るのが、23歳の古澤拓也と20歳の鳥海連志の若手2人だ。2017年U23世界選手権では古澤がキャプテン、鳥海が副キャプテンとしてチームをけん引。ベスト4進出の原動力となり、そろってオールスター5に輝いた。また、すでにA代表でも主力として活躍し、昨年は世界選手権やアジアパラ競技大会に出場した。

 古澤は、両利きが武器の国内随一のボールハンドラー。さらに3Pも得意で、試合開始早々、隙あらば1本目に鮮やかな3Pを決め、相手の出鼻をくじくことも少なくない。司令塔としてもシューターとしても、チームの柱となっている。

 一方、チーム最年少の鳥海は、クイックネスなプレーが得意で、攻守にわたって彼の動きを抑えることは至難の業だ。カットインプレーで得点を狙ったり、リバウンドにも積極的に飛び込むなど、鳥海は縦横無尽に動き回り、相手の守備をかき乱す。さらに最近ではミドルシュートの確率も上がってきており、相手にすれば非常に厄介な存在だ。

 さらに、51歳の大ベテラン園田康典の存在も決して小さくない。特にベースライン際から放たれるミドルシュートの確率は高く、乗せたら怖い選手の一人。そのほか、27歳の西村元樹の高さや、全米選手権の出場経験を持つ43歳ベテランの石川丈則のスピードにも要注意だ。

 昨年は初戦敗退を喫し、5位という結果に終わったパラ神奈川。今年は若手とベテランの融合で、97年以来の日本一を狙う。

文・写真=斎藤寿子

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